5月の労働関連の記事

5/21 女子保護規定の撤廃が衆院通過(各紙):とうとう衆院を通過した。各紙ともこれまで以上に女子に厳しい社会になるのではないかという不安の声を取り上げている。今の日本社会に求められているのは、男子になみに女子が働くのではなく、女子保護規定を男子にも適応することであると思っているのは私だけであろうか。

5/20 セールスマンにも過労疾病にも労災認定(朝日、日経):日野市の自動車セールスマンが過労で蜘蛛膜下出欠で倒れたケースに労働基準局は労災認定を下した。ポイントはこれまでの発病1週間前の勤務状況ではなく、よりロングスパンでの勤務状況から過労にいたったと認定されたこと。これまで、認定基準の緩和が言われてきていたが、実際に認定を受けることになったのははじめて。

5/19 女子保護規定撤廃に関して (朝日、日経夕刊):衆院労働委員会での採決が間近ということで、どの新聞でも取り上げられるようになっています。ただ、日経夕刊の方は衆議院での質疑内容まで取り上げられていて、これは役に立ちます。女子だけ深夜労働免責を行うと男女平等に違反するとか、残業時間の最長時間に関しては法律で規制するつもりはないとか。企業の労務部なみの答弁に労働省は終始しているという感じ。

5/16 女子保護規定撤廃に関して(神奈川新聞):今日の衆院労働委員会で女子保護規定が採決される見込み。これに関連して長時間労働が野放しになるのではないかという不安が広がっている。連合は男女共通の時間外労働の規制を求めているが、どうも経済団体は「食い逃げ」する見込み。また、トヨタではこの女子保護規定撤廃をにらんで現場従業員の女性を大幅に増やす(1%から3%へ)方針を立てている。

5/1 メーデー(朝日、日経):今日はメーデーということで、各紙とも今年のメーデーの特徴づけを行っている。日経は、連合系のメーデーを「お祭り」、「首相欠席」としている。他方で、朝日は規制緩和(女子保護規定の撤廃、裁量労働制、変形時間制)の中でのメーデー参加者の声を取り上げている。

5/1 「憲法50年、団結権:既成組合超え広がる闘い」(朝日):最近の企業のリストラ症候群とそれにいとも容易く応じる既成労働組合(=企業内組合)を取り上げ、新しい労働運動の胎動を見、団結の必要性を説いている。

4月の労働関連の記事

4/30 「論壇時評:国際化の行方(山崎正和)」(朝日夕刊):労働には直接関係ないけれど、日本が今後どう変わるべきかについての最近の経済学者の議論を紹介し、国家および愛国心に関する問題提起を行っている。

4/23 トヨタ、98年度にもストックオプションを導入(日経):先の政府のストックオプション制度解禁の動きをうけて、早速トヨタが名乗りをあげました。ストックオプションの対象となるのは、まずは役員だそうです。

4/21 労働省熟練技能者データベース化(日経夕刊):朝日4/19と同じ記事。ただし、これに加えて熟練のビデオ化やそれを用いた中小企業などの人材育成など、朝日よりも詳しい報道となっている。

4/21 「揺れる地方公務員(上)」(日経):国からの出向人事の問題が中心となっているが、他方で地方自治体のなかでの能力主義の導入などの事例が出ている。

4/21 「『教育』が見えない(2)」(日経):教育の大衆化、平等化(=均質化)が過当競争をもたらし、いまではそれが負の遺産になっていることを指摘している。(一言)この記事のコラムでは、ドイツの複線型の教育体系が比較されているが、教育に関しては門外漢からすると、なぜ日本が形式上は複線型をとりながら単線型に収斂してしまっているのか、例えば日本にも工業高校という学校制度がありながらも、ドイツの実業学校のようにはなっていないのかということが説明されていない。ドイツ社会の背後にある労働組合等の諸勢力の分析なしに、日本の「個性重視」に対する弊害を接ぎ木した軽薄な議論に読めてしまうのは私だけであろうか。そういえば、今日のNHKのある番組でも、中国のコンピュータソフト業界に対する力のいれ方(=数学の能力の持った学生の早期選抜、徹底教育)を取り上げていたが、そのコメンテーターもこの記事と同じような論旨を展開していたな。中国のような中央集権国家が行う超早期選抜、超エリート教育を諸手をあげて賛成していて、「馬鹿野郎」と叫びたくなった。あれだけ、「社会主義」の弊害として問題になったスポーツのことを忘れているのか。現実的な世界から隔絶された連中にGUIのようなインタフェースにおける革命ができるでも思っているのか。所詮、ビル○イツ風の器用な物まね上手が量産されるだけであろう。この点では、パソコンが当初持っていたカウンター・カルチャー的な作風が私は絶対に重要だと思うのだが。

4/19 労働省、高度技能者のデータベースづくり(朝日):労働省は今年度から高度熟練技能者のデータベース作りを行うことを決め、2〜3年後には5万人程度の登録を目指す。高度熟練技能を公共財と位置づけ、社会全体で継承するという意図。

4/18 ダイエー、通年採用にシフト(日経):ダイエーは通年採用を400人程度とし、およそ前年の2倍とする。これまで通年採用はスペシャリストに限られてきたが、今後は「定期採用の補完的な意味あいを持たせる」=「必要な人材を必要な時期に採用する体制」(by 中内社長)。

4/17 米自動車スト拡大(日経):UAWはビッグ3の外注化政策に対して反対している。同時に賃金が抑制されている中で、役員報酬が高いことにも反発が出ている。

4/17 ストックオプション解禁へ(日経):役員や従業員向けの報酬の一形態であるストックオプションが今年にも解禁されることが与党の商法改正プロジェクトで決まった。

4/17 日航、実質55才定年(日経):若手の登用を進めるために、「進路選択制度」を導入する。この制度のもとでは、次長・課長は54才になった時点で、(1)契約社員、(2)転籍、(3)現業部門か非関連会社への出向の選択を迫られることになる。すでに部長職には進路選択制度を導入している。

4/17 労働協約締結9割切る(日経):労働省の調べによると、会社と労働協約を結んでいる企業は89.2%と前回調査に比べて減少。締結されているケースでは賃金や労働時間等の規定を定めているものが5割を超え、育児休業制度や介護休業制度について定めている企業も増えている。

4/15 「大手企業が、通年採用を拡大」(日経):富士通が技術職を中心に350人を通年採用に、東電が建設・保守業務を対象に通年採用を拡大する。この背景には、この間、新規採用を抑制してきたため、企業内の世代別構成比率にゆがみが生じているが、他方で即戦力の人材が求められているためと日経では分析している。日経新聞の採用調査(対象企業:1741社)によると通年採用者数は97年で1336人(前年より47.3%増)、中途採用者数も7124人(前年より24.0%増)となっている。

4/15 日本たばこ産業、役職定年・昇格資格を導入:役職定年の年齢は55才で、退職か在籍出向を選択する。他方で、若手の抜擢を行うために昇格に試験制度を取り入れ、飛び級制度も導入される。(一言)詳細がわからないので何とも言えないのだが、何かめちゃくちゃな制度のような気がする。私が社員なら「当然、社長を含めた役員も55才で役職定年なのだな。確約しろ」と言いたくなる。

4/15 全労働が時短賃下げ批判(朝日):週40時間制への移行に伴い、時短賃下げを容認する労働省の方針が、これまでの判例(=月給の一方的な減額は行動の合理性がない場合、労働者の同意がなければ許されない)を軽視するものとして批判。全労働(全労働省労働組合)は労働省の職員組合。

4/13 「高齢者の技能積極活用」(日経):大量定年時代に向けて、高度技術保持者を再雇用したり(石播)、いわゆる現場の「役職定年」を廃止(トヨタ)する企業の例がでています。他方で、ノウハウを持った高齢者が退職していくのに対応して検索システム等のシステムを発展させる例(川崎製鉄)もでています。

4/12 「派遣」広がる(朝日):労働市場における規制緩和に伴い、男性新卒の派遣社員や、研修費を払った派遣などの事例。

4/12 雇用サミットの議題決まる(朝日):今年の11月末に神戸で行われる第三回雇用サミットの議題が、(1)若年労働者の雇用対策、(2)高齢化時代の雇用対策、(3)産業構造の変化に対応した個人・企業の挑戦の3つで各国(=G7)の合意を得た。

4/11 クライスラーのエンジン工場でスト(日経夕刊):クライスラーのエンジン工場で始まったストにより、小型トラック4工場が11日より生産停止に。(一言)エンジン工場のストの理由が書かれていません。

4/11 AFL・CIOのホームページに社長の「ペイ・ウォッチ」(日経夕刊):アメリカの労働組合の上部組織であるAFL・CIOが10日からアメリカのトップ企業の社長の年収を掲載し始めた。これによって労働者と経営者の賃金格差を問題とし、「サイバースペースに階級闘争を持ち込む」という試み。残念なことにAFL・CIOのURLは載っていませんでした。後日にでも、リンクしたいと思います。(4/14:AFL・CIOのHPに行ってみたのですが当該のページは見つかりませんでした。)

4/11 コマツが新賃金制度(日経):若手社員にも年齢給を全廃し、月給の95%を能力給にする。職能資格を11から7に減らし、各資格の業績給に12万円以上の幅を持たせている。

4/11 ドイツ金属労組、週4日・32時間労働を要求(朝日):金属労組としてはワークシェアリングで、新規雇用の創出をはかろうとするものであるが、経営者側は反発している。なお、金属、電機産業では95年10月から週35時間労働が実現している。

4/9 あさひ銀行、三井信託など新卒採用に公募制導入(日経夕刊):あさひ銀行と三井信託銀行は来春の新卒者採用からリクルーター制から公募制中心に切り替える。既に公募制の導入を決めているのは、第一勧銀、三和銀行、安田火災海上など。他の金融機関にも広がりそう。

4/9 オークマが業績連動の年俸制導入(日経):工作機械メーカのオークマは課長職以上の300人を対象に業績に対する連帯責任の考え方を盛り込んだ年俸制の導入を決めた。

4/9 「2020年からの警鐘(38):職人の日記」(日経):職人や熟練工が社会的に認められなくなっている日本の状況を描いています。

4/8 「入社前に研修費払え」(朝日夕刊):東京に本社を持つ眼鏡販売会社が入社前の採用予定者に社内資格取得のための講習費を徴収していた。この講習費を払わなかった採用予定者は内定が宙にういた形になっている。(一言)どうして朝日はこんな悪質な企業の実名を公表しないのでしょうか?

4/8 「新卒女性に異変:派遣社員化急ピッチ(下)」(日経夕刊):新卒女子の派遣社員が増えているが、しかしキャリアアップの道は閉ざされている。

4/8 「インターネットで労働相談応じます」(朝日):全国一般東京一般労働組合はインターネットを利用した「週40時間労働制完全実施」キャンペーンを始めている。同ページはここから。

4/8「春闘賃上げ2.75%」(日経):日経の一次調査によると今年の春闘の平均は前年と同じ2.75%で、3年連続で3%を割り込んだ。自動車や電機などのメーカが3%台に回復。

4/8「民革:米国型競争社会を実現すればいいのか(下)」(朝日):日本の労働者をとりまく状況にも「米国流」の弱肉強食の時代が始まりつつあることを示唆。(一言)しかしその「予兆」であるとされた例のうち「社内失業者」は別にいまに始まったわけではない。と言うことは・・・。

4/7 有料職業紹介団体、苦情・相談窓口の対応強化(日経夕刊):人材斡旋業の自由化に伴い、業界団体が苦情相談窓口の設置の方向に動いている。(一言)労働市場の自由化が行われたのだからこそ、政府(=労働省)が強力な監視を行い、労働者の権利保護に動く必要があると考えられるが・・。この記事によると、会員の企業2社が事実関係の調査にあたるとなっているが、それで充分なのだろうか。エイズのように行政の対応が後手に回らないことを祈るのみ?

4/7 「新卒女性に異変(上):契約社員でデビュー」(日経夕刊):新卒女子を契約社員や派遣社員として採用する企業が増えているが、それに対してある種の警鐘を鳴らしている。表向きは若者の志向の多様化などと最もらしい理由を付けながら結局は、派遣社員は労務費節減のためとというのが本音。確かに、労働者にとっても短期雇用という選択肢があってもよいと思うが、しかしjob securityと賃金とはトレイドオフの関係にしておくのが筋ではなかろうか。

4/5 「早期退職優遇の導入加速」(日経):適用開始年齢の若年化が進んでいることが労務行政研の調べ分かった。50才未満に適用する企業が38.2%に達している。(一言)私の母親(某地方銀行員)も最近、選択定年制を使い退職することになりました。その時の話を二つ。一つは上司から「女が選択定年制を使うとは生意気だ」と言われたこと、もう一つは他の部署から「パートでこないか」と早速お声がかかったとのこと。私の母は労働運動には興味のない「普通の人」なのですが、どちらもなんか変だなという感じたそうです。

4/5 今年は就職戦線も厳しさやわらぐ!?(朝日):朝日新聞の調べによると各社の来春の大卒の採用計画では「増やす」と答えた企業が4割に達している。また、「オープン化」やインターネットりようなどの新手法も積極的に導入されることになりそう。

4/5 米、賃金インフレ圧力が強まる(日経):3月の雇用統計によると時間当たりの賃金が4.0%(12ドル15セント)上昇。失業率は5.2%で、雇用の伸びは予想の範囲内。

4/4-5 「採用自由化元年」(日経・連載):就職協定廃止後の企業の採用政策の変化の取材記事。

4/4 「春に変わる規制制度」民間職業紹介(日経・夕刊):ホワイトカラーの職業紹介が原則自由になった現状の紹介記事。

4/3 ユーロ枢軸の苦悩3(日経・連載):オランダに学べ。1982年のワッセナウの合意以降、労使協調で成長を続けてきたオランダのレポート。

4/3 AFL/CIO議長が来週、訪日(日経):93年来続いている米ニューオータニの労使紛争の交渉が目的。

4/3 トヨタ、期間工を「常時雇用」(日経):一定数の期間工を生産要員の一部として位置づけ、労務費の削減をはかる。

4/2 ユーロ枢軸の苦悩2(日経・連載):フランスでは労働者が55才定年の要求が高まっている。無論、これとともに年金の早期支給を要求しているらしい。

4/2 トヨタ、時短のための新しい労使委員会を発足へ(日経):トヨタ労使は、既に97年春闘で年間総労働時間1800時間台へ向けた論議を進めることで一致していた。

4/1 ユーロ枢軸の苦悩1(日経・連載):独仏、改革に労働者が強く反発していることを取り上げている。

4/1 労働省が女性の能力活用のためのガイドライン(日経):労働省の「女性労働者の能力発揮促進に関する研究会」がガイドラインをまとめた。「はい」「いいえ」で答えるワークシートも付いている。

4/1 中小企業に対する週40時間労働制適用に関する解説記事(日経)


3月の労働関連の記事

3/31 日債銀、人件費合理化策を発表(日経夕刊):2000人体制にするために600名の人員削減や、役員報酬の50%カット(役員報酬が700万円!)などかなり大規模なリストラのようです。

3/29 若者たちの組合結成相次ぐ(朝日夕刊):バイク販売店や携帯電話販売会社などの事例を紹介している。(一言)経営側の「実力主義」云々にだまされない若い労働者が登場してきています。今月、ピカイチの記事です。

3/13 荷役労組スト(朝日):米連邦海事委員会への抗議スト。(一言)日米経済摩擦がストの大きな主題に!?

3/13 トヨタ、来春採用者25%増の2000人(日経)

3/11-13 「家事の値段」(朝日):シリーズもの

3/12 労働省、地方機関を統合(3/12)

3/11 第一生命、一般職「課長に登用」(日経夕刊)

3/10 日欧パート労働フォーラムから(日経):(一言)非常に興味深いフォーラムになったようです。

3/7 セクハラ保険日本上陸(朝日)

3/6 管理職の年俸制不満が募ります(日経):労政行政研調査で年俸工程派2割減(一言)年俸制の幻想(?)がそろそろ・・・

3/5 正社員でもクビ危うい(朝日夕刊):非常に興味深いタイトルですが、しかし、載っている事例はむしろ期限付きの雇用者の話がほとんどです。

3/4 ネスレ日本労組が「管理職の定年制57才適用は労基法違反」と訴える(朝日)

3/3 女性の労働力大きさ知って!(朝日):女性のゼネスト。(一言)私のつれあいも興味津々で読んでいました。

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