98年4月中旬の労働関連の記事

4/20 米国の中高年層、雇用楽観できず(日経):日本開発銀行は米国の雇用に関するレポートをまとめ、「好調な米国経済にも労働市場のミスマッチが残っており、中高年層の雇用情勢は必ずしも楽観できない」と指摘した。

4/20 「水面下の失業」増える(日経):総務庁の2月の労働力調査の結果より。就業者でも失業者でもない「非労働力人口」が前年同月に比べて62万人増加し、4035万人に。

4/20 米軍基地元従業員、じん肺訴訟へ(朝日):米軍横須賀基地で勤務していた元従業員20名が、石綿からでる粉塵で「じん肺」になったとして防衛施設局に2億5500万円の補償を求める。

4/19 松下、年功賃金40代以上廃止へ(朝日):松下電器産業は40代以上の中高年社員について、年功序列型の賃金制度(年齢給部分3割プラス仕事別賃金約7割)を2000年をめどに廃止することを明らかにした。65歳への雇用延長に備えるのがその趣旨。

4/18 国営現業賃上げ2.65%(朝日夕刊):中央労働委員会は郵政、林野、印刷、造幣の国営4現業の賃上げについて、定期昇給込みで加重平均2.65%、7839円とする調停委員長見解を発表し、事実上決着した。

4/18 新ビジネス資格、11月に試験実施(日経夕刊):社会経済生産性本部は新たなビジネス資格制度「ハイパービジネスアビリティ(HBA)認定制度」を開発。今年11月8日に全国9都市で試験をすると発表。高度情報化社会の中で情報を使いこなせる即戦力の能力を認定する制度。

4/18 大手銀行14行が新卒採用削減(日経夕刊):大手銀行19行(都銀、長信銀、信託)中、14行は今春実績より採用数を減らす。また長信銀系3行と安田信託銀行は一般職の採用を見送る方針である。

4/18 市場経済・光と影(朝日):規制の少ない市場本位の米国型資本主義が好調に見える中で、それが「米国民の勝利」につながっていない現状のルポ。解雇者数の増加、労働配分率の下落を生み、貧富の格差を増大していると指摘。

4/16 雇用調整助成金、自工会が申請へ(日経夕刊):自動車工業会は普通トラックを対象に、労働省に来よう助成金の給付を申請する方向で検討を始めた。

4/16 「失業のプロ」生んだ高福祉(日経夕刊):高福祉が失業のプロを生んでいるとしてドイツの福祉国家の状況を批判的に書いた記事。「戦後、日本は欧州の福祉国家に多くを学んだ。しかし、その到達点が現状だとしたら、ちょっと学び方を変えた方がよさそうだ。」と結んでいるが、日本は何を学んできたのかこの記事を書いた玉利伸吾という記者は知っているのであろうか。

4/16 国労組合員への脱退勧奨、不当労働行為と認定(朝日夕刊、日経夕刊):JR東日本の管理職が東京・新橋保線区の国労組合員に対して組合からの脱退を勧奨した事件で、中央労働委員会は支区長の発言を不当労働行為と認めた。

4/16 労災死亡、最少に(日経夕刊):97年に労働災害で亡くなった人が2078人と過去最小であることが労働省のまとめでわかった。

4/16 解雇無効とミャンマー人提訴(朝日):首都圏に住むミャンマー人が「就労資格がないことを知りながら雇ったのに、それを理由に一方的に解雇するのは真義則に反する」として居酒屋チェーン経営会社「ウィル・コーポレーション」を相手に解雇無効を求める訴えを東京地裁におこした。

4/16 全日空スト膠着10日(朝日):能力給を導入しようとする会社に対して、組合側は「均一の運航が求められるパイロットに能力給はそぐわない」と反対している。なるほど。

4/16 日本型経営に修正の動き(朝日):経済企画庁がおこなった「日本的経営システムの再考」と題する企業調査の結果が明らかになった。多くの日本企業で日本的経営が幅を利かしているが、今後は能力主義など新たな仕組みの導入が進むのではないかという結果になった。今後5年間の方向性では、「年功的」が9%に対して「能力主義的」が91%の企業を占めた。ただし、長期継続的雇用を行うとしたのが56%でこれまでの仕組みを重視する考えも根強い。

4/16 韓国に人員削減の波(日経):経済危機に直面する韓国では、大企業が相次いで大幅な人員削減に動き始めた。企業側の動きに労働組合は一斉に反発し、各社でスト突入の公算が大きくなっている。

4/16 豪港湾荷役労働者組合、抗議行動強化(日経):豪、大手港湾荷役会社パトリックが豪海運組合所属の全従業員を解雇したことに対して、組合側は主要港でピケを張るなど抗議行動を強めている。

4/16 フィリピン、海外への出稼ぎ急増(日経):アジア通貨危機に伴い、フィリピンから海外への出稼ぎ労働者が急増し、一昨年に比べ昨年は13.1%の増加した。出国先も変化し、香港、台湾、シンガポールなど通貨危機の影響の少ない国が目立つ。

4/15 全日空、スト10日目(日経夕刊):全日空のストは依然続いており、同社の国際線のストとしては過去最大規模になる。

4/15 長銀、管理職のボーナスに新制度(日経):日本長期信用銀行は部下の評価で業績給(ボーナス)の5〜10%が決まる新制度を導入した。非組合員である管理職約900名が対象となる。本人が最大20名の評価者候補を推薦。このうち部下2〜3名を含む9人程度が実際の評価者となり、段階評価を行う。

4/15 顕在能力の時代・下(日経):外資系企業を志望する学生が増える中で、企業の対応の状況をルポ。新卒の採用数を増やす企業は一握りであるほか、下積みの仕事をさせられ「こんなはずでは」と厳しい現実に直面する新卒採用者の声があることにもふれている。

4/15 三越、65歳まで再雇用(日経):三越は60歳の定年退職を迎えた社員の一部を65歳まで再雇用する制度を6月に新設する。再雇用には高い販売能力や専門技能を備えていることが条件となる。

4/15 ソニー、来春新卒採用14%減の450人(日経):ソニーの新卒採用計画によれば、大卒の技術系、事務系と短大卒合計で450名で14.3%減となる。ただしソフトウェア分野の技術者を中心に中途採用者を増やす傾向にあり、中途採用を含む全体の採用数は引き続き高水準となる見込み。

4/15 ミクロネシア航空、乗務員らが「不当労働行為」で訴える(朝日):コンチネンタル・ミクロネシア航空が、一部のスチュワーデスに乗務させないのは不当労働行為だとして、全国一般全労働者組合コンチネンタル・ミクロネシア分会が、東京都地方労働委員会に救済を申し立てた。

4/14 電炉など7業種雇用調整金支給(日経夕刊):伊吹労相は当面の雇用対策として電炉製鋼業や陶器製造業など7業種を5月から雇用調整助成金の支給対象とすることを明らかにした。

4/14 北海道全域、雇用促進地域指定(朝日夕刊):労働省は、北海道拓殖銀行の破綻によって雇用環境が悪化している札幌市、千歳市と周辺地域を雇用機会増大促進地域に指定した。これで北海道は全域が指定されたことになる。指定地域では新たに事業所を設置して労働者を雇用した企業は賃金の2分の1から3分の1の助成を受けることができる。

4/14 全日空、スト続く(朝日、日経):朝日はパイロットの賃金に初めてメスが入れられると、日経は社長が乗員・家族に向けて新賃金体系の受け入れに理解を示すよう手紙を出したと報じている。

4/14 顕在能力の時代・上(日経):企業が学生に求めるのは即戦力。その意味では新卒と中途が競合する時代に。

4/13 実力映す鏡へ、変わる履歴書(日経夕刊):エントリーシートと呼ばれる企業独自の応募用紙がここ数年で急速に普及し、4割程度の企業がすでに導入している。仕事に直結する自己PRを書かせ、書類選考を行い「採用にかかる経費の削減」も狙っている。行政の方も本人の適性や能力と関係ないことを履歴書から取り除くような指導をしている。

4/12 新入社員の意識調査(朝日):日本能率協会の今春の新入社員を対象にした意識調査の結果が公表された。それによると、会社の将来性に「不安を感じている」社員は37%、転職希望者の増加(3割強)、社内の昇進志向の増加(4割)などが今年の特徴。

4/12 未払い賃金額の国の立て替え額、過去最高(日経):賃金未払いのまま倒産した企業の国の立て替え額が急増している。97年度の立て替え額は前年比26%増の108億6700万円。

4/12 脱年功賃金、経営者に劇薬(日経):森一夫編集委員の署名記事。脱年功制という流れを、終身雇用の崩壊として読み解く。そのコアになるのが「人が人を評価するのは難しく、不満は当然出る。もし我慢できなければ転職で解決するしかない」。この編集委員には処遇の公平性という概念はないのであろうか。気分は経営者。

4/12 全日空、スト1週間目に突入(日経):全日空乗員組合はスト突入後、1週間目にあたる12日以降も続行することを決めた。

4/11 日本生命、賞与と業績連動(朝日):個人保険の保有契約数が減少する中で、日本生命保険は従業員の賞与を、会社の業績と連動させることを本格的に導入する方針を決めた。

4/11 全日空社長、団交拒否(朝日、日経):ストが続く全日空の野村社長は組合側の主張に応じる考えがないことを記者会見で明らかにした。