97年8月中旬の労働関連の記事

8/20 UPSスト、解決続報(日経夕刊):クリントン大統領は「会社と従業員の双方の勝利」としたが、UPSのスポークスマンは全従業員の5%に当たる1万5000人の人員削減の必要性を明らかにした。

8/20 UPSスト、解決(日経):日経新聞では非常に大きく取り上げている。今後「チームアクト」と呼ばれる労働立法の制定へ向けてどういう動きが出てくるのかが関心を集めることになりそうだとしている。「チームアクト」とは、会社側が職場の小集団を対象として話し合いを行い、生産性向上の目標と成果配分とを取り決めを認める法案で、共和党が昨年提出。大統領の拒否権発動でお蔵入りした。

8/19 中小企業の4割、中間管理職の仕事ぶりに不満(日経):あさひ銀行総合研究所の調査によると、中小企業の38%、中間管理職の仕事ぶりに不満で満足しているの36%を上回った。また、管理職の人数については減らしたいが27%、現状のままが50%。同総研では「管理職の能力開発が必要」としている。

8/19 技能検定、見直し着手(日経):労働省は技能検定制度の見直しに着手することを決め、受検者の少ない技能や国として技能認定の必要がなくなった課目を外す一方で、新しい分野を追加する予定。これとは別に、ビジネスキャリア制度で新たに2分野を加え、予定していた10分野すべてがそろうことになる。

8/19 ダイエー、インターン制導入(日経):ダイエーは今月22から9月末まで30名の大学生を対象に企業活動を体験してもらう。9月末といえば、冬学期がはじまっている大学もあるが、基本的にはダイエーの日程に従ってもらいたいとのこと。

8/19 UPSのスト、大統領が早期解決要請(日経)。

8/17 米「ニューエコノミー」論に影(日経):経済構造の転換に支えられて21世紀まで米国の好景気は続くという「ニューエコノミー論」にかげりが見えはじめている。ニューエコノミー論では雇用形態の多様化による労働コストの削減が一つの根拠となっていたが、UPSのストの影響で今後それが政治問題化し、労働コストの削減が限界にくるのではないかと言われはじめている。

8/17 米産業界、求人難に直面(日経):景気拡大の長期化が続くアメリカでは、「ダウンサイジングからハイアリング(採用)へ」と転じ、情報産業では技術者の争奪戦が激化している。執筆者はこの切り替えの速さを賞賛している。

8/17 2000年問題に、熟年パワー(朝日):コンピュータの2000年問題で特需が生まれているコンピュータ業界は定年退職したOBに熱い視線を送っている。そのひとつにOBは古い言語に通じていることが挙げられている。

8/16 社内適職探しのススメ(日経夕刊):富士ゼロックス総合教育研究所の小野調査部長の執筆。自分のキャリアや専門能力を早期に考える必要があるというアドバイス。

8/14〜16 UPSのスト続く(日経、朝日):各紙ともUPSのストを毎日のように取り上げている。朝日はパートの正社員化という点で組合を支持する人が増えているという点を強調しているが、日経はチームスターズ労組が年金の運用に失敗したことをストのもう一つの理由であるとして、わりと会社側に近い形で記事を書いている。

8/15 雇用調整が減少(日経):日経連の行ったアンケート結果によると、過去一年間に雇用調整を実施した企業の割合は58.7%。雇用調整を行った企業の割合は93年の60.9%から一貫して上昇し、96年には76.6%にまで高まっていた。

8/14 千代田生命、早期退職優遇制を導入(日経):千代田生命は今年度末に45歳以上を対象とした早期退職優遇制を導入する。早期に退職すればするほど、割増金が増える仕組みとなっている。

8/14 「職場で悩むキヨハラ君」(日経夕刊):転職や異動で新たな職場に移っても実力が発揮できない「キヨハラ君」の悩みにスポットを当てている。

8/14 東京ガス、長期複線型の人事制度を導入(日経):54歳時点で6つのセカンドライフコース(早期退職、短縮勤務、通常の定年、業務委託契約、嘱託契約、出向・再就職)から選択するのが一つと、もう一つの柱は新入社員を職種別に採用し管理職職になるまでは専門分野別の育成を基本とすることである。さらに部長級にまで実施している年俸制を課長級にも適用する。

8/14 「苦闘する労組(5)」(日経):最終回。米の未組織労働者の非営利団体や日本の労組のコンサルタント企業を取り上げ、労組の存在意義を問うている。この連載には当初期待したのだが、結局現場で働いている者が何を望んでいるかという観点、そしてそうした声は一つも出てこず、経営者と大手企業の労組幹部の声だけで構成されたもので期待はずれに終わった。最終回でも、インテルのグローブ会長の「同じ会社でなぜ労使を二分するのか」という声を載せているが、これだってどこの会社であれ経営幹部はこう考えるでしょう。もし従業員の声を取り上げるのならまだしも。インテルの従業員と元従業員が作ったインテルの人事処遇のあり方を批判するHPも見たことあるんですけど・・・(アドレスは失念しましたが)。

8/13 相次ぐ女性の抜擢人事(日経夕刊):管理職への女性の登用が急速に進んでいるなかで、登用された女性に対する嫉妬・中傷が行われたり、男性社員が女性社員に脅威を感じはじめたりしている。

8/13 AFL・CIO、スト継続へ支援(朝日夕刊、日経夕刊):UPSのストについてAFL・CIOは週1000万ドルを傘下の組合から募り、ストを支援することを決めた。他方、UPSのCEOはストが長期化すると1万5千人が余剰になると解雇を示唆した。

8/13 「労使紛争 孤軍奮闘の時代」(朝日夕刊):労働条件の切り下げなどをめぐって個人が意義が申し立てる個別の労使紛争が増えている。労働組合の組織率の低下、ベンチャービジネス・サービス業などの(労組のない)新しい職場が増えてきたため。昨年、裁判所に持ち込まれて解決した民事の労働事件の数は4061件で、過去最高。また、東京都の労政事務所に持ち込まれた労働相談の件数は44924件でこれまた過去最高であった。

8/13 労災病院の改革(日経):労働省は疾病の治療・リハビリが中心であった労災病院を、予防にも力をいれ予防からリハビリまでの一貫体制にすることを決めた。また治療法などの相談窓口を設け、地域医師による早期発見・治療を目指す。

8/13 「採用終盤戦・内定を探る」(日経):退職金前払い制度を導入した松下電器の事例。新制度に対する入社希望者の反応は良いという。また、松下はインターンシップ制や、本人の希望を踏まえて入社前に職場を決める「セルフ・ジョブ・エントリー制」などを導入している。

8/13 日産、期間工を倍増(日経):輸出が好調なことに対応して、期間工を現在の500人から1000人に倍増させる。そういえば、今週の日曜の求人広告には日産と日産関連会社が期間工を募集していたな。

8/13 「苦闘する労組(4)」(日経):世界最強の労働組合といわれたドイツの労働組合の事例。近年のIGメタルの方針に批判的な記事。「欧州で労使協調の流れは止まりそうにない。IGメタルも過去の発想から抜け出すしかない」と記者は書いているが、経営側と同じ発想しかできない日本の労組と比べると、積極的に失業と労働条件の改善にあわせて取り組もうとしているIGメタルを簡単に批判できるのか?

8/13 香港、外国人労働者巡り議論白熱(朝日):慢性的な労働力不足からくる賃金の高騰に対して財界が外国人労働者の導入を主張。これに対して、労組の側は失業率が最近になって上がってきていることから否定的。

8/13 日立・日産グループ、日産生命の社員再雇用に消極的(朝日):8月8日、9日の日経の記事と同じ内容であるが、評価は否定的。「グループ外の企業に行く方がまし」という声も挙げている。

8/12 今年の新入社員(朝日):産能大調査によると、今年の新入社員はパソコンやインターネットなど「新しいものに前向きに取り組む人が増えている」とのこと。他方、処遇については年俸制を望む人が56.3%、終身雇用を望まない人は47.3%。消極派も含めた「出世を望む」は86.2%と実力主義に肯定的な様子が見られるそうだ。

8/12 「採用終盤戦・内定を探る」(日経):9月半ば以降も採用活動を続け、長期戦でのぞんでいる日立の事例。また、技術系の採用ではこれまで学校推薦者はほとんど採用してきたが、今年は落ちる学生が出ているという。

8/12 リクルート、30代から転職支援(日経):リクルートは32歳以上の社員が転職などを目的に退職する際に、1000万円の支援金を支給する制度(OPT制度)を来月末から導入する。さらに、退職後もリクルートと業務委託契約を結んで成果報酬を受けることのできるIO制度も導入する。

8/12 連合後継会長、一本化難航(朝日):芦田会長の後任をめぐって、本命視されている鉄鋼労連出身の鷲尾氏に対して自動車総連の得本氏が一歩も引かない状況となっている。AFL・CIOでは初めて選挙で選ばれたスウィニー会長となって、労組自体の変革に取り組んでいるということを聞いている。連合も見習うべきである。

8/12 「苦闘する労組(3)」(日経):労組の経営に対する監視機能について。経営側との異質性をどこに見いだすのか。それを現場組合員に求めることの重要性を解く。

8/11 UPSスト、長期化の恐れ(日経夕刊):パートタイム社員の正社員の切り替え、年金制度の変更が焦点となっているUPSのストライキは、組合側が会社側の提案を拒否し長期化の様相を示している。他方で、米政府の介入も取りざたされており、ハーマン労働長官はスト参加者に替える雇用に対する懸念を表明した。