97年9月上旬の労働関連の記事

9/10 NZの規制緩和の影響(日経夕刊):7日に行われた規制緩和のシンポジウムのために来日したオークランド大学ケルシー教授に対するインタビュー。ニュージーランドでは規制緩和によって労働者の二極化が生じている状況を論じている。必読!!!

9/10 連合が衛生チャンネル(日経):連合は通信衛星を用いた労働問題専門のデジタルテレビチャンネルを開設する方針を決め、99年4月に本放送を始める予定。

9/10 高卒の求人倍率、2年連続で改善(日経):労働省の調べによると、 来春の高卒新卒者に対する求人倍率は7月末現在で1.38倍(求人数42万1千人)。前年同期を0.22ポイント上回った。

9/9 「ピケをこえなかった男たち」の上映会(朝日):連帯ストで解雇された港湾労働者500人の戦いを記録した同映画の日本語版が完成。現地の職場代表を招いた上映会が東京と大阪で開かれる。東京の上映会は9/16、6時45分からシニアワーク東京(飯田橋駅下車)。大阪の上映会は9/12、6時から港区民センター。問い合わせ先は日本語版制作委員会(電話03-3538-8588)まで。

9/8 シリコンバレー、技術者の給与高騰(日経夕刊):技術専門誌の調べによると、米ハイテク集積地であるシリコンバレーでは好景気を背景にエンジニアの需要が旺盛で、全国平均よりも26%高いことがわかった。

9/8 UAW、米日産工場での組織化断念(日経夕刊):UAWは日産自動車のスマーナ工場(テネシー州)の組合化を断念したことを明らかにした。組合化を決める投票に持ち込むには従業員の1/3以上の署名が必要。7月からUAWは署名集めなどを行ってきたが、集めることができなかった。なお、同工場での組織化の失敗は89年に続いて2度目。

9/8 NZ規制緩和で家計苦し(朝日):9/9に行われたシンポジウム「規制緩和で幸せになれるの!?」で規制緩和の成功事例と言われるニュージーランドの状況をオークランド大学のケルシー教授が報告。9割の家計が苦しくなっているとしている。

9/8 日本の総労働時間、米を4年ぶりに上回る(日経):米労働省のまとめた製造業の労働コスト比較調査によると、日本の製造業の年間総労働時間は1980時間を突破し、主要国で再びトップとなった模様。他方米国では雇用の多様化を反映して1970時間台。

9/8 高齢者に職は遠く(日経):シリーズ「2020年からの警鐘」。高齢化社会の到来が言われているにもかかわらず、高齢者の雇用体制が確立されていない現状を論じている。このシリーズでは久しぶりによい意味で日経らしくない記事である。

9/7 ストックオプション以外な評判(日経):中堅企業での採用が目立ち、「実際に利益を得る人が出てくれば、日本の企業社会を変える衝撃力を秘める」と結んでいる。

9/7 永年勤続、企業の92%表彰(日経):産労総合研究所は「企業の表彰制度に関する実態調査」をまとめた。実施率の高いのは永年勤続表彰(92.6%)、改善提案表彰(56.2%)、功績表彰(54.8%)。家庭円満表彰などユニークな表彰を実施している企業があるなど、面白い結果出ている。

9/6 産別労組にも変革の波(日経):自動車総連や電力総連などの産別労組で、日本的経営の何を残し、何を改革するべきかを検討する方向が出てきている。労働力の流動化を進めていこうとする制度改革案が出てきている。「産別労組も自己革新に取り組み始めている」と評する日経記者の脳天気な書き方に、「労組が企業と考え方まで一体化するのは日本的経営の伝統さ」と皮肉りたくなるのは私だけであろうか

9/6 自治体に広まる旧姓使用(朝日):旧姓使用を認める自治体が増えているが職員はその利用が限られていることからまだまだ申請をしていないという現状を報告している。

9/6 松下電器、社内研修制度「変身大学」を拡充(日経):昨年2月に設立した技術者研修を行う「変身大学」に事務系の課目も設置。事務系でも専門性の向上や人材流動化を進めるのが目的。

9/6 インターネットで転職活動(日経):ホームページで求職を申し込める民間職業紹介会社が増加している。

9/6 米失業率上昇(日経):8月の米雇用統計によると非農業部門の雇用増加は4万9千人に留まり、失業率も0.1ポイント上昇の4.9%となった。UPSのストによる15万人の一時的雇用減を考慮すると、実勢は最近のペースを保っている。

9/5 ゼンセン同盟、商業基本法を提起(朝日夕刊):横浜で行った定期大会で、大店法に代わって、環境や福祉の点から商業施設の出店規制を定める「商業基本法」の制定を提起した。

9/5 労働規制緩和シンポ(朝日夕刊):東京ユニオンは労働条件の規制緩和は何をもたらすのかについてのシンポジュームを7日に行う。

9/5 自治体でも在宅勤務(日経):岐阜県は県庁職員の在宅勤務制度を導入する。9月8日から2カ月間女性職員4人を対象に試験的に実施。本格導入を検討するとしている。岡山県や岩手県ではフレックスタイム制の導入事例があるが、在宅勤務制の導入は初めてであると自治省はしている。

9/5 キャリアの点で邦銀よりも外資系に人気(朝日):日本の金融機関の将来を不安がる学生や現職銀行員が、外資系金融機関に目を向けている。日本の銀行ではエリートになっても得意分野がもてず、専門性で劣るというのがその理由の一つらしい。

9/4 「時短なき週休二日制」、労組が逆転勝訴(日経夕刊、朝日夕刊):札幌高裁は週休二日導入で、勤務時間延長をしていたとして訴えられていた函館信用金庫に時間外手当の支払いを命じる判決を下した。時短なき週休2日制をめぐる訴訟で労組側が勝利したのは、今年5月の北都銀行訴訟に続いて2件目。

9/4 労働省、97年度最低賃金をまとめる(朝日):地域別最低賃金額は加重平均日額は5719円、前年度に比べ110円(2.21%)の引き上げられている。

9/4〜5 ゼンキン連合、金属機械労組との組織統一の方向を打ち出す(朝日、日経):旧同盟系のゼンキン連合は、豊橋で行われている定期大会で総評系の金属機械労組との組織統一に向け、「JAM連合会」を結成することを報告。両組織の共同行動を積み重ね、相互理解を深める場とする。

9/4〜5 川崎市、外国籍3人を事務職に採用(朝日、日経):政令指定都市でははじめとなる。ただし、採用後の配属・昇進で一定の制限が設けられている。

9/3 労基法改正と女性(日経夕刊):女性保護規定なき後、残業の抑制についてどのように考えていくかについて専門家・実務家3人がそのあるべき姿を論じている。

9/3 男女の賃金格差、ILOへ直訴(朝日):賃金差別訴訟を支えてきたWWN(ワーキング・ウィメンズ・ネットワーク)は、この秋にも日本の現状まとめた報告書をILOに手渡すことにした。これには日本政府の事情説明に異議を唱える狙いがある。

9/3 埼玉県、旧姓使用を認める(朝日):都道府県で初めて、公務での旧姓使用を認める要項をまとめた。

9/3 有料職業紹介業界団体、倫理綱領制定(日経):民営人材紹介事業協議会は、情報の守秘義務などを盛り込んだ倫理綱領を制定。

9/3 「雇用福祉省」への再編に関して(日経):厚生省と労働省を統合する方向が定まっているなかで、そのメリットと危惧を論じている。

9/2 IMF/JC、大同団結を検討(日経夕刊):金属労協は都内で定期大会を開き、鉄鋼労連が提唱する金属関連大産別作りを論じる委員会を設置することに決めた。また能力が高まるほど能力給の比率を高める「複線型処遇制度」を打ち出している。

9/2 米福祉、リストラの荒野(日経):オハイオ州コロンバスで州の専門職の労働者が8月上旬にストをうった。「我々は安上がりな福祉や医療のしわ寄せに抗議している」と職員労組の委員長。アメリカのもう一つの影の部分である。

9/2 川崎重工、「シニア社員制度」を導入(日経):大量定年時代を迎えて熟練技能の伝承が課題となっている同社では、熟練技術をもっていたり、対外関係を維持するうえで会社が必要と判断した社員を60歳以降も雇用する「シニア社員」制度を導入。1年ごとの契約更改で、60歳時点の年収の90%程度を維持する。

9/2 電気連合、一時金要求月数引き上げ(日経):一時金交渉に向けて電気連合は2年ぶりに要求月数を前年より0.1カ月高い5.4〜5.5カ月分にする事を決めた。

9/2 労働省、青年海外協力隊員の帰国後の就職支援へ(日経):帰国しても21%が1年後に就職先が決まっていないという状況になっている青年海外協力隊員に対して帰国前からの就職指導をはじめるなどの支援を行うことにした。

9/2 労働省、50周年式典(日経):労働省が厚生省から独立して50周年だが、再び厚生省との統合・再編する方向が出されているなかでの式典となった。どっかの政党と似ていますね。

9/2 UPSのストについて(朝日):天声人語がUPSのストについて書いています。「まだ米国にもストがあったのか。」で始まり、「労働運動にもまた、米国らしさがある。面白いというのか、少し不気味というか。」で結んでいます。

9/1 米急成長の企業経営者、労組の復活に懐疑的(日経夕刊):米投資情報誌の調べによると、UPSのスト後もアメリカの成長企業の経営者の48%は労組はその有用性が失われており、今後5年でさらに勢いを失っていくと考えている。

9/1 住友信託、一般職にも職位導入(日経):これまで総合職にしか職位はなかったのだが、主任などの職位を一般職に導入することになった。一般職業務での能力主義・競争を促すのが狙い。

9/1 松下電器、ソフト会社の新会社設立(日経):直接は関係ないですが、なんとこの会社を、現在松下で進んでいる能力主義的な人事・雇用の「制度改革の試験的な場」として位置づけているそうです。

9/1 転職者の憂鬱(日経):「2020年からの警鐘」。転職者が増えないのは「身内大切」な意識が残っているためだと指摘。