2003年8月上旬の労働関連の記事

8/10 国連委・男女差別、日本に勧告(朝日):日本政府の女性差別撤廃条約の実施度を審査してきた国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)の最終コメントによると、「総合職」「一般職」が男女差別の隠れみのになっているとし、こうした「間接差別」を法律で明確に差別として定義し、周知させることを勧告。実質的な男女平等が遅れている点を指摘した。

8/10 妻の育児不安「仕事に影響」65%(日経):厚生労働省の外郭団体「日本労働研究機構」の調査によると、「妻の育児不安が仕事に影響を与えたことがある」と感じている男性が7割近くに上ることが分かった。育児環境が整わないことが企業活動にも影響を与えている実態が明らかになった。

8/9 「労働審判」導入へ(朝日、日経):政府の司法制度改革推進本部は8日、労働関係紛争を迅速に解決するために、新たに労働審判制度を導入する方針を固めた。雇用・労使関係の専門家が裁判官と一緒に審理し、3回程度で結論を出す制度を目指す。

8/8 韓国朝興銀、労組が頭取選任妨害(日経):韓国では労組の行き過ぎた経営介入が深刻な問題になっているが、今度は新頭取選任の取締役会を実力で阻止。トップ人事の妨害にまで発展している。

8/8 少子化対策、子育て交付金・育休の延長も(朝日、日経):厚生労働省の「次世代育成支援施策の在り方に関する研究会」は7日、報告書をまとめ、子育てのための交付金制度の創設や育児休業期間の延長など、包括的な少子化対策を提唱した。

8/7 労働紛争に「裁定制度」(日経):政府の司法制度改革推進本部は8日に開く労働検討会で労働裁判改革の中間報告をまとめる。「労働参審制」の代案として「裁定制度」を新設。審理回数を制限するなど早期解決を目指す。

8/7 ドイツ失業者435万人に増加(日経):ドイツ連邦雇用庁によると7月の失業者数は435万2000人で、前年同月に比べて30万5000人増えた。前月比でも9万4500人の増加。失業率は前月より0.2ポイント上昇の10.4%で、依然厳しい雇用情勢が続いている。

8/7 職員の夏季賞与・大証1割カット(日経):大阪証券取引所は野口卓夫元副理事長らによる相場操縦事件で証券取引等監視委員会から大証が告発されたことを受け、職員の夏季賞与を当初提案した金額から平均で1割以上削減した額を組合に提示したと発表した。

8/7 JT工場3割閉鎖、4000人削減(朝日、日経):日本たばこ産業(JT)は国内のたばこ総需要が05年度まで年3%減少することを前提にした新中期経営計画を発表。全社員の2割強にあたる4000人の希望退職を募り、工場は約3分の1にあたる5,6カ所を廃止する。

8/7 タクシー運転手死亡「エコノミー症候群」で労災認定(朝日):仕事中に肺梗塞で死亡した大阪市の男性タクシー運転手について、大阪労働局が「長時間座り続けたことによるエコノミークラス症候群が原因」と判断し、労災認定していたことが分かった。同症候群をめぐる労災認定が明らかになったのは初。運転手は約7時間20分にわたり、ほぼ座り続けて勤務していた。

8/6 ニュースなるほど・米雇用情勢厳しさ続く(日経夕刊):米国で厳しい雇用情勢が続いている。特に目立つのが製造業の人員削減で過去3年、200万人超がリストラの対象にとなった。大統領選挙の行方も左右しかねないとしている。

8/6 現代自、労使交渉が妥結(日経夕刊):韓国の現代自動車の労使交渉が5日深夜、妥結した。海外生産などを決める際には「労使共同委員会」の審議で議決するとし、労組の一部経営参加を韓国の大手企業で初めて認めた。週休2日制を9月1日から導入するほか、賃上げ率も8.6%と高率で経営側が譲歩した。 

8/6 「過労運転」指示の疑い(朝日):運転手に「過労運転」をさせたとして兵庫県警は5日、「三和組運送店」の運行管理者ら運送会社3社の計3人を道交法違反(過労運転の命令など)の疑いで逮捕した。事故を防ぐために逮捕に踏み切るのは極めて異例という。

8/6 新入社員は安定志向(朝日):産業能率大学が新入社員に行ったアンケートによると、入れた会社で管理職を目指して長く勤め、社長のイスは望まないといった傾向が出た。年功序列や終身雇用への支持が増えている。チャレンジ精神が希薄化し、安定志向が強まっていると分析している。

8/6 うつと向き合う・職場からの報告(下)(日経):職場でうつに陥った人を見守るには、産業医、主治医、上司、人事担当者そして家族との連携が必要だとし、今年、7月開催された「うつ病アカミー」など、さまざまな活動を伝えている。

8/6 離職者高止まり682万人(日経、朝日):厚生労働省が5日発表した2002年の雇用動向調査によると、昨年1年間に仕事を辞めた離職者は682万人。就職者は85万人少ない597万人。9年連続で離職者が就職者を上回り、その差は3年連続の拡大となった。

8/5 父親の育児休業「緊急時に」6割(日経夕刊):ベビーフードメーカー大手の和光堂が6月上旬に行った「父親の育児参加に関する調査」によると、男性では一定期間の育児休業より、子どもや妻の病気など緊急時に休むことを求める声が強い(62.3%)ことが明かになった。また、父親の4人に1人が育児休業の取得そのものに否定的なことが分かった。

8/5 30代女性にもリストラ不安(日経夕刊):各地の電話相談などでも30代からのリストラに関する相談が急増しているという。特に女性は企業が契約社員など非正社員への転換を進めており、バブル期に大量採用された30代にしわ寄せが来ているという。

8/5 うつと向き合う・職場からの報告(中)(日経):過労からうつ病になる事態を早期に発見するために残業調査やストレス診断を導入するなど、職場環境の改善に取り組む企業を取り上げている。

8/5 厚労省・長期失業対策に重点、若年層にも支援(日経):厚生労働省は4日、労働政策審議会(厚労省の諮問機関)に2004年度の労働政策の重点事項案を示した。長期失業者対策では民間職業紹介業者にすべて委託。若年失業者については企業で実習を受けながら、同時平行で専修学校などで職業訓練を受ける「デュアル・システム」を導入する。

8/5 育児休暇、最長2年に(日経):厚生労働省は育児・介護休業法の改正に乗り出す。育児休暇「最長1年」の取得を、「最長2年程度」とすることを検討する。有期雇用者への適用拡大も目指す。

8/4 キャリア・コンサルタント(日経夕刊):転職や再就職など、キャリア選択に悩む人に助言や支援をする「キャリア・コンサルタント」。仕事経験の積み重ねが強みになり、年齢がハンディにならないため、女性に注目されているという。政府も5年間で5万人の育成目標を掲げるなど、キャリア・コンサルタントを目指す女性たちの姿を追っている。

8/4 業務の一部地方移管、雇用摩擦を引き起こす(朝日):全国の自治体で企業誘致の新たな助成制度が設けられ、経費削減を狙う企業が業務の一部を地方に移す動きが広がっているが、雇用の場の移転をめぐりきしみが生じている。新規雇用に助成金を出す長崎県と長崎市に業務の一部を移した米大手金融グループAIG傘下のAIGスター生命保険の本社嘱託社員が「移管で解雇を通告され、誠意ある交渉をしてもらえない」として、都労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。

8/4 サラリーマン・読者から(下)世代ギャップ(日経):パワーハラスメント(パワハラ)の連載について寄せられた意見は、多くの職場で世代間の意思疎通の難しさを伝えるものだった。

8/4 うつと向き合う・職場からの報告(上)(日経):働き盛りの社員にうつ病が増えている。社員のメンタルヘルスに本腰をいれる企業も増加しているが、表面は症状や回復具合が分かりにくいため、職場での対応も揺れる。試行錯誤するその現場を探っている。

8/4 関東雇用創出機構が発足(日経):パソナ、ソニー、キャノンなど28社の共同出資で中高年社員の転職支援会社、関東雇用創出機構が発足。出資企業から出向で受け入れた社員が、派遣社員などをしながら新たな就業先を探す場で、中高年社員にとっては失業せずに転職できる仕組みを作り出そうという試みである。

8/4 新日本石油、一時金を業績連動制に(日経):新日本石油と精製子会社の新日本石油精製は組合員の一時金を経常損益によって増減させる制度を導入した。また、来春をめどに給与の決定方法でもより成果重視するシステムを導入することを検討している。

 

8/4 関西ペイントが定年退職者を65歳まで再雇用(日経):関西ペイントは、定年退職者のうち希望者を最長で満65歳まで再雇用するシニア社員制度を導入した。契約期間は1年で、毎年契約を更新していく。

8/4 京セラ・幹部研修、海外も共通化(日経):京セラは国内外でのグループ企業で実施する幹部研修カリキュラムを統一。グローバル化の進展にあわせて人事交流や共同事業を円滑化するのに役立てる。

8/4 中国、今年は1400万人が実質失業(日経):中国の労働社会保障省によると、同国の6月末時点の都市部の失業者数(国有企業の一時帰休者などは除く)は昨年末比3.2%増の795万人で失業率は同0.2ポイント高い4.2%。同省によると飲食・サービス業がSARSの影響で振るわず今年一年間で1400万人が実質的に失業状態に置かれるという。

 

8/3 有給休暇取得を促進(朝日):国土交通省が文部科学省や厚生労働省など関係省庁とともに旅行需要を喚起するため、有給休暇の取得を促進する取り組みを強化している。日本では取得率約50%と世界的にも極めて低いという。個人消費の活性化で景気を浮揚させたい考え。

8/3 長期の失業者、就業民間委託(朝日):厚生労働省は来年度から、長期失業者(1年以上失業している人)を民間の職業紹介会社へ委託する事業を始める。失業者が就職・定着すれば職業紹介会社にボーナスを支払う「成功報酬制」も初めて導入する。来年度から札幌、東京、名古屋、大阪、福岡の5都市10地域で実施、成果を見て全国展開する方針。

8/3 02年度過労死の労災認定件数160件(日経):厚生労働省の調査によると、2002年度に労働者災害(労災)に認定された過労死は前年度の2.8倍、160件で過去最多。仕事が原因のうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)など精神障害の労災申請も前年度比約1.4倍と過去最多となった。

8/2 獣医師自殺、公務災害(朝日夕刊、日経夕刊):国内4頭目の牛海綿状脳症(BSE)感染牛を検査した北海道釧路保健所の獣医師浜田恵子さんが自殺した問題で地方公務員災害補償基金は、公務上の災害と認めた。

8/2 腕利きパート高時給(日経):看護師や薬剤師のように資格が必要な仕事のみならず、専門知識を発揮して働くパートタイマーの時給が上昇している背景を探っている。

8/2 「求人・求職票」記入詳細に(日経):全国のハローワークで掲示している「求人票」と失業者らが提出する「求職票」について、厚生労働省は大幅に見直すことを決めた。雇用形態を明記するほか、自己PR欄などを追加。今秋から順次導入する。

8/2 配転は「差別」国労職員訴え(朝日):国労に勤務する書記職員2人が一方的に配置転換を言い渡されたとして配転命令の効力停止を求める仮処分を東京地裁に申し立てた。

8/2 米失業率改善6.2%に(朝日、日経):米労働省が1日発表した7月の失業率は6.2%で、前月比0.2ポイント改善した。失業率の低下は6カ月ぶり。しかし、非農業部門の就業者数は前月より4万4千人減少しており、米雇用情勢の低迷が続いている。

8/1 厚生労働白書、世代間ワークシェア提言(朝日夕刊、日経夕刊):厚生労働省は1日、03年の厚生労働白書を発表した。高齢者が働き続けられる仕組みを作ることで、子育て世代の負担を減らす「世代間のワークシェアリング」を進めることを提言している。

8/1 不当労働行為、審査計画策定を(日経):「不当労働行為」の審査制度のあり方について検討していた厚生労働省の研究会が報告書をまとめた。長期化する労働委員会での審査機関を短縮するため、あらかじめ事件処理の計画を作成するなど、抜本的な見直しを提言。来年にも労働組合法の改正を目指す。

8/1 社保庁職員「過労自殺」、国に賠償求め遺族が提訴(朝日):97年に自殺した社会保険庁職員横森真二さんの両親が31日、国を相手取り、総額約1億2千万円の損害賠償を求める訴訟を甲府地裁に起こした。横森さんの自殺は労災認定されたが、過重業務を負わせた国の責任が明らかにされていないと提訴に踏み切った。労災認定された「過労自殺」で国に賠償を求めるのは初。