2003年11月上旬の労働関連の記事

11/10 精神障害の労災請求、急増(日経夕刊、朝日夕刊):仕事のストレスが原因でうつ病などの精神障害を発症したとして労災請求した件数が今年度上半期ですでに200件を超え、過去最多の昨年度を上回るペースで増えていることが厚生労働省のまとめで分かった。世代の殻に閉じこもらず、価値観をぶつけ合い、違いを乗り越えて連携する。そうすることで働くことの新しい意味が発見できるとしている。

11/10 企業の社会的責任「CSR」重く(日経夕刊):企業の社会的責任「CSR」への関心が高まっている。環境や人権に配慮した活動を行おうと、国際的な基準作りも行われており、この中の人権への配慮項目に、職場での女性の地位向上に関する項目が挙がっている。本当に企業は、女性管理職を増やすことなどを「社会的責任」と考えているのか、現状を追っている。

11/10 サラリーマン「労働者の権利」掲げても(日経):労組役員の女性登用は会社側以上に遅れている中、積極的に女性登用に取り組んでいるサンウエーブ工業と東芝労組を取り上げ、現状を伝えている。

11/9 再就職支援サービス、下落傾向一段と(日経):雇用調整企業の依頼を受けて対象者の再就職をあっせんする再就職支援サービスの受託料金は下落傾向を強めている。人員を削減する企業が再就職支援会社に払う料金は、一人当たり、昨年より5−10万円ほど安い約80万−85万円。

11/8 働くということ「近道人生」(日経):世代の殻に閉じこもらず、価値観をぶつけ合い、違いを乗り越えて連携する。そうすることで働くことの新しい意味が発見できるとしている。

11/8 熟練工・若手、ペア生産(朝日):自動車各社が、経験豊富な熟練工の育成に力を入れている。ダイハツ工業池田工場は、熟練技能者を育てる実験場の「エキスパートセンター」を創設した。軽自動車のスズキは今年4月から熟練工と若手が2人1組で手作業中心の生産行程に携わる技能伝承制度を始めた。

11/8 米の失業率6%、前月比0.1ポイント改善(朝日、日経):米労働省が発表した10月の失業率は6.0%で、前月に比べ0.1ポイント改善した。失業率の低下は2カ月ぶり。非農業部門の就業者数は前月より12万6千人増えた。

11/8 紹介予定派遣、最長半年に(朝日):厚生労働省は来年3月に予定される改正労働者派遣法の施行に当たり、政省令などで定める施行規則を固めた。紹介予定派遣の派遣期間は最長6カ月とし、派遣先が派遣労働者を不採用にする場合には書面による理由説明を求める。

11/7 松下、系列家電店に後継者あっせん(日経夕刊):松下電器産業は2004年から、店主が高齢化している系列家電店に後継者をあっせんする支援策を始める。30歳前後の脱サラ希望者や求職者をインターネットで募集し、人出を求める店舗に紹介する。

11/7 50代、会社からの巣立ち(朝日):50代半ばにさしかかった団塊の社員向けに「独立」を応援する制度を作る会社が増えている。制度を利用した社員たちを追っている。

11/7 男の育休、こう見直せば(朝日):昨年の男性の育休取得率は0.33%。政府は育休を取りやすくしようと取得率10%の目標を掲げて育休制度の見直しに着手した。育休を取らなかった男性、取った男性に本音を聞いている。

11/7 冬のボーナス7年ぶり増加(朝日、11/8日経):みずほ証券のまとめでは、民間企業(パートを含む従業員5人以上)に勤めるサラリーマンが受け取る今冬のボーナスは7年ぶりのプラスとなり、平均支給額前年同期比1.0%増の約44万円となる見込み。

11/7 独失業率0.1ポイント改善(日経):ドイツ連邦雇用長が発表した10月の失業率は10.0%となり、前月より0.1ポイント低下した。

11/7 米労働生産性8.1%上昇(日経):米労働省が発表した7−9月期の非農業部門の労働生産性(季節調整済み、1992年=100)の速報値は131.4となり、前期比8.1%上昇。前期(7.0%上昇)から伸びが拡大し、企業の生産性の工場が続いていることを裏付けた。

11/7 郵政公社総合職、合格者の半数が辞退(日経、11/8朝日):日本郵政公社に来春入社する予定の総合職合格者の半数近くが入社を辞退していることが明らかになった。郵政民営化の論議が混迷、合格者の間で将来への不安が高まったことが原因の一つとみられる。

11/7 65歳へ定年延長、日商も反対表明(日経):山口信夫日本商工会議所会頭は、坂口力厚生労働相が表明した65歳への定年延長または継続雇用を企業に義務付ける案について「法律で決めれば中小企業に大きな影響が出る」と反対する考えを示した。

11/7 働くということ「ニュータウン後遺症」(日経):日本経済を牽引してきた50代の団塊世代。目前に迫っている急激な世代交代は、「ポスト団塊」層の働き方も揺さぶっている。団塊前後の断層をどう埋めるかが社会全体の問題となっている。

11/6 独身女性の6割、不眠の症状訴え(日経夕刊):精神科医や薬剤師らで厚生する「セルフメディケーションによる睡眠改善を考える会」の実施した調査によると、仕事をもつ独身女性の62.6%が不眠の悩みを抱えており、20代後半から30代後半にかけての層が顕著ということが明らかになった。

11/6 電機大手の賃金改革加速(日経):日立製作所が、製造現場を含めた全従業員の賃金を成果・能力給型に移行することを決めたことで、2004年度導入を目指した三洋電機や松下電器産業など電機大手の賃金・処遇制度改革が本格化する。

11/6 働くということ「育児休業すきま風」(日経):男女雇用機会均等法や育児・介護休業法といった働きやすい環境を整えるための制度だが、旧来の発想や世代間の意識の壁がせっかくの仕組みを空疎なものにし、働く喜びをそいでいるという。

11/6 松坂屋でサービス残業(朝日):大手百貨店の松坂屋が東京・上野店の社員にサービス残業をさせたとして、上野労働基準監督署が労働基準法に基づき是正勧告していたことが分かった。同社は01年7月〜03年6月の2年間、店頭販売を受け持つ321人に未払いがあったと認め、計約1億1000万円を支払った。

11/6 定昇見直し広がる(朝日):日立製作所が04年4月から賃金の定期昇給(定昇)相当分を全廃し、個人の能力や成果で給与を決める新制度に移行する。三菱電機も定昇の一部廃止を含めた新たな賃金制度の導入を検討中。NECも賃金制度の見直しを協議している。

11/5 雇用助成金6制度統廃合(朝日夕刊、11/6日経):厚生労働省は、失業者を雇い入れたり、社員の能力開発をしたりした企業などに支給する雇用対策の助成金が使われていないとの指摘を受け、来年度、現行の35制度のうち6制度を廃止・統合する方針を決めた。

11/5 コース別賃金訴訟、兼松女性社員ら敗訴(日経夕刊、朝日夕刊):「コース別人事で不当な賃金の男女差別を受けた」として、兼松の女性社員ら6人が同社に賃金の差額など計3億1000万円の支払いを求めた訴訟の判決が東京地裁であり、「兼松の男女のコース別の処遇が、公序に反するとまではいえない」などとして原告の請求を棄却した。

11/5 米タイコ、7200人削減へ(日経夕刊):米複合企業タイコ・インターナショナルは総人員の3%、7200人の削減を柱としたリストラ計画を発表した。製造、物流、販売など219拠点を統廃合する予定。

11/5 ボーナス、みずほ・UFJ今冬据え置き(日経):みずほフィナンシャルグループとUFJホールディングスが今冬支給する行員の賞与(ボーナス)を昨年冬と同水準に据え置く見通しとなった。すでに実質的な賃下げを進めている上、業績が好調なこともあり、これ以上の賞与カットは行員の勤労意欲を減退させかねないと判断。

11/5 働くということ「70歳定年制」(日経):生きがいを求め働き続けたいと切望する高齢者と年下世代のイスを奪うなどと、生じてくる摩擦をどう解消するのか、新しい枠組みの必要性を説いている。

11/5 日立、年功賃金を廃止(日経):日立製作所は工場を含む前従業員の年功型賃金を全面撤廃し、2004年4月から仕事の成果と毎年の能力評価で給与が決まる新賃金制度を導入する。「定期昇給」相当分も廃止する。

11/5 OECD・母親の就労支援、提言(朝日、日経夕刊):経済協力開発機構(OECD)は日本の税制や社会保障、雇用政策が働く親たちに与える影響を調査した「家庭にやさしい政策」についての審査報告書を公表し、パートタイマーの年金制度の整備や、求人の年齢制限撤廃などを柱とする政策提言をした。働く母親の支援を拡充すれば、2030年の就業人口は90年並みの6千万人になり、労働力不足は回避できるという。

11/4 厚労省と劇団組み、フリーター対策(日経夕刊):厚生労働省はサラリーマン社会を題材にしたミュージカルを全国で上演する劇団「ふるさときゃらばん」と協力し、異例のフリーター対策に乗り出す。演劇の裏方に参加し、仕事をやり遂げる喜びを経験してもらいたいという。関東、関西のフリーター向け就職支援施設「ヤングジョブスポット」で募集する。

11/4 非正社員や臨時職員、「法の保護」なく苦境に(日経夕刊):非正社員として働く女性は、今や全女性労働者の過半数。この結果、育児休業などの正社員に認められている法的権利を行使できない女性が増えてきている。「法外」の立場に置かれた女性たちの現状を探っている。

11/4 英郵便で大規模スト(日経夕刊):旧郵便公社の事業を引き継いだロイヤル・メール・グループで賃金問題を巡る大規模な非公式ストが発生。ロンドンを中心に10日上わたり、郵便物が届かない状況が続いている。郵便自由化に対応した株式会社化以降、加速するリストラに従業員の不満が噴き出している。

11/4 働くということ「増殖する後期子供」(日経):400万とも推計されるフリーター。さまよう若者と、ものわかりのいい親との甘えの構図を破らない限り、日本を覆う将来への不安は払拭できないとしている。

11/4 外国人労働者のいま(上)(朝日):「人身売買」が問題になっている。途上国から国内の生産業や工場に送られる働き手の窮状が明らかになり「不法就労者」として罰するより「被害者」として支える枠組みづくりの動きも芽生えてきているという。

11/4 ものづくり経営、東大で探求(朝日):東京大学は大手企業と協力し、「ものづくり経営研究センター」を年内に発足させる。民間から教授ら30人起用。トヨタ生産方式など日本の製造業がもつ知的資産を共同で分析。東大生にも解放して技術や経営を学んでもらうなど産学連携の場にしたい考え。

11/4郵政公社バイト、給与ランク分け(日経):日本郵政公社は、全国で12万人が働くアルバイト職員について、仕事の習熟度に応じて3つのランクに分け、給与に差をつける方針を決めた。日本マクドナルドがバイト店員の意識向上に役立てている手法を導入したもの。先週に労働組合には提案済みで、来年4月の実施を目指す。

11/3 「社内いじめ」に労災認定(日経、朝日):横浜市の健康食品製造販売会社、ファンケルに勤務する30代の男性社員2人が「会社内で仕事を与えられず、うつ病になった」として出した労災申請について、横浜西労働基準監督署が8月、労災認定していたことが分かった。

11/3 東京電力、営業課長職に行動特性評価(日経):東京電力は昨年10月、営業部門のグループマネージャー(課長職に相当)を対象に、コンピテンシー(行動特性)評価を柱とする人事制度を導入した。目標に対する達成度だけでなく、何を実行したかというプロセスを重視。業務の改善すべき点を明確にした結果、顧客満足度が向上するという成果も表れている。

11/3 パートへの厚生年金適用拡大、厚労相「一定の猶予期間」(日経):坂口力厚生労働相は、パート労働者への厚生年金適用拡大について「来年から週20時間以上働く人に一気に適用するのは難しい」と述べ、一定の猶予期間を設ける考えを表明した。

11/3 若者の職業能力認証(日経):厚生労働省は来年度から、10−20代の若年層に対象を絞った職業能力の認証制度を創設する。「学習指針」を作成し、資格取得者に国が証明書を発行する。雇用が不安定な若年層の就業を後押しするのが狙い。

11/3 働くということ・1(日経):若者と熟年者との狭間で橋渡し役としての役割を担う30代の惱みと模索を伝えている。

11/2 パートの厚生年金加入、主婦は負担増(日経):厚生労働省は2004年の年金改革でパート労働者に厚生年金の適用を拡大した場合の影響を試算した。平均的収入のパートの場合、国民年金から厚生年金に移った人は当面の保険料負担増より将来の年金給付増が大きい。一方、会社員世帯の主婦なら当面の負担増が将来の給付増より大きくなることが分かった。

11/1 育児休業、有期雇用者に認める(日経):経済産業省所管の財団法人の」付属機関で働いていた英国人女性(39)が、期間1年の有期雇用契約を理由に育児休業を認めなかった勤務先の団体に損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地裁であり、女性の請求を一部認め、慰謝料など50万円の支払いを命じた。

11/1 65歳へ定年延長義務論争激化(日経):会社員の定年を65歳に引き上げる案を巡って、坂口力厚生労働相と経済界が火花を散らしている。企業は国際競争力をそぐとして厳しく批判、応酬は激しさを増している。

11/1 高校生の就職複数応募制・企業は歓迎、学校は弊害を警戒(朝日):高校生の就職活動の複数応募制について、企業と学校とで受け止めに温度差があることが、厚生労働省の調査で分かった。企業側から歓迎する声が寄せられた自治体は25。一方学校側から「内定辞退により企業との信頼関係が悪化することを懸念」とする声が上がっている自治体は21、「併願者が不利な扱いを受けることを懸念」とする学校側の不安も12自治体であり、警戒感が目立った

11/1 客船火災、三菱重工が原因検証(朝日):建造中の豪華客船の火災などで工場での不祥事が相次いだ三菱重工業が、その原因を検証した。事業が30年近く続いたことで熟練工がマニュアル頼りで知恵を絞らなくなり、工程間の縦割りがひどくなった影響が大きいと指摘。マニュアルの大幅削減に乗り出し、事故について社員の証言を集めたビデオを製作、教材として活用する。

11/1 65歳定年、同友会反対(朝日):経済同友会の北城恪太郎代表幹事は厚生労働省が年金制度改革に関連して65歳定年義務化の法制化を検討していることに対し、「雇用は各企業にまかせるべきで、国が強制すべきでない。企業に過大の負担を強いて活力を失わせる」と反対を表明した。