97年9月中旬の労働関連の記事

9/20 米ホームデポ社、雇用差別訴訟で和解金(日経夕刊):米ホームセンター最大手ホームデポ社の従業員が同社の女性に対する組織的な雇用差別に対して集団訴訟を起こしていたことに対して、同社が総額1億ドルの和解金を支払うことで原告側との和解が成立した。これまで同社は差別の事実はないとしていた。

9/19 タイ通貨危機、賃上げ・雇用に影響(日経):アジア経済の突如の悪化をうけてタイでは失業問題や労使紛争が急増。日系企業も期間工の削減、ボーナスの削減などを検討している。

9/19 米経済、労働コストは抑制可能か?(日経):労働問題専門家のディケンズ氏に対するインタビュー記事。氏は米経済に漂う「雇用不安」をマスコミが植え付けたイメージだと一括。

9/19 インターンシップ、文部省など3省が指針(日経):文部省、労働省、通産省はインターンシップに関する「基本的考え方」をまとめた。大学が単位として認めることや、青田買いにつながらないよう求めたりしている。これに基づいて今後ガイドラインが設けられることになる。詳しくはこちらへ不勉強な私には今一つインターンシップについてわからないことがあります。それは賃金の問題です。例えば、D社のように急遽、大量にインターン学生を導入するとなると、「教育」にかこつけてアルバイトより安く働かせようという意図があるのではないか勘ぐってしまいます。最賃法などは守られることになるのでしょうか。どなたか詳しい方がいればお教え願います。

9/19 高校生の学校外単位の認定に企業実習も(日経):文部省は高校教育の改善の一貫として、ボランティアや企業実習などの学外活動を単位として認めるという制度改正を行うことに決めた。

9/18 終身雇用維持の企業、52%(日経):東京商工会議所のアンケートによると、今後の雇用制度として「終身雇用を前提とする」とした企業が52.7%、「定年までの雇用を前提しない」と答えた企業が35%であることがわかった。また、「能力や業績を評価して処遇する制度を持っていない」と答えた企業が50.1%、「制度はあるが十分適正だとは言えない」とした企業が40.1%であった。結局、実力主義、能力主義と大はしゃぎしていながら、それを測る尺度がないままに進もうとしている日本企業の問題がはっきり現れていますね。

9/18 UPS、一時解雇を見送りへ(朝日):先月ストで揺れた米UPS社は、ストによる顧客離れでレイオフの可能性を主張していたが、自発的離職者が相次いだためにレイオフを見送ることにした。

9/17 女性団体、ILOに直訴(日経夕刊):9/3の朝日で報じられていた、日本の女性労働者のおかれている差別的状況をILOに直接訴えるという記事の続報。日本政府は「賃金が低いのは女性の勤続年数が低いため」とILOに報告していることに対する反論がILOに提出された。

9/17 人材派遣業、規制緩和策持ち越しへ(日経):中央職業安定審議会は人材派遣業の規制緩和について、労使双方の折り合いがつかないために、中間報告では双方の意見を併記することにした。使用者側は対象業務の原則自由化、雇用責任の現行維持を主張したのに対して、労働者側は対象業務では現行維持(26業務)、雇用責任では派遣先企業との連帯責任を主張した。

9/15 私立大学白書(朝日):「国庫助成に関する全国私立大学教授会連合」が作成した私立大学白書から私大の教員の雇用条件を載せている。記事としては白書の結論とは逆に、「こんなに貰ってるの」風に書いているような気がするのは、私が安い公立大学で働くせいか?

9/15 神奈川のインターンシップ状況(朝日神奈川版):今年からブームにもなっているインターンシップ制度が神奈川ではどのように行われたかの取材記事。受け入れる側(企業)、送り出す側(大学)、実際に働く者(学生)、それぞれの論理があるようで・・・。

9/15 女子学生の就職相談(日経):弁護士などが行った「女子学生就職ホットライン」が14日に開かれたが、今年は23件の相談。セクハラまがいの面接質問に対する苦情はなかったが、差別質問や「契約社員なら雇う」などと言われたという相談があった。

9/15 米の労働者も長期勤続志向(日経):米のコンサルティング会社の調査によると、80%の労働者が現在の会社に勤務を続けるとしているという結果が出ている。

9/15 女性は実力主義を求める?(日経):シリーズ「2020年からの警鐘」。日本の企業に「色濃く残る男の論理」に嫌気をさして、海外や外資系企業に職を求める女性たち。「日本型雇用制度の見直しは女性にとって実は大きなチャンス。会社の中核を担うコア社員を中途採用組や契約、派遣社員などが取り巻く重層的な構造が今後、一般化する。」と述べてますが、どこがチャンスなんだろうか?これまでと同じ周辺的な職が増えるということを意味しているだけではないか。シリーズ「2020年からの警鐘」はあいかわらずトンチンカン。

9/14 「産休リストラ後絶たず」(朝日):産休をとって復職したら、辞職に追い込まれたというケースが目立っている。また子育てに配慮をしてくれない企業も多くあるというレポート。

9/14 「熟練工が消える時代の大誤算」(日経):機械化、自動化で熟練労働者が必要なくなったと思われている中で、実際には企熟練労働者不足が深刻な問題となっている。その実情と企業の対応について述べている。私が調査でお世話になっている大田区の超熟練中小企業、宮城精工まで登場。うーん、先日も従業員の方と飲みに行っておごってもらったのですが、こんなに高給だったとは。

9/13 「労働者保護で米欧対立」(日経夕刊):女性労働問題研究者の芝山恵美子さんの執筆。自由放任型のアメリカと「人間の顔をした経済」を目指す欧州との対比を行っている。必読!!!

9/13 連合総研、勤労者の生活意識調査結果(朝日):米、日、独、仏、英の組合員に対するアンケート結果、日本の既婚男性の二人に一人は生活時間の使い方に「不満」としているなど、興味深い結果となっている。

9/13 中小企業庁による違法のススメ(朝日、日経):連合の調査によると、中小企業庁は今年から完全実施になった週40時間制労働を99年4月から実施すればよいとの文書を中小企業に配布していたことが明らかになった。それ以外にも、時短後の基本給の取り扱いについて「基本給の見直しが認められる」など労働省通達に違反するような内容も記載されていた。連合はこれらに対して抗議を申し入れた。

9/12 都高教祖がスト突入(朝日夕刊):東京都高校教職員組合は12日、都立高校の統廃合に抗議して授業一時限の時限ストに突入した。

9/12 鉄鋼労連、隔年春闘へ移行(日経、朝日):鉄鋼労連は熱海で行われていた定期大会で賃上げ交渉を2年に1度とする隔年春闘への移行を正式に決めた。ただし一時金については毎年の交渉を行う。

9/12 上場企業の女性役員、0.18%(日経):東洋経済新報社の調査によると、上場企業で女性役員がいる企業数は76社(86人)で、全役員に占める割合は0.18%にすぎないことがわかった。

9/12 課題山積の鷲尾体制(朝日):連合会長に内定した鷲尾氏が直面する行革や労働基準法改正などの課題について書かれている。

9/12 ドイツ、米国流の経営への転換:シリーズ民革。効率重視へマイスター改革を行ったベンツの事情を中心に、アメリカ型の経営へシフトしつつあるドイツの状況を論じている。

9/11 連合、新会長に鷲尾氏内定(日経夕刊、朝日夕刊):得本輝人自動車総連会長の立候補が取りざたされていた連合の次期会長であるが、得本氏の立候補辞退により鷲尾氏が就任することに内定した。