97年7月上旬

7/10 内定学生の拘束強まる(日経夕刊):就職協定がなくなり、歩留まり率が読めなくなってきた状態の中で、企業は内定を出した学生に対する拘束を強めている。(一言)私もかつて某都銀の拘束を受け、内定後すぐ軽井沢に行かされた経験があります。でも夏休み中だったので今みたいにひどいわけではなかったですが・・・

7/10 日本IBM、社外労働者に認定制度を導入(日経):協力会社の営業担当者やSEに、販売実績や技能に応じて認定する制度を導入する。認定を受けた人は、IBMの社員同様の営業情報や技術支援のサービスを受けられることになる。外部の人的リソースをどのように使っていくかという点で新しい試みと言える。

7/10 大蔵省、日立・日産に日産生命社員の再雇用要請(日経):大蔵省は、経営破綻した日産生命の労働者を日産系列の会社に再雇用するように働きかけることになった。

7/10 在宅労働者のネットワーク、広がる(朝日):パソコンの普及や、家庭と仕事を両立したい女性の増加で広まっている在宅労働に携わる人たちのネットワークや研究会が増えてきている。この背景には、在宅労働者が不利な労働条件に置かれていることにある。新しいタイプの内職労働は今後どのような方向性を持つのであろうか。

7/8 10年目を迎えた過労死110番(日経夕刊):川人博氏が始めた過労死110番が10年目を迎えたことに対する紹介記事。最近ではリストラ型過労死が増えてきており、まだまだ取り組むべき課題が多いとのこと。

7/8 被災地域ワーカーズコープの支援バザー(朝日夕刊):阪神大震災で被災した製靴労働者たちで作る被災地労働者企業組合(被災地域ワーカーズコープ)を支援するために、その賛助会が7月11日に東京でバザーを開く。

7/8 「65歳定年制ハードル高く」(日経):先週相次いだ、65歳定年制に関する提案の解説記事。労働省や労組は今後、65歳定年制を求める声を強くしていくであろうが、企業の側では終身雇用の見直しの中でネガティブな態度をとるであろうと内容。

7/8 リクルートICI、米留学邦人に対するアンケートの結果を発表(日経):リクルートの米子会社が米国で学んでいる日本人留学生に対して行ったアンケートで、就職後の勤務地については「こだわらない」とした回答が半数あった。これと「日本で働きたい」という回答を加えると、およそ3/4の留学生が日本で働いてもよいということになるそうだ。

7/7 学歴信仰は弱まるか?(朝日):学歴主義は今後弱まっていくであろうというのが多くの研究者が指摘しているとのことであるが・・・。

7/7 総理府の男女共同参画白書から(朝日):労働(育児や家事といった無償労働も含む)の過半は女性が担っているにもかかわらず、中枢的な仕事は男性中心であるという姿が見えてくるそうです。

7/6 「変わる働き方(下)」(朝日):派遣労働の実態。一方では野心を持つ若者が、「会社に縛られない」キャリア形成ということで派遣労働に参入。他方で、派遣労働者に対する処遇があまりにも劣悪であることを明らかにしている。派遣労働を提言してきた高梨晶氏(元信州大教授)の「派遣は『高賃金の専門職』という法の原則を守るべきだ」という苦言もむなしい。なぜなら、定型的な事務業務を、「ファイリング」や「事務用機器操作」などとあたかも専門職であるかのようにしているのが労派法であり、それを押し進めてきたのが彼であるからだ。一言:この記事についていたイラストを夏学期の労務管理論のテストで使わせていただきました。

7/5 「変わる働き方(中)」(朝日):雇用形態の多様化による処遇の多様化がもたらす影の面を明らかにしている。日産と日航の例が挙がっているが、私の見るところ、両者にはかなりの違いが存在している。前者では、雇用保障の引き替えに高賃金の成果報酬が唱われているが、後者では雇用保障の面でも、処遇の面でも正規従業員よりも劣る。後者の型の方が問題が多いことは言うまでもない。

7/4 出光興産、契約社員制度導入を検討(日経夕刊):これまで「人間尊重主義」に基づき終身雇用制を堅持してきた出光が、即戦力の確保を狙い契約社員制度を導入することを検討している。

7/4 「変わる働き方(上)」(朝日):7/3の労働省の裁量労働制の適用範囲拡大を受けた連載記事。

7/4 電機連合、能力主義型賃金体系の提起(日経):「個人重視」の錦の御旗の下、電機連合はこれまで以上に成果・業績を重視した一時金にすることを提起。

7/4 大田区の中小企業の特集(朝日):すき間を狙って新技術を開発していく大田区の企業家たちを取り上げている。

7/3 中小企業の女性たちの労働実態(日経夕刊):ここ数年、大卒女性の就職難を背景に増えてきた、中小企業で働く女性たちの声を取り上げた記事。経営者の考え方一つに左右される彼女たちのやりがいと不満を取り上げている。

7/3 電機連合、定年65歳以上引き上げ要求(日経夕刊):大手電機メーカの労組で構成される電機連合は65歳以上への定年引き上げを求める運動方針を決定した。

7/3 労働省、裁量労働制の対象拡大試案(日経、朝日):またまた、労働省が労基法の改悪に向けて走り出しました。裁量労働制の適用範囲を「本社及び他の事業所の本社に類する部門の企画、立案、調査、分析などの業務」にも広げ、実質的にはホワイトカラー全体を残業手当いらずにしようとするもの。アメリカでは裁量労働制の範囲は細かく定められているのに(Exempt)対して、これではあまりにもお粗末。

7/2 派遣労働の問題点(日経夕刊):中野麻美弁護士(派遣労働ネットワーク代表)へのインタビュー記事。中途解約、契約期間の短期化、試用期間制、保険への非加入などの問題点を指摘し、労働者の人権を保護するための企業の社会的責任を問うている。

7/2 失業率、戦後最悪(日経):景気回復基調が続く中で、自発的失業者数は100万人に達し、若年層の転職希望が増えているとの解説記事。他方で、求人と求職のミスマッチも表面化している様である。6/27に記事関連