98年4月上旬の労働関連の記事

4/10 全日空スト続く(日経):賃金制度改定をめぐる労使対立で全日本空輸の乗員組合は10日も一部国際線でのストを続行する。これに関する解説記事もついているがこれがひどい。署名記事でもなく、経営側の主張を一方的に援用。経営陣の姿勢を「真剣だ」とした上で曰く、「会社が危機にある中で既得権益を確保するため、ストまで実施する乗員組合は世論の支持を得られるのか」としている。「本業以外での失敗」を指摘しているのにも係わらず、乗員の賃金に論点をずらしている経営側の責任はいったいどこへ?

4/10 ロシア全土でスト(日経):ロシア全土で9日、主要労組、年金生活者、失業者らが給与や年金の支払いを求めて大規模なデモ、集会、ストを実施した。

4/10 年功制、商社から消えゆく(朝日):三菱商事は全社員を対象に年功序列型から成果重視型の賃金への移行する。朝日は、大手商社が年功序列型の賃金制度を相次いで見直し、職務内容や、会社、個人の業績に応じた成果主義型の制度を導入し始めたと報道。

4/10 企業イメージ民間機関調査(朝日、日経):リクルートリサーチが発表した、来春卒業の大学生の企業イメージは外資系に好印象となり、金融機関の人気は大きく落ち込んだ。トップはソニー。

4/9 豪パトリック、組合所属1400人を解雇(日経):オーストラリア第二の港湾荷役会社パトリックは、豪海運組合に所属する従業員約1400人を全員解雇し、非組合員の契約社員を導入する考えを表明。保守政権はこれを支持。他方、労働組合は徹底抗戦の構えを見せている。

4/9 港湾荷役72時間スト(日経):全国港湾労働組合協議会は、労働条件の改善や雇用・就労保障を求めて、9日から72時間ストに突入する。

4/9 大同コンクリート工業、全員解雇やめ300人再雇用(日経):破産を申し立てた大同コンクリートが、事業の絞り込みにより再建の可能性が出てきたことから300人を再雇用する。

4/8 国労組合員の救済を命令(朝日夕刊、日経夕刊):国鉄が分割・民営化された際に組合差別があったとされる神奈川・配属差別事件で、中央労働委員会は組合間差別があったとしてその是正を命じた。

4/8 男女差別をめぐる係争、労組はどこまで協力?(日経夕刊):2月に住友系労組に日弁連が賃金資料の公開を勧告したが(2/25の記事参照)、組合側は依然非協力的な態度に終始していることをルポ。今後の処遇の個人化という流れの中で、個々人の賃金をめぐる係争にどのように組合は対応していくべきなのかを問うている。

4/8 資生堂、絶対評価の年俸制(日経):資生堂は98年度から事業責任者約200人を対象に、給与を担当事業の業績と直結させる半期の年俸制を導入した。個人の年収は最大約3割程度も変動する。

4/8 前田建設、休日に採用試験(日経):準大手のゼネコン、前田建設工業は、学業への影響を考慮して休日に採用試験を実施する。

4/7 企業の雇用調整拡大(日経):雇用調整助成金の対象者数が97年12月以降、1万人を超え、98年は4年ぶりに増加に転じる公算が大きくなっている。

4/7 春闘賃上げ、最低の2.57%(日経):日経新聞の調べによると、98年春闘の賃上げ率は過去最低の水準に落ち込む見通しとなった。

4/7 神奈川県、勤務評定見直し(朝日):公立学校の教員が自らの仕事ぶりを審査するという珍しい「勤務評定」で知られる神奈川県教育委員会が22年ぶりに容易記を変え、自由記入欄や校長・教頭の助言を書き込めるようになった。

4/6 ダイエー、通年採用を中止(日経夕刊):ダイエーはリストラ策の一環として98年度は通年採用をしない方針を決めた。ダイエーは薬剤師や法務といったスペシャリストの採用を主目的として95年から通年採用を実施してきた。

4/6 働き過ぎ社会を訴えた妻(朝日):2/23日に出された過労死自殺の裁判の判決を取材してきた記者のコラム。

4/6 (女性の)就業促し労働力確保(日経):経済教室。八代尚宏上智大学教授の寄稿。少子化への対応策の一つとして女性の活用、及びそれの可能となる制度の見直しを提言している。

4/6 来春新卒採用「減らす」3割(朝日):朝日新聞が主要企業200社に対して行ったアンケートによると、来春の新卒採用者を「減らす」とした企業は66社(3割強)で、「増やす」とした29社を大きく上回った。他に関連記事。

4/6 全日空、スト突入(朝日、日経):乗員の賃金制度をめぐって交渉が決裂した乗員組合は6日午前0時からストに突入した。

4/5 YUASA、課長職も賃金カット(日経):鉛蓄電池の競争激化で業績が悪化しているYUASAは98年度に新たなリストラ策に取り組み、中間管理職の賃金カットを課長クラスにまで広げるほか、役員報酬の減額率も拡大する。

4/5 女子学生と企業、就職意識にギャップ(日経):東京都が実施した企業と女子学生の就職意識に関する調査によると、就職を希望する女子学生の6割が「10年後も働きたい」と考えている一方、女子社員を基幹社員として期待している企業は15%弱にすぎないことが明らかになった。

4/5 年俸制、2年前の倍に(日経):日本人事行政研究所の調査によると、上場企業の約30%が賃金体系の見直しに着手しており、約15%が年俸制を導入していることがわかった。

4/5 在米外資系自動車会社、130万人の雇用創出(日経):米ミシガン大学の調査によると、米国にある外国自動車会社の工場とディーラは、米国の民間部門の1%にあたる130万人の雇用を生み出していることがわかった。

4/4 日本IBM、公募制の活性化(日経夕刊):日本IBMは上司の承認なしで希望する部署に異動できる「社内人材公募制」を導入する。同社は89年から社内公募制を導入しているが、これまでは上司の承認が必要であった。

4/4 米雇用3万6000人減少(日経):米労働省の発表した3月の米雇用統計によると、前月比で3万6000人減少し、失業率は4.7%となった。雇用者数の減少は2年2ヶ月ぶり。

4/4 再雇用制、6割が採用(日経):総務庁が発表した「民間企業高齢者雇用実態調査」で、民間企業の61.3%が定年後の再雇用制度を設けていることがわかった。

4/4 全労連、労相の罷免要求(朝日):全国労働組合総連合は、春闘批判を行った伊吹労相を罷免するよう橋本首相に文書で要求した。

4/3 米三菱自動車、セクハラ訴訟が調停入り(日経夕刊):米国三菱自動車は米雇用機会均等委員会からセクシャル・ハラスメントで訴えられている件で、同委員会と和解を模索する調停に入る合意をしたことを明らかにした。

4/3 明石大橋開通、船員ら再出発へ格闘(日経夕刊):明石大橋の開通によって船会社では1400人以上の離職者がでる。彼らの職探しを追った記事。

4/3 雇用調整、自動車業界にも(日経):日本自動車車体工業会は労働省に雇用調整助成金の給付を申請、対象業種の指定を受けた。

4/3 賃上げ、626円実績割れ(日経)連合は3月31日現在の春闘回答状況をまとめた。その結果一人あたりの平均賃上げ回答は8028円で昨春当の実績を626円下回った。

4/3 日立造船、カンパニー制度導入(日経):日立造船は4月1日に6事業本部と2事業部を独立会社に見立て、その成績を昇給や昇格に反映させる制度を導入した。対象となるのは管理職約900名。

4/3 航空3社、スト不可避(日経):パイロットなど乗員の賃金制度改定やベースアップの凍結をめぐり航空3社のストライキ不可避の情勢になってきた。解説記事もあり。

4/2 ジャスコ、入社時期選べます(日経):ジャスコは98年度から新卒内定者が4、8、10月の中から選択できる「入社時期選択制度」を導入した。入社時の給与などの待遇は4月入社と同じ。

4/2 松下電器、19日から説明会(日経):松下電器産業は学生の採用者選考を4月19日から開始し、5月から内定を出す。

4/2 三井物産、6月初旬に内定(日経):三井物産は99年度の大卒採用のスケジュールを明らかにした。5月初旬より受付を始め、6月初旬には採用者を固める。

4/2 トヨタ、東南アジア工場から研修生大量受け入れ(日経):トヨタ自動車は東南アジアの現地工場の従業員を研修生として98年度中に280人受け入れる。現地の雇用の維持と生産技術の円滑な移転がその理由。

4/2 大和証券、地域密着型新総合職(朝日):大和証券は1日に、転勤のない新しい「エリア総合職」として、女性社員86人に発令を出した。

4/2 三菱電機、一芸自慢集まれ(朝日、日経):三菱電機は99年度入社から裁縫式を大幅に刷新。会社説明会はインターネットのHPのみ、大卒文系男子では部門別採用や一芸採用など複数の選考方式を取り入れる。

4/2 水面下の景気・企業リストラ第二段階(日経):最近のリストラを「積極的に人減らしを狙った合理化」として位置づけて、いくつかの企業の事例を挙げたレポート。

4/1 各社・各省庁で入社式、入省式(朝日夕刊、日経夕刊):朝日は不祥事や倒産に揺れた金融業界を中心に、入社式のレポート。

4/1 2月残業時間製造業10%減(日経):2月の毎月勤労統計(速報)によると、製造業の一人あたり時間外労働時間は前年同月に比べ10.3%減の13.1時間。4年2ヶ月ぶりの2桁の落ち込みとなった。

4/1 消える山一不安と感慨(日経):山一証券がすべての業務を終えた。そこで働いてきた人たちの声を取りあげている。

4/1 厚生年金と失業給付、受給者がどちらか選択(日経):1日より、今後60歳以上になる人に対して厚生年金と失業給付のどちらかのみを選択する制度が実施される。引退を考えている人は厚生年金、働きたい人は失業給付というのが労働省・厚生省のアドバイス。

4/1 エールフランス支社、社員に解決金(朝日):希望退職を拒否した従業員の賃金の昇給を抑えたり、嫌がらせをしていたとして「エールフランス国営航空日本支社」が、従業員から不当労働行為として訴えられていたが、東京都地方労働委員会の調停により基本給の補正の他、解決金として8千万円支払うことで斡旋が成立した。