98年3月上旬の労働関連の記事

3/10 野村証券、ベア見送り提案(日経夕刊):野村証券は組合に対してベアを見送ることを提案したことを明らかにした。妥結すれば4年連続、ベアゼロ。

3/10 イトーヨーカ堂グループ、一足早く入社式(朝日夕刊、日経夕刊):イトーヨーカ堂グループは都内のホテルで入社式を開いた。個人消費の低迷からスーパー業界も業績が落ちてきている中で、昨年よりも247人多い2290人と高水準の採用。

3/10 鉄鋼、時短回答へ(朝日、日経):春闘の交渉状況。電機連合は65歳定年を断念。造船重機労連は1日15分の時短を求めるも、経営側は拒否。初の複数年交渉を求めている鉄鋼労連に対して、経営側は2年で休日1日以上を回答する予定。

3/10 全電通、異例の査定要求:全国電気通信労働組合は、「マルチメディアにふさわしい賃金の実現」という名で、これまでNTTには存在しなかった賃金査定制度の導入を求めている。

3/10 三和、業績よければ年収3倍も(朝日):三和銀行はディーラを対象に業績に応じて現在の年収が最大3倍に増えたり、3割程度削られたりする給与制度を4月から導入する。

3/9 新卒派遣この一年(日経夕刊):派遣社員は「専門的な知識、経験」を活かして働くというのが建て前であるにもかかわらず、実態は一般職の補充。また即戦力となっていないとの使用者側の意見も。労働法学者からは「違法性」が強いとの指摘がなされている。

3/9 私立高、派遣会社から講師(朝日夕刊):千葉県柏市の私立高校が労働者派遣事業法では認められていない教員を派遣労働者として雇っていたことがわかった。

3/8 ベア捨て能力主義導入(日経):オリンパス光学は4月から定昇、ベアをすって新しい賃金制度を導入。労組の側は一時金を機軸とした年収の形で要求を出す。

3/8 独の手取り給与減少(日経):戦後最悪の失業が続くドイツで、昨年の労働者一人あたりの手取り給与額が一昨年に比べて0.3%減となり、統一後初めての減少となった。

3/7 中高年、解雇に「ノー」(日経夕刊):アメリカで、中高年の解雇に対して年齢差別禁止法を拠り所に訴訟に持ち込み、勝訴する労働者が少なくない。このために、中高年のみを対象としたリストラに企業は慎重になってきた。

3/7 連合系組合が、春闘総決起集会(朝日夕刊、日経夕刊):自動車総連などの連合系の労働組合員約5万人を集め、賃上げ、時短、所得減税をスローガンに掲げた春闘総決起集会が代々木公園で開かれた。

3/7 北海道庁、民間の経験者採用へ(朝日夕刊):北海道人事委員会は来春に採用する道職員の採用試験で民間企業などで10年以上働いた経験のある30代後半の人を約30人採用する特別選考試験を実施すると発表。拓銀や山一の破綻を踏まえて行う。

3/7 来春の採用、底堅く(日経):日経の調査によると、99年春の大学新卒採用者数は98年とほぼ同じ水準を維持しそうだ。また、3月以前に会社説明会などの活動を開始する企業が33.5%を占めた。

3/7 レナウン、希望退職500人募集(日経):衣料品販売が低迷している中で、レナウンは正社員の17%にあたる500人の希望退職者を募集するリストラ策を発表した。

3/7 山一組合、スト資金残り4億円(朝日):ストやデモとは無縁だった山一証券従業員組合は毎年積み立てていた基金が4億円近くが残っており、これを組合員に分配するのが最後の仕事となる。

3/7 自動車春闘、一時金満額にらむ(朝日):春闘相場のリード役の自動車業界では、トヨタ、本田技研が一時金の満額回答をにらんだ交渉になっている。

3/7 司法試験からの労働法削除、連合が抗議(日経):今国会に提出されている司法試験法改正案が施行されると司法試験から労働法が落ちてしまうため、労働法の地位低下につながるとして連合が法相に対して要請書を提出した。

3/7 大学生の半数、大手志向(朝日):毎日コミュニケーションズの調査によると、大手企業に就職を希望する学生が文系男子で半数を超え、会社選択のポイントでも「安定している会社」を挙げる学生が4ポイント増え20%台に上った。

3/7 雇用の底流・システムの限界(朝日):労働市場の流動化が進む中で、従来型の組合では対応ができない。そこで注目されているのが個人加盟型の組合だが、限界も見えつつある。このため個別労働紛争を支える公的システムの創設を求める声も出てきている。

3/6 逆風春闘、見えぬ着地点(日経夕刊):「逆風」の中で春闘に取り組んでいる各産別のトップの声を紹介。

3/6 独失業率改善せず(日経):ドイツ連邦雇用庁が発表した2月の失業率は12.6%で前月比の横這いとなった。前月は戦後最悪記録を更新、2月もほとんど改善していない。

3/6 賃上げ、前年割れの公算(日経):主要製造業の賃上げ額は前年実績を割り込む公算が大きくなってきた。トヨタの賃上げは昨年の9400円を下回り、9000円を挟んだ攻防になる見通し。また時短も「コスト増」を招くとして、「賃上げか時短か」を組合に迫っている。

3/6 雇用の底流・組織拡大の悩み(朝日):組織拡大を目指す連合と、足下を揺さぶられつつある単組。今後、どのような形で組織拡大が進められるのか。他方で、ゼンセン同盟のパートの組織化が取りあげられている。

3/5 雇用の底流・経営監視(朝日):雇用が脅かされるという危機意識をてこに経営監視をする労組が目立ってきた。その背景には株主総会や取締役会、監査役が機能しない日本の企業風土があるとしている。

3/5 韓国失業者100万人突破(朝日):政府の発表では1月の失業率は4.5%。韓国労働研究院は2月以降の新たな失業者を加えると現時点で100万人を突破したと見ている。「IMF放浪者」という言葉も・・・。

3/5 SEC、退職金前払い制度導入(朝日):プレイステーションで知られるソニー・コンピュータ・エンタテイメントは今年の4月から退職金に見合う金額を毎年の給与に上乗せして支給する制度導入することを明らかにした。

3/5 日産の採用来年度1400人(朝日):日産は来年度の採用を今年の2割増の1400人とすると発表。技能系を900人と大幅に増やす。

3/5 クボタ、再雇用の上限65歳に(日経):クボタでは5年前から技能伝承を目的に再雇用制度を導入しているが、2001年からその上限を65歳にすることで組合との交渉に入った。組合側は特定の技能者だけでなく、希望者全員を対象としたい考え。

3/4 派遣社員の集会(朝日夕刊):人材派遣会社テンプスタッフの登録データが流れていた事件を受けて、「派遣労働ネットワーク」と「派遣労働者ユニオン」が7日に渋谷商工会館で集会を開く。会社が勝手に格付けを行っていた点が大きな論点になりそうである。

3/4 議員の海外視察同行で自殺、公務災害と認定(朝日、日経夕刊):93年に市議団の海外研修中にホテルで自殺した流山市の職員について地方公務員災害補償基金千葉県支部審査会は、公務上災害を認定した。

3/4 雇用の底流・自分の好みで(朝日):雇用形態の多様化にはコスト削減という企業の戦略もあるが、若い世代が自分の好みに合わせて働きたいという欲求があることを指摘。職務給制度を導入した日本ヒューレット・パッカードでは、労組に苦情処理委員会を設けているが、そこに持ち込まれる苦情内容も多様化しているという。

3/4 日航、米で200人解雇(日経):日米航空交渉の決着で旅客数獲得の競争が激しくなると予想される中で、日本航空はコスト削減のために米国内の従業員200人を解雇し、外部への委託へと切り替える。

3/3 全日空、全管理職給与削減へ(朝日夕刊、日経):全日本空輸は4月から管理職全員の給与を平均3%削減することを明らかにした。

3/3 雇用の底流・拡大する裁量労働制(朝日):新シリーズ。NECや富士通で先取り的に実施されている裁量労働制についてのルポ。富士通労組のアンケートでは新制度を良かったとする人は65%に上る。ただし、評価基準の明確化を求める声も強い。

3/3 自動車、減産が本格化(日経):景気の低迷により国内新車販売が低迷、また輸出の伸びも鈍化したために、自動車各社は3月から本格的な生産調整に入る。日産では期間工の絞り込みが行われ、本田では休日稼働を取りやめる。

3/3 日本人社員、空の労組(朝日):経営不振を理由に早期退職か契約社員かの選択を迫られた米コンチネンタル・ミクロネシア航空の日本人スチュワーデスら約20人が労働組合を結成し、会社提案の白紙撤回と団体交渉を申し入れた。

3/3 人材派遣各社、売上高最高に(日経):産業界で事務系女性を中心に派遣社員化が進む中、人材派遣大手各社の97年度売り上げが軒並み最高を更新する見込みとなった。

3/3 独で大規模スト(日経):ドイツ公共・運輸・交通労組の組合員訳3万人が4.5%の賃上げを掲げて大規模ストに突入した。

3/2 就職は履歴書写真で勝負(日経夕刊):履歴書に張り付ける写真の良し悪しで合否にかかわると、学生達が定評ある写真館に走っている状況のルポ。景気の不透明化のなかで、学生の「せめてもの安全策」なのかもしれないと結んでいる。

3/2 人材派遣会社、金融専門の人材に確保に走る(日経夕刊):人材派遣各社は、ビッグバンで証券・金融業界の派遣社員需要が高まると見て、専門部門の設置などの対応を始めた。

3/2 米ニューエコノミーの陰、増える「労働問題」(日経):好景気に沸くアメリカだが、他方で所得格差が広がるなどの軋轢を生み出している。

3/2 イトーヨーカ堂、来春新卒採用増やす(日経):スーパー各社が業績悪化する中で、比較的好調のイトーヨーカ堂は来春の新卒の採用を1700名と今春より270名増やすことを決めた。

3/1 三菱マテリアル、「旅がらす」こそ課長への道(朝日):三菱マテリアルは、課長以上の管理職に登用する基準として、(1)関連会社への出向、(2)海外勤務、(3)複数の事業部門のいずれかを経験した者でないと課長には昇進できないという基準を2000年12月から実施することになった。会社合併による事業分野の広がりにより、部門ごとに優秀な人材を囲い込む体質が目立つようになったため。