2000年3月下旬の労働関連の記事

3/31 失業率、4.9%最悪更新(朝日夕刊、日経夕刊):総務庁が発表した2月の完全失業率は4.9%で前月に比べ0.2ポイント上昇し、最悪を記録した。特に男性の失業率は5.1%で過去最悪。なお労働省が発表した有効求人倍率は前月と同じ、0.52倍であった。

3/31 記者の突然死に労災認定(朝日、日経):中央労働基準監督署は、96年に時事通信の記者が突然死したのは激務による過労死だっとして労災認定を行った。

3/31 日産、若手登用(朝日、日経):日産自動車は管理職の人事異動や中途入社の採用計画を明らかにした。それによると、最年少の課長は87年入社の35歳、部長は79年入社の43歳という抜擢人事を行っている。また282人の中途採用を行うことも明らかにした。

3/31 アラビア石油、ほぼ全員退職(朝日):アラビア石油は約330人の日本人社員ほぼ全員が希望退職に応じて退社することを明らかにした。日本人の正社員は5人程度と役員数より少ない異常事態となっている。

3/31 エアーニッポン、スト回避(朝日):エアーニッポンの乗員組合はストライキを回避することを決めた。

3/30 エアーニッポン、乗員組合スト通告(朝日夕刊):春闘の賃上げをめぐって、エアーニッポンのパイロットで組織する乗員組合は31日にストライキを構え、会社側との交渉を続けている。

3/30 賃金の伸び、昨年は0.5%(朝日、日経):労働省がまとめた賃金構造基本統計調査によると全体の平均は月30万600円と前年比0.5%増であったが、55歳未満の男性の平均賃金は全ての年齢層で前年を下回った。

3/30 日航・全日空、客室乗務員採用を見送り(朝日、日経):日本航空と全日本空輸は客室乗務員の新卒採用を見送ることを明らかにした。日本エアシステムも追随する見通し。

3/30 JAS、全社員対象に早期退職優遇制度(朝日):日本エアシステムは2000年度に全社員を対象とした早期退職優遇制度を導入し、2003年度までに1000人を削減する。

3/30 三菱商事、ネットできなきゃ門前払い(朝日):三菱商事は2001年度の新卒採用で応募をインターネットに限ることにした。

3/30 全動労不採用訴訟、中労委決定を取り消す(朝日):国鉄民営化に際して採用されなかった全国鉄動力車労働組合の労組員を当時にさかのぼって採用することを命じた中央労働委員会の救済命令をめぐる裁判で、東京地裁は組合差別的な基準はなかったとしてJR側の請求を認め、中労委決定を取り消しす判決を言い渡した。

3/30 生産性本部が雇用で提言(朝日):社会経済生産性本部は「少子高齢化に対応する雇用政策」と題する提言をまとめ、若年労働者に対する雇用支援策などをまとめた。

3/30 都銀、5年連続ベアゼロ(朝日):都市銀行9行と日本興行銀行の労働組合で作る「市中銀行従業員組合連合会」は、経営側との賃上げ交渉でベースアップを要求しない方針を全会一致で決め、事実上ベアゼロになることが決まった。

3/30 川鉄社員の自殺、逆転で労災認定(日経):労働保険審査会は91年に川崎製鉄水島製鉄所の男性社員が自殺した件に関して、長時間労働のための業務上のストレスが自殺の主な原因であったとして、労災を認める逆転裁決をし、遺族補償給付を支給しないとした倉敷労働基準監督署の決定を取り消した。

3/30 リョービ、人員2500人削減(日経):リョービはグループ従業員2500人の削減などを柱とする経営健全化計画を発表した。

3/30 パソコン通は高年収(日経):電通総研が発表した「生活者・情報利用調査」では、パソコンに精通しているほど年収が高くなるという結果が出た。

3/29 フリーター、7つの性格(朝日夕刊):日本労働研究機構がまとめたフリーターに関する中間報告によると、アルバイトで暮らすフリーターにもモラトリアム型、夢追求型、やむおえず型などの7つのタイプがあり、職業意識などもタイプによってそれぞれ異なっていることが明らかになった。

3/29 派遣法改正から4ヵ月(日経夕刊):派遣業務の原則自由化を認めた昨年12月の改正労働者派遣法。営業や販売職での利用が活発になっているが、他方で働く側の権利は守られているとは言えない状況を紹介している。

3/29 閉鎖の日迫る日産村山工場(日経):全面閉鎖が決まっている日産村山工場ではすでに約200人の社員が退職の意向を示しており、そうした中で先行きの不明感から転職を選んだ社員の声を取り上げている。

3/29 NEC、賞与を分社業績に連動(朝日):NECは新年度から始める社内カンパニー制で、管理職以上の約1万2千人に対し、各カンパニーの業績に連動した賞与制度を取り入れると発表した。

3/29 警察にも労組を(朝日):日本労働弁護団は警察を民主化し、不祥事をなくす方策として労働組合の結成を認めるべきだとする意見書をまとめ警察庁や各政党などに送った。

3/29 独賃上げ、3%の水準保つ(日経):ドイツの賃上げ交渉で最大の単産、金属労組(IGメタル)と経営側代表は5月分の給与から3%引き上げることで合意した。景気回復を背景に労組側が経営側を押し切った形となった。

3/29 ILO、条約未批准国に関する報告書(日経):ILOは結社の自由など基本的な労働基準について未批准である国の状況に関する報告書をまとめた。

3/29 松下、1000人社内分社(日経):松下電器産業は、事業部門や関係会社に分散している情報システム部門を集約して、社内分社を新設する。

3/28 三井・住友海上、3000人削減(朝日、日経):2001年10月に合併する三井海上と住友海上は2004年度をメドに自然減や出向で3000人削減することを明らかにした。

3/27 女性白書、30代大卒は求職断念(朝日夕刊、日経夕刊):労働省が発表した1999年版「女性白書(働く女性の実情)」は、大卒女性の雇用意識を取り上げ、大卒女性が30代半ば以降になると求職をあきらめ、労働市場から退出する割合が高い点を取り上げ、彼女たちの再就職支援が重要であるとしている。

3/27 女性の深夜勤務解禁から1年(日経夕刊):女性の深夜勤務が解禁されて1年がたった。深夜勤務に就くことで、男性への気兼ねがなくなったという声がある一方で、育児との両立が難しいという不満が出ている現状を紹介している。

3/27 リストラ対象者に教育資金(日経):米航空・機械大手のユナイテッド・テクノロジーズは、今後のリストラで予想される人員削減の対象者に最大4年間の教育資金を提供するプログラムを発表した。対象は生産拠点の統合などで勤務地が変わる従業員となっている。

3/27 エレコム、経営企画部門で新卒者特別待遇(日経):パソコン周辺機器のエレコムは、本社で幹部社員となる優秀な学生を発掘するため経営企画部門で新卒者を特別待遇で採用する。京大、阪大、神戸大の学生にダイレクトメールを発送し、初年度の給与総額を他の新入社員に比べ100万円程度上乗せし、ストックオプションも付与する。

3/26 わたしたちの15年・雇用機会均等法(朝日):「会社に幻滅、自分を磨く」と題して、男女雇用機会均等法のもとでの女性の生き方の変化を振り返っている。バブル崩壊以前の均等法第一世代の女性たちは男性と同じ土俵で競争して男性に負けたくないという思いであったのに対して、それ以降の世代ではむしろ男社会であり続ける会社への幻想を断ち切って、むしろ自分を磨こうという意識に変わってきているのではないかとし、それは男社会崩壊を先取りしたものだったのではないかとしている。

3/26 働く人の情報保護を(朝日):2年前問題となった派遣労働者の情報流出問題は昨年末に解決し、また個人情報の収集・管理に関して改正派遣労働者法で規制条項がおかれ、さらには派遣労働者の評価内容などの公表も求めている動きが出てきている。しかし、評価結果や査定内容については一般労働者でも行われていないことが足枷となってなかなか難しそう。むしろ、一般労働者について評価情報の開示を行う方向へ向かうべきだとする論説。

3/26 新雇用システムを探る・4(日経):日経連会長の今井敬氏へのインタビューで、財界の今後の雇用戦略を聞いている。春闘の消滅や、人材の流動化、セーフネットの整備などに加えて、積極的な外国人労働者の積極的受け入れを展開している。

3/26 ワタミフード、退職金廃止(日経):居酒屋「和民」などを展開するワタミフードサービスは3月末で退職金を廃止する。廃止後も給与体系を変えず、これまでの積み立て金は3月末に分配する。退職金廃止後も給与体系を変えないケースは珍しい。

3/25 アラ石、全社員が希望退職に応募(日経夕刊):サウジアラビアでの石油の採掘権が失効したアラビア石油は、社員330人のほぼ全員が希望退職に応募していることを明らかにした。応募者の中から今後の事業継続に必要な180人を1年契約で再雇用する。

3/25 最高裁、過労自殺に会社責任(朝日、日経):電通に勤めていた社員が自殺した件で、遺族が過労が原因だと会社側を訴えていた件で、最高裁は遺族側の主張を認め、会社側の責任を全面的に認定し、本人責任を一部認めていた二審判決を部分的に破棄した。長時間労働と自殺の因果関係を認め、会社の責任を明確にした初の最高裁判決となった。

3/25 中学教諭の突然死、「原因は公務」(朝日):神戸市の中学教諭が突然死した件で、地方公務員災害補償基金兵庫県支部が「公務以外の原因で死亡」とした不処分決定の取消を遺族が求めていた裁判で、神戸地裁は遺族の主張を認め、ストレスの蓄積が原因とし、不処分決定の取り消した。

3/25 富士通労組が保育園(朝日):富士通労働組合は、共働き夫婦の子育て支援のため、夜まで預けられる保育園を2001年から開設する方針を明らかにした。地域貢献の観点から組合員以外にも開放する考えである。

3/25 東証、成果主義導入(朝日):東京証券取引所は4月から課長以上の管理職300人に対して、目標管理を取り入れた成果主義を導入。来年4月からは昇格や賞与・賃金に実績を反映させる計画。

3/25 新潟鉄工所、最大賃金15%引き下げ(日経):2000年度3月期の大幅な赤字に転落することになった新潟鉄工所は、最大15%の賃金引下げなどを柱とする再建策を発表した。

3/24 法務省、入管政策を転換(朝日、日経):法務省は外国人の単純労働者の受け入れを制限してきたこれまでの入管政策を転換し、介護分野などでの外国人労働者受け入れや技能実習生としての受け入れ職種の拡大を検討する「第二次出入国管理基本計画」をまとめ、今後円滑な実施に向けて入管法の改正作業にとりかかることになった。

3/24 東芝など、退職金も成果主義(朝日):東芝、日立、松下電器産業は2000年度にも勤続年数が多いほど増える退職金制度に、毎年の仕事の実績や資格に応じて格差を取り入れる成果主義を取り入れる方針を明らかにした。

3/24 日興証券、顧客満足度がボーナス左右(朝日):日興証券は4月から各支店の顧客満足度を調べた上で、その結果を支店長ら管理職の賞与や人事異動に反映させる新しい人事制度をスタートさせる。

3/24 個人単位の労使紛争、各地の労働局で処理(日経):労働省は企業と従業員個人との個別紛争を処理する制度を強化する方針を決め、この4月に発足する都道府県単位の労働局に処理機能を持たせ、助言・指導を行う他、調停委員会を設け調停も行う。扱う対象は、解雇、賃金の不払い、労働条件の一方的切り下げなどのトラブルだが、人事考課など利益紛争は取り扱わない。

3/24 EU首脳会議、失業率4%目標(日経):欧州連合はリスボンで首脳会議が開幕。情報革命に対応した経済・雇用政策を打ち出し、2010年までに現行9.2%の失業率を約4%に削減する目標を作る。

3/23 昇進に英語の壁高く(日経夕刊):昇進条件に英語力を求める企業が増えてきている。こうした状況を、「イングリッシュ・デバイド」現象と名づけ、英語に悩まされるサラリーマンの姿を紹介している。

3/23 米政府、雇用性差別で慰謝料538億円(日経夕刊):アメリカ政府に対して性差別により雇用を拒否されたとして、1100人の女性が損害賠償を求めていた訴訟で、米政府が慰謝料5億800万ドルを支払うことで和解が成立した。

3/23 本田の英現地法人、1000人新規採用(日経夕刊):本田技研工業の英国製造拠点、本田英国製造は第二工場の操業に伴い、約1000人の新規採用を募ると発表した。

3/23 新卒採用、3年ぶりに増加(日経):日本経済新聞社の調査によると、主要企業の来春の新卒採用が3年ぶりに前年を上回る見通しとなった。また多くの企業で通年採用や中途採用など採用の多様化が進んでおり、即戦力志向の動きが一段と強くなっている。

3/23 広がり始めた雇用延長(朝日):今どうして雇用延長をめぐる動きが急速に進んでいるのかを、Q&Aの形でまとめている。

3/22 投資会社のローバー買収に英4大労組反対(日経夕刊):BMWが売却を決めた英ローバーを英国の投資会社が買収するに際して、大規模な雇用削減や資産売却が行われそうな見込みから、AEEUなどの英国の4大労組が反対することで合意した。

3/22 再雇用制度、4割の企業に(日経):中央労働委員会がまとめた調査によると、定年で一旦退職した社員を改めて契約し再雇用する制度を採用している企業は約4割に達しているが、そのうち希望者全員を再雇用する企業は8%足らずであることや、退職させずに引続き雇用する勤務延長制度を導入している企業は全体の5%に留まっていることが判明した。

3/22 日本、年60万人の移民受け入れ必要(日経):国連が発表した人口動態推計の報告書によると、少子化と高齢化が進む日本では現在の生産年齢人口を維持するためには、2050年までに外国から毎年60万9千人の受け入れる必要があることがわかった。(2/23朝日に同記事)

3/22 労働省、ネット利用の職業紹介に指針(日経):労働省は2000年度中にインターネットを使った職業紹介に関する指針を作成する。仲介料をとらない「直接交渉方式」は許可不要とし、仲介料をとる場合には許可制とする方針。

3/22 三菱重工、役職者人事制度改正(日経):三菱重工業は31年ぶりに人事制度を抜本的に改正し、管理職と専門職を明確に分離するとともに、役職者を対象とした加点方式月例賃金成績査定を新設し、年収の格差を際だい200万円程度に広げる。

3/21 住友商事、部下が上司を評価(朝日):住友商事は、管理職の上司が仕事に取り組む姿勢などを部下が評価する「多面的評価制度」を4月から取り入れ、評価結果を本人に通知するとともに、昇格や人事異動の際の参考資料とする。

3/21 学生バイト、時給上昇(日経):学生援護会がまとめた調査によると、学生アルバイトの時給がこの1年間で中部圏を除き上昇しており、厳しい状況が続く学生アルバイトにもわずかな明るい兆しが見え始めている。