2000年4月下旬の労働関連の記事

4/30 中小に「社会保険倒産」(朝日):滞納した社会保険料を差し押さえられたがために倒産した企業を紹介し、「卵を取るために鶏を殺す」現行の社会保険制度の矛盾を追っている。

4/30 世界労働人口の9割、十分な年金保障なし(日経):ILOは「社会保障年金・発展と改革」を発表し、年金制度がこの1世紀で普及してきたものの、途上国を中心に約90%の労働人口が年金制度の対象になっていないと報告している。

4/29 社説・雇用創出を海外に学べ(朝日):高い失業率を改善するためには米国やオランダなどを見習い「賃金や労働時間を弾力的に取り扱うことでサービス産業を育て」ることが必要としている。

4/29 欧州失業率、急速に改善(日経):フランスを筆頭に、ドイツや英国の失業率が改善の兆しを見せている。今後、景気の回復を背景に失業者の減少傾向が見込まれている。

4/28 失業、過去最多の349万人(朝日夕刊、日経夕刊):総務庁が発表した労働力調査によると3月の完全失業率は4.9%で前月と同じ過去最悪が続き、完全失業者数は349万人で過去最悪となった。なお労働省の発表した毎月勤労統計調査速報によると所定外労働時間が3年ぶりに増加した。なお学卒未就職者が過去最悪の32万人に達していることをうけて、朝日夕刊は「企業が変わる、学校が変わる」と題して企業の選別が強まり、学校では職業意識を付けさせようという動きを、日経夕刊も「ミレニアム版大学は出たけれど」として就職先を探す就職浪人の声を紹介している。

4/28 改正雇用保険法が成立(朝日夕刊、日経夕刊):雇用保険料率の引き上げと、失業理由により給付期間に差をつけることを柱とする改正雇用保険法が参院本会議で可決、成立した。

4/28 無業の2〜3割、就職活動せず(日経夕刊):大学卒業後、仕事につかなかった「無業」のうち2〜3割が就職活動をしていないということが、日本労働研究機構のまとめた「高等教育と職業に関する調査」で明らかになった。

4/28 変形労働時間制、勤務変更の条項を具体的に(朝日、日経):JR東日本の社員が1カ月単位の変形労働時間制を採用している職場で、一旦決めた勤務の予定を変更することが適法かどうかで争っていた裁判で、東京地裁は変更は可能としながらも、その変更の条項は具体的であることが必要だとして、JR側に賃金の支払いを命ずる判決を下した。

4/28 会社分割法、成立へ(日経):与党と民主党は会社分割制度の創設を盛り込んだ商法改正案を共同修正し、「株式総会の二週間前までに労働者と協議する」を入れることで合意。今後の焦点は分割に伴う従業員の転籍、異動についてのルールとなる。

4/28 今年の新入社員、チームプレー重視でスペシャリスト志向(日経):社会経済生産性本部がまとめた「2000年度新入社員意識調査」によると、今年の新人は協調性があるが、依存心も強く、他方でスペシャリスト志向を選んだ社員も過去最多となった。

4/28 豪州三菱自動車、600人をリストラへ(朝日):オーストラリアの豪州三菱自動車は99年の税引き後の損益が82億円の赤字となり、今年中に600人の人員削減を行うと発表した。削減の対象は事務職と管理職。

4/27 外食産業、退職金廃止相次ぐ(日経夕刊):外食大手のグルメ杵屋と家族亭が相次ぎ退職金制度を廃止。ワタミフードサービスなど、外食産業で退職金制度を廃止する動きが広がりつつある。

4/27 人減らしのリストラ、生産性は上がらない(朝日):通産省が発表した「1999年企業活動期本調査」で、雇用削減を中心としたリストラで「生産性が上がった」と答えた企業が96年以降、減少していることが明らかになった。

4/27 転身支援、トヨタが塾開講(朝日):トヨタ自動車は、社内での職種変更や社外への転職を希望する管理職向けの研修組織「プロ研鑽塾」を8月に開く方針を明らかにした。経理、人事、生産の3つのコースからなり、本職を離れて最長11カ月間、座学や人選研修を積む。

4/27 住友信託、部門長が社員ハンティング(朝日):住友信託銀行は、事業部の責任者が社員を選抜し個別に契約を結び、優秀な社員には給与や賞与を上乗せする制度を、今年度中に導入する方針を明らかにした。

4/27 米IBM、年金改革に揺れる(日経):米IBMでは確定給付型と確定拠出型の混合型年金「キャッシュ・バランス・プラン」を導入しようとして、大幅な給付カットになる年輩従業員が猛反発。とりあえずは経営側の提案が株主総会では受け入れられたが、火種はまだ残っている。また、この騒動に許認可権を持つ米内国歳入省は混杵合型の認可に慎重な姿勢に転じ、新規の導入はほぼ凍結された状態となっている。

4/26 会社分割、労組と事前協議義務(日経夕刊):自民党と民主党は「会社分割」制度を創設する商法改正案の修正問題で、労働者の保護措置として労働組合との事前協議を義務付けることなどを付則に盛り込む方向で最終調整にはいる見通しとなった。

4/26 育児介護休業法の見直し浮上(日経夕刊):連合が看護休暇の新設を軸に女性少年問題審議会で法改正を要求するなど、育児介護休業法の見直しが浮上してきている。

4/26 ドイツ企業で働く夏休み(日経夕刊):日独協会などの企画によって、ドイツ国内で日本人大学生を対象としたインターンシップが行われる。研修中の宿泊費は無料だが、往復の航空運賃など約19万円は本人負担となる。

4/26 IT革命が迫る制度改革・人材活用(日経):「未熟な報酬体系」として、ベンチャー企業に使いづらいストックオプション制度や、IT部門だけの業績を連動させるトラッキング・ストック(部門業績連動株)の導入が難しいなど、情報産業支える報酬制度の未熟さを伝えている。

4/25 日産、上司の査定を部下がします(朝日):日産自動車は部下が上司を査定する新人事評価制度を今年から導入する方針を明らかにした。

4/25 バイト従業員狙い、お手軽リストラ(朝日):アルバイトを時間調整させて、社会保険から脱退させ、法定福利費を節減するというリストラに困っている人達を取り上げている。

4/25 IT革命が迫る制度改革・人材活用(日経):SOHOなどでIT革命を支えている人達にとって、現在の厚生年金制度は実情に即していなく、また期待される401Kも使いにくい制度である点を指摘。

4/25 雇用維持に揺れる英政府(日経):ドイツ自動車メーカーBMWが英国子会社ローバーを英投資グループに売却し、大量の解雇が予想されている件で、英国政府は労組の抗議運動を背景に独自の代替案作りに動いている。

4/25 ダイエー、新卒採用再開(日経):ダイエーは、2001年から新卒採用を再開し、大卒150人を採用することを明らかにした。

4/24 セクハラ問題、この1年(日経夕刊):改正男女雇用機会均等法が施行されて1年。辞める際にセクハラで悩まされた恨みを晴らそうとするパターンや、被害にあっても辞めないで告発するケースなどが増えてきていると、この1年を振り返っている。

4/24 米UPS、パート・契約社員向け奨学金制度を導入(日経):米国の労働市場がひっ迫する中で、小荷物輸送の世界大手のユナイテッド・パーセル・サービスは契約社員やパートタイマー向けの奨学金制度「Earn and Learn」を導入し、学生アルバイトなどを定着させる作戦にでた。

4/24 米コカ・コーラ、黒人差別問題で風当たり強まる(日経):米コカコーラが待遇面での不当差別を理由に黒人従業員から訴訟を起こされたり、失職した元黒人従業員が差別訴訟の調停を求めるデモを開催するなど、人種差別問題に揺れている。

4/23 退職金がなくなる?(朝日):変化の中にある退職金をめぐる状況を取り上げ、退職金制度の廃止や、成績で格差がつく退職金制度などに対するサラリーマンの反応を紹介したうえで、今後どうなっていくべきなのかを論じている。

4/23 社説・リストラ時代、もっと社員を生かそう(朝日):ヒト減らしを進めるリストラの限界を主張し、従業員の力、「社員の目」を積極的に取り込んだ経営スタイルに変わっていくべきだと主張。

4/23 大手証券、パート大量採用(日経):野村証券や大和証券が、期間限定のパートの大量採用に乗り出した。株式市場の活性化に対応するためと、他方で人件費が固定化しないという狙いがある。

4/22 裁量労働、「心に負担」(朝日):東邦大学医学部助手の立道昌幸医師らの研究によって、裁量労働制を採り入れた場合、長い時間働いて、精神面の健康に障害を起こす人が増える可能性が高いということが明らかになった。

4/22 労災病院で心の健康相談(日経):労働福祉事業団は最近増えている「リストラうつ病」などに対応するために、全国11の労災病院に「勤労者心の健康相談」窓口を開設することを決めた。

4/21 ネット就職活動、ピリピリ(日経夕刊):インターネットを採用活動に利用する企業が増えているが、学生の側では高価なパソコンを持っていなければ不便であるとか、ネット渋滞が発生して締め切りまでに接続できなかったなどの問題が起こっている。

4/21 高校の内定率91.8%に(日経夕刊):労働省がまとめた中間集計によると今春卒業した高校生の3月末時点の就職内定率は91.8%となり、「目標としていた90%を何とか上回る」(労相)結果となった。

4/21 労働者保護法、企業も保護(日経夕刊):野党が提出してる会社分割制度に伴う「労働者保護法」が、アメリカのように「企業は人に冷たい」という認識を生み出さず、有能な人材の流出を防ぐことになり、逆説的に企業を保護することになるとする論説。

4/21〜28 人事制度改革と処遇格差(日経):一橋大経済研究所都留康教授による「やさしい経済学」。

4/21 中途採用者賃金差別、日新火災に賠償命令(日経):新卒採用者と差別しないという説明を受けて中途入社したのに賃金差別を受けたとして、日新火災海上保険の社員が同社を訴えていた訴訟で、東京高裁は会社側に約110万円の支払いを命じる判決を出した。

4/21 安田火災、退職金に成果主義(日経):安田火災海上保険は仕事の成果で社員が受け取る退職金が変動するポイント制退職金制度を導入する。1年ごとにたまる退職金は課長級で最大130万円の差がつく。

4/21 コニカ、管理職年俸に社内カンパニーの連結業績反映(日経):コニカは社内カンパニー別に連結決算を実施し、課長以上の管理職(対象者約750人)の年俸に反映する制度を導入した。