2002年3月上旬の労働関連の記事

3/10 電機連合、スト回避要件は定昇維持(朝日、日経):電機連合は定期昇給など賃金体系の維持と最低年4ヵ月分の一時金確保をストの回避要件とする方針を固めた。一方で、電機大手6社と電機連合との間で産別交渉を開始し、労使が雇用の安定に向けて最大限努力することで合意した。

3/10 自動車春闘、ベアめぐり膠着(朝日、日経):自動車業界では経営側がベアを認めない姿勢に対して、自動車総連はベア1000円を要求し膠着してきたが、総連側はベアの満額回答には拘らず、ベア確保に全力を注ぐ方針に転換した。しかし、ベアの是非をめぐる異例の展開となっており、最終的な賃金水準が見えない状況が続いている。

3/10 「役割給」導入広がる(朝日):組織で果たすべき役割を賃金決定の物差しにする「役割給」と呼ばれる賃金制度を導入する企業が増えており、年功的賃金を解消する大きな原動力となりそうだ。

3/10 2002春闘、パート処遇改善盛り上がらず(日経):連合がパートの処遇改善を春闘で取り上げて2年目になるが、個々の産別では盛り上がりに欠けている状況を伝えている。

3/10 ワークシェアを問う・下(日経):ワークシェアリングによって多様な働き方が認められるようになる可能性について樋口美雄慶応大学教授に聞いている。

3/10 サラリーマンの民間資格、国が認定(日経):厚生労働省はサラリーマンの専門的な能力を評価する民間の資格を国の資格と認定する方針で、ファイナンシャルプランナーや銀行窓口営業係(テラー)といった民間資格取得者について、職業能力開発促進法に基づく「技能士」と認定し、転職に活用しやすくする。

3/10 ボーナス、新日鉄が業界首位転落(日経):新日鉄の一時金が今年、川崎製鉄を初めて下回ることが確実になった。新日鉄が導入する業績連動方式によると今期経常利益がゼロとなるため年間一時金は120万円を下回り、同期に経常利益が出る川鉄は121万円となり、新日鉄は一時金で首位の座を降りることとなった。

3/9 鉄鋼労使、雇用維持で合意(朝日、日経):新日鉄など鉄鋼大手5社の労使は、ベアなしとひきかえに雇用維持について文書にすることで合意。今後2年間、従業員の雇用確保に労使双方が最大限努力することを盛り込む。

3/9 米失業率、2月も改善(朝日、日経):米労働省が発表した2月の米国の失業率は5.5%となり、前月より0.1ポイント低下し、景気回復を示す動きが広がっていることを雇用面でも裏付けた。

3/9 国労とJR東海、配属差別など11事件で和解(朝日):中央労働委員会は、国労東海本部とJR東海などと争っている配属、配転、出向差別など11の不当労働行為事件について和解を勧告し、双方ともこれを受け入れて、一括和解が成立した。

3/9 IT産業の雇用、「中間社員」提言(朝日):経済産業省の産業構造審議会情報経済分科会は、情報技術産業において基幹社員と臨時社員の間に「中間形態社員」を設ける雇用システムを提言した。

3/9 ホンダ、ゼロベアの公算(日経):ホンダは賃上げ交渉においてベースアップゼロを回答する方針を固めた。一時金は金額ベースでトヨタ自動車を上回る6.3ヵ月となる見通しだが、最高益を記録するホンダがベアゼロの方針を固めたことは他社の春闘交渉に大きな影響を与えることになりそうだ。

3/9 電機大手、労組に諸手当下げ提案(日経):電機大手では時間外手当や、休業補償などの諸手当などの引下げを組合側に逆提案する動きが出ている。

3/9 造船重機、ベア攻防労使隔たり(日経):造船重機労連は11日にスト回避基準となる最低妥結水準を示すが、ベア1000円、一時金50万円プラス3.5ヵ月の要求に対して経営側は難色を示しており、満額回答にこだわらない方針に転換しベア500円軸に交渉を進めたい考えだが、経営側はベアには難色を示している。

3/9 ワークシェア政労使協議、政府関与めぐり難航(日経):ワークシェアリングをめぐる政労使による三者協議で、実施企業に対する助成金創出、パート社員の処遇改善ルールの作成、パート社員への社会保険の適用拡大の3点が焦点となっており、連合は前向きだが、日経連は難色を示している。

3/9 人材派遣に息切れ感(日経):急成長が続いていた人材派遣市場の拡大が減速しており、2001年下半期の首都圏主要23社の派遣社数は前年同月比18.7%に留まった。

3/8 高齢者の雇用確保、達成は3割(朝日夕刊):総務省は、60歳から65歳までの雇用確保について、企業への指導不足を指摘し、助成金の支給見直しなどを求める行政評価・監視結果をまとめ、厚生労働省に勧告した。

3/8 問われるパート労働・上(朝日):規制緩和を受けて増加する非正規社員が、正社員と大きな書遇格差に悩んでいる声を紹介している。

3/8 賃上げ要求、見送り倍増(朝日):連合は賃上げ要求状況を公表したが、要求書を提出しなかった組合が1032にのぼり、昨年に比べほぼ倍増し、「ベアなし春闘」の様相を呈していることを裏付けた。

3/8 自治体、12道府県に急速拡大(朝日):朝日新聞社の調べによると、ワークシェアリングを行う自治体が増えており、判明しただけでも12都道府県と64市町に達していることが明らかになった。

3/8 富士通、3000人を異動・削減(日経):富士通は来年度の経営戦略を発表し、来年度は配置転換を中心に3000人の異動・削減を計画している。

3/8 雇用か、賃金か(日経):春闘をやめたキャノンの専務が4月からの職務給への制度変更などの意図を語っている。

3/8 派遣料金、事務職下げ拍車(日経):今春の人材派遣料金交渉で、一般事務職の下げ圧力が強まっている。咋秋から10%前後下げたが、最低水準はさらに100〜200円程度の下落が避けられない情勢だ。

3/7 国労職員差別、神奈川地労委が救済命令(朝日夕刊):JR東日本に勤める国労神奈川地本の組合員が585人が昇進試験で差別を受けたとして、神奈川県地方労働委員会に起こした申し立てで、同委員会は「不当労働行為」の認定し、救済命令を出した。

3/7 NTT東西、新卒採用見送り(日経夕刊):NTT東西地域会社は2003年4月の新卒採用を見送る方針を固めた。3年連続でゼロ採用となる。

3/7 厚生労働省、仕事探しも携帯で(朝日、日経夕刊):厚生労働省はハローワークと民間の職業紹介会社の求人情報が検索できる「しごと情報ネット」の携帯電話版サービスを始める。

3/7 三協精機、賃金3%下げを要請(日経):三協精機製作所は4月から成果・能力主義の新賃金制度を導入するとともに、月例給与を4月から1年間3%引き下げることを組合に申し入れた。

3/7 トヨタ、賃上げ議論なお隔たり(日経):トヨタ自動車の労使が三回めの労使協議会を開催したが、賃上げ要求への満額回答にこだわる労組に対して、賃上げできる状況にないという経営側の主張には大きな隔たりが存在している。

3/7 韓国企業、新卒より即戦力(朝日):韓国で大学などの新卒者の就職難が深刻化している、5年連続で50%を下回る可能性が高い。背景に、即戦力が期待できる転職組の採用が大幅に増え、新卒の枠の削減がある。

3/6 トヨタ、ベア容認へ(朝日夕刊):トヨタ自動車は今春闘でベースアップを容認する方針を明らかにした。過去最高益の好業績が見込まれている中、一時金の満額回答とベア容認もしかたがないと経営側は判断した。

3/6 高卒内定、深刻74.8%(日経):日本経済新聞社が1月末時点でまとめた全国の高卒新卒就職内定者率は74.8%と、前年同期を5.5ポイント下回っていた。各都道府県で前年を上回っていたのは東京都だけで、37道府県で過去最低を記録している。

3/6 鉄鋼5社一時金、企業間格差拡大(日経):鉄鋼大手5社の今春闘の一時金回答額は企業間格差が広がる見込みで、賃金カットを発表している住友金属と神戸製鋼所は組合員平均で100万円を割り込み、川崎製鉄は業績連動方式により120万円程度となる見込み。

3/6 三菱自、2年連続ゼロベアも(日経):三菱自動車の賃上げ交渉で、経営側は賃金カーブの維持は難しいと主張し、定期昇給の実施に難色を示した。これにより、2年連続でゼロベアの可能性が高まり、今後は定昇確保が交渉の軸となりそうである。

3/6 三菱自、人事部門分社化へ(朝日):三菱自動車は人事部門の機能を04年にも分社化する方針を明らかにし、分社化後はグループ企業の事務も請け負い、人件費削減の後押しを行う。

3/5 派遣やバイトに信用の壁(日経夕刊):非正規で働く女性たちが家を借りる際や、カードを作る際に非常に不利な状況におかれていることを伝えている。

3/5 人材派遣、金融関連3年に拡大(朝日、日経):厚生労働省は人材分野の規制緩和を進め、金融の販売・営業職に関する派遣期間を3年に延長する他、製造部門への派遣の拡大を検討することを決めた。

3/5 高校生の就職、複数受験を認めて(朝日、日経):厚生労働省と文部科学省は、高校生の就職活動で「一人一社」に限られている応募慣行を廃止し、複数企業を受けられるよう高校や企業に求めていくことを決めた。

3/5 若者向けハローワーク、相談に力点(朝日):最近オープンした若者向けハローワーク。相談業務や意識の啓発に力をそそぐ若者向けハローワークを紹介している。

3/5 オムロン、1500人削減(日経):オムロンは4月からの1年半で国内グループ従業員の1割強にあたる1500人を削減する。2年間で約900人の削減計画への上積みで、一般社員への早期退職優遇制度の新設などで対応する予定。

3/4 所定内賃金、7ヵ月連続減少(朝日夕刊、日経夕刊):厚生労働省の発表した1月の毎月勤労統計調査によると従業員5人以上の企業で支給された所定内賃金は26万387円で、前年同月比で7ヵ月連続で減少となった。また所定外労働時間も8.7時間と前年同月比7.4%減となり、11ヵ月連続のマイナスとなっている。

3/3 ワークシェアを問う・中(日経):ワークシェアは暫定的な措置として位置付ける日経連副会長の浜田広リコー会長へのインタビュー。

3/3 春闘、曲がり角の理由は?(日経):春闘の歴史と機能、および今春闘の状況について小池和男氏に聞いた「初歩的な質問ですが」。

3/2 失業、半年以上が4割(朝日夕刊):連合が行った「全国雇用アンケート」の速報によると、約4割が6ヵ月以上の長期失業で、平均の失業期間は5.9ヵ月だということが明らかになった。

3/2 短く働く、わたし流(朝日夕刊):ワークシェアリングによって短時間になったことを生かして、自分にあった働き方をしている人たちを取り上げている。

3/2 新卒採用予定企業、過去最低3割どまり(日経):厚生労働省の調査によると、今春卒業見込みの高校生や大学生を採用を予定する企業は約3割に留まり、過去最低を更新。若年労働者の雇用環境は厳しさを増している。

3/2 細る労動力人口(日経):高齢者や女性の労動力率が現状のまま推移すると、日本の労動力人口は2000年の6766万人から2050年には4718万人に減るとする試算を経済産業省は明らかにした。

3/2 松下、定昇維持は困難(日経):松下電器は副社長は今春闘についての記者会見で、定期昇給など現行の賃金体系の維持は難しいことを明らかにし、定昇の見直しを示唆した。

3/2 新日鉄の一時金、川鉄下回る可能性(日経):新日鉄の一時金の回答額が、初めて川崎製鉄を下回る可能性が出てきた。川崎製鉄では既に業績連動型を導入しており年間121万円前後の見通し。新日鉄も同方式を労組に提案しており、それに今期の業績予測を当てはめると113万円前後となる。

3/2 連合、春闘総決起集会(日経):連合は明治公園に組合員2万8500人を集めて「2002春闘中央総決起集会」を開いた。

3/2 独、自国民雇用を最優先(日経):ドイツ連邦議会は、失業率の悪化を受けて、自国民の雇用を最優先した新移民法を可決した。

3/2 中高年採用企業、奨励金の期間延長(朝日):厚生労働省は中高年失業者らを採用した企業に給付する緊急雇用創出特別奨励金の支給期間を8ヵ月末まで6ヵ月間延長する。

3/2 ミサワ、2000人削減(朝日):住宅需要の悪化を受けて、ミサワホームは06年3月期までにグループ社員の2割に当たる2000人を削減。

3/1 1月の完全失業率5.3%(朝日夕刊、日経夕刊):総務省が発表した労働力調査によると、1月の完全失業率は5.3%。前月よりも0.2ポイント減少したが、完全失業者数は前年同月よりも27万人多い344万人。雇用情勢が改善されたというよりも、求職断念者層が増加したとの見方が強い。

3/1 仮眠は労働時間(朝日、日経):24時間勤務における仮眠は労働時間か休憩かをめぐって争われていた訴訟で、最高裁は仮眠時間中も会社の指揮命令下にあり労働時間に当たり、会社側は割増し賃金を支払う必要があるとの判決を下した。

3/1 キャノン、春闘廃止(日経):キャノンは今年から春闘の賃金交渉を取り止め、毎月の労使協議会で経営環境の変化に応じて賃金や雇用調整を適宜話し合う。

3/1 点呼80秒は勤務時間(日経):業務時間前後に行う点呼や引き継ぎの時間数分間が労働時間が労働時間にあたるとして東急電鉄の社員が同社にこの時間分の賃金などを求めていた訴訟で、東京地裁は点呼を業務遂行に必要な準備行為として賃金の支払いを命じた。