2003年6月下旬の労働関連の記事

6/30 職場・社会、今一歩改革を(日経夕刊):連載企画「仕事と生きる」第3部について読者から寄せられた意見を掲載。育児中の休日出勤を免除してほしいと望む声や、賃金での男女格差是正、性別役割の解消など、職場や社会で今一歩改革を求める声などを紹介している。

6/30 現金給与25カ月ぶり増(日経夕刊):厚生労働省が30日発表した5月の毎月勤労統計調査(速報)によると、従業員5人以上の企業の月間平均の現金給与総額は28万1862円と前年同月比0.5%増え、25カ月ぶりに前年水準を上回った。同省ではパート社員の増え方が鈍って基本給に当たる所定内給与の押し下げが弱まったほか、企業リストラの一服も影響したとしている。

6/30 韓国の鉄道スト、産業・交通に影響(日経夕刊):韓国の国鉄労組、全国鉄道労働組合のストは30日も全国で続いた。ナショナルセンターの韓国労働組合総連盟(韓国労総)も同日、傘下タクシー労組を中心に12万人規模(労組側発表)のストを実施。産業活動や交通への影響が拡大している。

6/30 不法就労防止、学校から(日経):来日した留学生らが高収入のアルバイトに就こうと、繁華街の風俗店や飲食店などで働く「出稼ぎ型」学生が後を絶たない。大学や専門学校が不法就労の温床となり、凶悪犯罪に走る例もある。警察・入管当局は学校との連携に活路を見いだし、未然に食い止めようと、異例の講習会を開いた。

6/30 パワハラー中高年も的(日経):昨年1年間に日本労働弁護団が受けた相談165件のうち、約8割は背後にリストラの思惑が見え隠れするという。自主退職に追い込むため行われているパワハラに耐える50代サラリーマンの事例を掲載。

6/30 ゼミナール・若者たちと雇用19(日経):若者の雇用形態としてアルバイトの比重が大きくなる中、社員登用制度ありアルバイトなど、即戦力として期待する企業も多い。サービス業のみならず、製造職種にも広がってきているという。いわば長期のインターンシップ(就業体験)経験者ということで、正社員の有力な人材供給源になっているそうだ。

6/30 製造ライン請負下げ圧力強く(日経):工場の製造ライン請負サービスの料金が下落傾向をたどっている。2003年度内にも製造ラインへの人材派遣が解禁され、今後請負と派遣会社との価格競争が見込まれることも将来の下げ要因だとしている。

6/30 藤田観光、管理職の年功制全廃(日経):藤田観光は2004年から約250人の管理職を対象に年功的な人事処遇制度を全廃する。3段階だった資格等級を一本化し、職歴に関係なく優秀な人材を早く昇進させるのが狙い。

6/30 就業体験、中小企業で(日経):大学が非営組織(NPO)などと組んで、学生に中小企業でインターンシップ(就業体験)に取り組ませようという動きが広がり始めた。背景にあるのは大学生の就職難。「就職先として中小企業を検討してもらうきっかけになれば」と期待が寄せられている。

6/30 富士通、研修成果1年間チェック(日経):富士通は昇級者向けの社内研修を対象に、研修後1年間にわたって参加者の指導や評価を続ける新しい仕組みを導入した。研修内容が仕事に反映されているかを追跡することで、社員の能力向上につなげる。

6/30 厚労省、求職者の収入条件緩和(日経):厚生労働省は有料職業紹介を営む事業者が、求職者から手数料を受け取ることができる条件を来春にも緩和する。現在、手数料を徴収できるのは「年収1200万円以上」の管理職など「経営管理者」と研究者など「科学技術者」に限っているが、年収条件を700万ー800万円以上に引き下げ、対象も一部拡大する方向。

6/30 行員向け緊急融資(朝日):大手行が、賞与カットや賃下げで行員のローン返済が滞らないよう緊急融資制度を相次いで設けている。公的資金の注入申請に伴い夏の賞与をゼロとしたりそなグループのほか、基本給を引き下げたみずほグループも低利融資制度を設けた。

6/29 ダウンサイジングにっぽんーさまよう高齢者雇用(朝日):若い世代が急減する社会を目前にして、就労意欲が高い高年層と、高年層の雇用に及び腰な企業など高齢者雇用をめぐる様々な現状を伝えている。

6/29 旧東独地域、時短スト影響大(朝日):ドイツの旧東独地域で、6月初めから自動車や電機産業の労働者による労働時間短縮を求めるストライキが続き、自動車メーカーに深刻な影響を与えている。28日になって、労働者側がスト終結の意向を表明したものの、一時期は独メーカーが自動車生産を停止する事態に発展。賃金が安く労働力も豊富なハンガリーなど中欧への生産拠点の移転を懸念する声も。

6/29 時の目、政府の若者就職支援(日経):6月上旬にまとめた「若者自立・挑戦プラン」は官民一体となった職業訓練制度の新設が目玉。それには、地域の訓練施設が企業との連携を主体的に考え、「自立」することが不可欠だとし、欧米での取り組み方を紹介している。

6/29 未払い賃金立て替え70倍(日経):国が2002年度に実施した労災保険からの未払い賃金の立て替え払いが、バブル経済時の1990年度の約70倍に激増していることが厚生労働省のまとめで分かった。

6/29 「つなぎ雇用」18万人(日経):失業者を一時的に公的部門で受け入れる政府の「つなぎ雇用」事業の雇用者数が2002年度に、計画を4万人上回る18万人に達した。集計した厚生労働省は事業の対象者を初めて追跡調査。つなぎ雇用の終了から約半年間に「1回以上就業」した人は約6割いた反面、新たな職に一度も就いていない人が35%いたことも分かった。

6/28 「世界への道」は譲らない(日経夕刊):女性起業家には「成長志向が足りない」「技術・数字に弱い」と言った見方が定説のように付きまとう中、そんなイメージを払拭し活躍する女性たちを紹介している。

6/28 改正労働基準法が成立(日経):27日、参院で可決、成立した改正労働基準法について、労働者サイドからさまざまな期待と不安の声が出されていることを伝えている。

6/28 女性比率高いと利益率も高水準ー経産省懇談会報告(日経):経済産業省の懇談会である男女共同参画研究会は27日、従業員に占める女性の比率が高い企業ほど利益率が高いとする報告書をまとめた。業種や規模が同じ企業では、女性の比率が10ポイント程度高いと、総資産利益率(ROA)が0.2ポイント高くなるという結果が出た。

6/28 障害者の法定雇用率、応じない社名公表(朝日、日経):厚生労働省は27日、障害者雇用促進法で定められた法定雇用率(従業員56人以上の民間企業で1.8%)を達成していない企業のうち、雇い入れ勧告や特別指導などに従わなかったとして、成田空港で航空機の清掃などをしている「日本空港サービス」の社名を公表した。4月まで障害者を1人も雇っていなかった。社会的制裁の意味をもつ社名公表は、92年に4社を公表して以来11年ぶり。

6/27 労基法改正、なくならぬ解雇の不安(朝日夕刊):解雇ルールなどを盛り込んだ改正労働基準法について、「労働者保護の具体的な規定はなく、状況は変わらない」といった声が早くも労働組合などから上がっている。有期雇用の拡大をめぐっても、不安定な雇用が増えるだけだとの批判が根強い。

6/27 改正労基法成立(朝日夕刊):従業員を解雇する時の基準などを盛り込んだ改正労働基準法が27日、参院本会議で可決、成立した。客観的に合理的な理由を欠く解雇は、権利の乱用として無効とした。また、有期雇用の契約期間の上限を原則3年に、専門職などが5年に延長される。市場万能論のご託宣の下、底なしで劣化していく労働法制。進む先は一億総フリーター化か。

6/27 失業率横ばい5.4%(日経夕刊、朝日夕刊):総務省が発表した5月の完全失業率(季節調整値)は5.4%と、前月と同じ水準だった。完全失業者数は前年同月と同じ375万人。就業者数が26カ月ぶりに増加するなど一部に改善の動きもあるが雇用情勢は依然厳しさが続いている。男女別の完全失業率は男性が5.6%、女性は5.1%と、ともに前月と同率。若年層(15ー24歳)の完全失業率は11.1%と高水準。

6/27 ゼミナール・若者たちと雇用18(日経):トライアル(試行)雇用と同様、新卒者の入り口として使われることが多くなった紹介予定派遣。しかし、派遣先企業に正社員として雇用してもらえる保証はないので、そこで培った就労経験を次のステップに生かせるような仕組みを早急に整備する必要を説いている。

6/27 フィアット1万2300人削減(日経):イタリアのフィアット・グループは26日、12工場の閉鎖や1万2300人の削減、18億ユーロ(約2450億円)の増資などを柱とする経営再建計画を発表した。

6/26 連合、統一要求基準を来春闘で示さず(日経夕刊、27日朝日):連合は来春闘では統一要求基準をを示さず、賃金制度整備などすべての労組が取り組むべき最低限の課題を提示、全体の底上げをはかることに重点を置く方針を提案した。

6/26 減らないセクハラ相談(日経夕刊):セクシャル・ハラスメント(性的な嫌がらせ)がいっこうに減る気配がない。2002年度に全国の労働局雇用均等室に寄せられる男女雇用機会均等法関連の相談件数、同室が企業に対して行った是正指導件数のうち、最も多いのはセクハラ関連。根絶できない原因を探っている。

6/26 旧三井三池じん肺補償・元従業員と和解、全面解決へ(朝日、日経夕刊):福岡県大牟田市の旧三井三池炭坑のじん肺を巡る補償問題で、三井鉱山、三井石炭鉱業両社が、元従業員らで作る「不知火珪友会」に約8億6千万円の補償金を支払うことで和解が成立した。国内最大級の旧三池炭鉱で起きたじん肺をめぐる補償問題は、この和解で全面解決することになる。

6/26 韓国で6万人スト(日経):韓国のナショナルセンター、全国民主労働組合総連盟(民主労総)は25日、6万6千人が参加して労働者の待遇改善などを求める4時間の時限ストを実施した。韓国労働組合総連盟(韓国労総)も30日に20万人規模のゼネストを計画。現代自動車や金属産業連盟も7月2日に第2波のストに突入する予定。

6/26 ゼミナール・若者たちと雇用17(日経):2001年から若年者にも適用範囲が広げられたトライアル(試行)雇用。これまでに約4万人の若者が利用し、このうち終了者の8割近くに当たる約1万9千人が常用雇用に移行しており、広がりをみせている。

6/26 日通が人件費、年100億円削減(日経):日本通運は2008年3月期までの5年間、人件費を年百億円程度ずつ削減する。国内で過去の事業拡大期に大量採用した社員の定年退職が本格化しており、退職に伴う人員減を低賃金の若年社員で補充する。

6/25 「労働者」消えた経済大国(朝日夕刊):現在の労働者像は、リストラに怯える中高年従業員、競争に前向きな若いエリート、半失業のヤング・ノンエリートの3つのグループにわけられるが、どのグループをとっても連帯し、しんどさを共有する仲間が消滅しており、「労働者」という階層が見えなくなった経済大国日本を憂慮する熊沢誠甲南大教授による評論。

 

6/25 英ソニー・エリクソン、年内に500人削減(日経夕刊):携帯電話機世界5位に英ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは年内をメドに全従業員の1割強に相当する約500人を削減すると発表した。米国で主流の携帯電話規格「CDMA」向けの製品開発から撤退、欧州やアジアで普及する「GSM」規格向けに経営資源を集中する。

6/25 ゼミナール・若者たちと雇用16(日経):職業選択を助けるツールとして、職業適性検査や診断システムの利用が人気だが、一方、データーに頼り過ぎる若者が多すぎると指摘。検査結果は一つのきっかけとしてとらえ、若者自身が主体的に職業の判断と選択が行えるよう、周囲の関係者によるサポートが必要だとしている。

6/25 中高年転職支援の新会社(日経):人材派遣大手のパソナはソニーや野村証券、キャノンなど大手企業34社と共同で、中高年社員の転職支援のための共同出資会社(関東雇用創出機構)を設立する。出資会社の社員が中堅・中小企業などに再就職するのを支援。7月上旬に会社を設立、10月に業務を始める。

6/25 共働き増え外食依存(日経):世帯主の収入減を補おうと配偶者がパートなどで働きに出た結果、家事の時間が減って割高な外食への依存度が増していることが第一生命経済研究所の調査で分かった。食料関連支出の割合上昇は、食の楽しみ重視の結果ではなく、家計の厳しさを映し出している。

6/25 労働経済白書、多様な就業形態実態分析に重点(日経):厚生労働省は2003年度版の「労働経済の分析」(労働経済白書)の骨格をまとめた。多様化する就業形態の実態分析に重点を置き、従来型の雇用慣行が崩れる現状をふまえ、雇用流動化を促すための労働政策の立案に役立てる。

6/24 青少年の失業率上昇(日経夕刊):政府は24日の閣議で、2003年版「青少年の現状と施策」(青少年白書)を決定した。高い失業率の背景として、雇用環境の悪化に加え、フリーターや早期離職の増加を指摘。高失業化を懸念している。

6/24 男女平等先進国にみるポジティブアクション(朝日):職場で女性が活躍しにくい仕組みを取り除くポジティブアクションを進める動きが、先進国で活発化しているとして、男女平等先進国ノルウェーの現状と遅れをとっている日本の問題点を伝えている。

6/24 ゼミナール・若者たちと雇用15(日経):日本は欧州11カ国との比較では、大学で得た知識・技術を職業生活に使ってる人の割合が最も低い。高校や大学でインターンシップが急速に増えているが、さらに、職業人を念頭に置いたカリキュラムを学校に導入し、産業界は協力する必要があるとしている。

6/24 たまった疲れ、自分で診断(日経、朝日):厚生労働省は23日、過労防止のため、労働者が自分で疲労蓄積度を診断できるチェックリストを作成した。リストは同省の外郭団体「中央労働災害防止協会」のホームページに掲載。判定結果の悪い人は産業医や上司に相談するよう呼びかけている。

6/23 成果主義、平等へ追い風(日経夕刊):「成果・能力主義」を歓迎する女性たちを紹介するとともに、男女間の格差を完全に解消するためには、女性が家庭と仕事と両立できるよう配慮が必要だとしている。

6/23 民間出身校長自殺、公務災害認定遺族が請求へ(日経、朝日):民間出身の広島県尾道市立小学校の校長が3月に自殺した問題で、遺族が地方公務員災害補償基金広島県支部に公務災害の認定を請求するための準備を進めていることが22日分かった。

6/23 公務員給与勧告2年連続下げへ(日経):人事院は2003年度の国家公務員給与の人事院勧告の基礎資料となる民間給与実態調査を終えた。今年の春闘では民間企業の平均賃上げ率が昨年以上に低下していることから、8月上旬の人事院勧告は、昨年に続き2年連続で引き下げ勧告となることが予想される。

6/23 りそな、社員に融資最大100万円(日経):りそなホールディングスは傘下銀行の社員向けに最大100万円の特別融資制度を始めた。経営陣はリストラ策として夏の賞与見送りを検討しており、同融資で住宅ローンなどを抱える社員の生活設計が狂わないように配慮する。

6/23 Jエナジー・一時金、業績連動制に(日経):新日鉱ホールディングス傘下のジャパンエナジーは今年夏から労働組合員の一時金に業績連動制を導入する。年次で決まる部分と成果反映部分で構成する個人の基本金額を算出し、同社の単独の経常利益に応じた倍率をかけて支給額を決定する。

6/23 経営学の検定、29日に初試験(日経):経営学者らがつくるNPO法人、経営能力開発センターは、経営に関する専門知識の新たな資格制度「経営学検定試験」を今年から実施する。まず大学2ー3年生のレベルに相当する「初級」で29日に試験を実施する。

6/23 YKKの社員7割9500人転籍(日経):ファスナー最大手のYKKは10月1日付で正社員の約7割に相当する約9500人を建材販売子会社のYKKAPに転籍させる。

6/23 臨床試験のプロ育成(日経):製薬会社が新薬開発時に実施する臨床試験(治験)に必要な人材を育成・供給しようという動きが広がっている。来春には臨床試験の管理を手掛ける「治験コーディネーター(CRC)」を養成する大学院が初めて誕生。人材派遣会社が治験分野の派遣に進出する例も相次ぐ。

6/23 ゼミナール・若者たちと雇用14(日経):小中学校段階でのキャリア教育が重要だとし、「総合的学習の時間」の中で行われる職場体験学習は単発に終わるのではなく、生涯にわたるキャリア形成過程の1ステップとなるよう、行政、産業界、地域社会などとの連携が必要だと述べている。

6/23 パワハラー部下の悲鳴(日経):上司による指導は教育なのか、パワーハラスメント(職権を背景に人権を侵害する言動で精神的苦痛を与えること)なのか。企業心理相談窓口を請け負う会社にはパワハラに悩む多くの相談が寄せられているという。

6/21 厚労省、勤務時間など在宅向け指針(日経):厚生労働省は在宅勤務の指針を03年度中に作成するため、夏をメドに研究会を設置する。空調などの労働環境や勤務時間の基準を明確にし、在宅で多く見られる長時間労働を防ぐ。少子化対策として、仕事と子育てを両立できるように就労環境を多様化する狙いもある。

6/21 ダウンサイジングにっぽん・外国人労働の虚実(朝日):人口減社会の到来を目前に控え、「必要な分野に必要な量を的確に受け入れることができる制度」の検討がうたわれている中、問題が山積している外国人労働者などの雇用問題の現状を伝えている。

6/21 就職あっせん、民間委託に成功報酬(日経):政府は公共職業安定所(ハローワーク)の就職あっせん業務を民間会社に委託する際、委託料や長期就労の成功報酬支払いなど、資金面で支援する。1年以上失業していた人が就職し、6カ月以上働き続けた場合、一人当たり最大で80万円を仲介した企業に支払う方針を決め、04年度予算に盛り込む。

6/21 採用時、無断でB型肝炎検査・国民金融公庫に賠償命じる判決(朝日):採用時の健康診断でB型肝炎とわかり、内定を取り消されたとして東京都内の男性が国民生活金融公庫を相手に1500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地裁であった。伊藤由起子裁判官は「同意を得ないウイルス検査でプライバシー権を侵害し、違法だ」と述べ、慰謝料150万円の支払いを命じた。