98年5月下旬の労働関連の記事

5/31 職能開発学校に4年制(日経):労働省は前項に25ある職業能力開発短期大学校を地域ブロックごとに4年生の大学に衣替えし、履修内容を高度化する。複雑化する生産工程の現場を指導・監督できる人材を育成するのが狙い。

5/31 減産拡大、単位労働コスト上昇(日経):経済企画庁の試算によると、メーカーが一つの製品を作るのにどれだけ人件費がかかっているかを示す「単位労働コスト」指数(常用雇用者数と現金総給与総額をそれぞれ指数化したものを掛け、工業生産指数で割った値)は4月まで6ヶ月連続で前年同月の水準を上回り、96年3月以来の高水準となった。需要の落ち込みに人件費の削減が追いついていないことを示している。

5/31 全日空乗員組合、9日にもスト(朝日、日経):全日本空輸の乗員組合は、一時中断していたストライキを国際線の一部で6/9より再開する方針を決め、経営側に伝えたと発表した。

5/31 4.1%ショック・新たな雇用形態に戸惑い(朝日):失業率の上昇の中で雇用の流動化に加速がかけられている。業務請負業者が新卒高校生の採用数を増やしているケース、横河エルダーの事例などが挙げられている。

5/30 トヨタ、期間工採用再開(日経):トヨタ自動車は6月中旬にも主要工場での期間工の新規採用活動を再開。7月分と8月分でそれぞれ、7〜700名を採用予定。

5/30 新しい会社・報酬だけで済みますか(日経):年俸制などの金銭的なインセンティブで従業員のやる気を引き出そうという企業だけではなく、むしろ「やりたい仕事」をやらせることによって、モティベーションを高めていこうとする企業を取りあげている。テルモの事例。

5/30 社説・失業率4.1%(朝日、日経):両紙とも失業率4.1%を取りあげて、短期的な対策にとどまらず、中長期的な政策の必要性を訴えている。

5/30 時々刻々・雇用も賃金も減り続け・・・(朝日):失業率4.1%という状況が企業や人々、ひいては地域経済にどのような影響を与えているのかをルポ。他方、雇用の流動化の中でで、労働者の犠牲をできるだけ少なくするようセーフティネット(保護策)の必要を説く。

5/30 4.1%ショック・道険しい雇用の創出(朝日):「均衡失業率」(景気変動にかかわらず雇用のミスマッチによって発生する理論的な失業率)という概念をもとに、現在の厳しい労働市場を説明。曰く、均衡失業率が産業構造の変化と高齢化で徐々に高まっていている上に、金融破綻や建設業のリストラなどの「新雪」がどかんと積み上がった。

5/29 失業率、最悪の4.1%(朝日夕刊、日経夕刊):総務庁は、4月の完全失業率が4.1%であると発表。調査開始以来の最悪の数値に各紙は社会面で特集を組んでいる。

5/29 新しい会社・子会社で頑張れますか(日経):子会社に出向・転籍。非常につらい体験であるが、逆に子会社が親会社を追い抜いたり活力を吹き込んだりすることもある。そうした事例のルポ。富士通の子会社富士通サポートアンドサービス、キリンの例など。

5/29 職場のいじめ(朝日):異質な者を排除しようとする論理が働いているのではという観点から、いじめの背景や対処法を考えるための事例を挙げている。

5/29 スチュワーデスが、労災申請(朝日、日経):日本航空の客室乗務員がくも膜下出血で倒れたのは過重な仕事が原因だったと成田労働基準監督署に労災認定を申請した。申請代理人によると労働時間は1ヶ月の間に167時間、拘束時間227時間。このうち深夜労働は28時間に達していた。

5/28 国労差別訴訟、JRに責任なし(朝日夕刊、日経夕刊):7年の国鉄分割・民営化で不採用となった国労職員約千人をめぐり、新会社であるJR側の責任の有無が争われた訴訟の判決が東京地裁で言い渡され、JRに責任なし、不当労働行為があったとしてもそれは国鉄あるいは清算事業団がその責を負うとした。法人格が異なっているということがその根拠らしいが、そうならば解雇目的の偽装倒産を奨励するような判決。

5/28 アメリカ男たちの変身・主夫の会(朝日夕刊):リストラを機に、主夫となり、子育てをする中で、主夫の置かれている孤独な立場を知り、ネットワークを作ったピーター・ベイリーズ氏の話。

5/28 韓国ストで大揺れ(日経):韓国で27日から民主労働総連盟が時限ストに踏み切った。約12万人が参加し、該当でデモ行進などを繰り広げている。

5/28 新しい会社・役員を目指しますか(日経):本社機能のスリム化の流れの中で、役員を経験した人たちが放り出されていく。プライドだけが高く、専門性の低い彼らの市場価値は乏しいと記事はしている。

5/28 職場いじめ(朝日):特集「どうするあなたなら…」は職場いじめを扱い、多くの事例を掲載。記事では、体験・感想を求めている。

5/27 アメリカ男たちの変身・家庭へ回帰(朝日夕刊):「成功」を信じて懸命に働いている人たちの中で、宗教を背景として、「仕事人間」をやめ、家庭へと目を向け、「夫」や「父」の役割を全うしようという流れが出てきている。アメリカの男たちの現在を追う、ルポの第一回目。

5/27 エールフランス労組がスト通告(日経夕刊):エールフランスのパイロットの最大労組が賃金交渉がまとまらなければ6/1よりストに突入すると通告。サッカーのワールドカップに影響を与える可能性も出ている。

5/27 米企業の雇用意欲、高水準(日経夕刊):人材派遣会社のマンパワーによると、今年7〜9月期の米企業の雇用意欲は20年ぶりの高水準になる見通し。

5/27 揺れる韓国・解雇本格化、高まる不安(朝日):大量失業時代に突入した韓国。4月の失業者は143万人に達している。韓国の雇用環境めぐるルポ。

5/27 新しい会社・魅力ある会社ですか(日経):一流企業に勤めるエリート社員。会社より自分を優先する社員の増加は企業にどのような影響を与えるのか。その現状のルポ。

5/27 JR不採用訴訟、28日に地裁判決(日経):87年の国鉄分割・民営化で不採用となった国労職員約千人をめぐり、新会社であるJR側の責任の有無が争われた訴訟の判決が28日に東京地裁で言い渡される。

5/26 職場ドラマ、働く女性にエール(日経夕刊):今春スタートしたドラマでは働く女性を主題としたものが多い。この背後には、OLが派遣労働者にとってかわられようとする中で、働く女性の側に閉塞感があるのではないかと、『OLたちのレジスタンス』の著者である小笠原祐子江戸川大学講師は分析している。

5/26 国労組合員の業務復帰を命令(日経夕刊):国鉄民営・分割時に、国労の組合員23名(立川通信区、新宿信号区、新宿電力区)が、それまでしていた仕事とは無関係な業務に配転された問題で、中央労働委員会はJR東日本に対して、これを不当労働行為として元の業務への復帰を命令した。

5/26 新しい会社・国境を超える労使融合(日経):ダイムラー・ベンツとクライスラーの合併した新会社の監査役にはUAW(全米自動車労組)を加える案が浮上している。ある日突然、資本の国籍がかわり、それがそこで働く者の生活に大きな影響を与える。こうした中でどのような選択肢があるのかを探る連載の1回目。

5/26 ぬかるむ消費・4%失業の重圧(日経):どの企業も日本型雇用慣行にメスを入れようと躍起になっているが、これによって雇用・所得環境が厳しくなり、消費の低迷に拍車をかける状況となっている。

5/26 企業再生・根強い大企業志向(日経):ベンチャー・ブームが言われている中、やはり大卒の間では大企業志向が強く(リクルートの昨春のデータでは従業員千人以上の企業を志望する学生が6割強)、ベンチャー企業は新卒採用者を確保するのに苦労している。

5/26 派遣技術者、アジアから確保(日経):企業のアウトソーシングを受託するピラミッド技術研究所は、システムエンジニアなどアジア出身の技術者を正社員として採用し、国内企業に派遣する事業を7月から始める。

5/25 内定者のやる気維持請け負います(日経夕刊):日本交通公社(JTB)の子会社、JTBモチベーションズは企業からの委託により内定学生にセミナーを実施したり、企業情報を郵送するサービスを始める。就職活動の早期化が副産物。

5/25 労基法改正、連合妥協に社民「待った」(朝日):裁量労働制の対象業務の拡大を骨子とする労働基準法の改正は次の臨時国会に見送られることになったが、そのプロセスを政治的観点から描写。どうなるかは参院選次第とも。

5/24 パイロット新賃金問題長期化(朝日):パイロットの賃金をめぐる労使対立はいまだに続いており、22日には全日空、日航、JASの各社乗員組合が共同で記者会見を行い、「この問題を機会に、日本の乗員組合は連帯していく」と訴えた。

5/23 資格で勝負?(朝日夕刊):景気が低迷する中で、就職や転職に生かそうと資格が注目を集めている。どのような資格があるのかを紹介している。

5/23 カネボウ労組、賃金削減受け入れ(朝日):経営不振に陥っている鐘紡グループの労組、カネボウ労働組合は、経営側が再建策の柱として求めたグループ企業従業員の基本給賃金の一割カットを受け入れると発表した。大手企業での賃金一律カットは珍しい。

5/23 香港、リストラ広がる(朝日):返還前のバブルがはじけ、アジア経済の危機にも直面する香港で人員削減の動きが広まっており、失業率も過去14年で最悪の3.9%を記録した。

5/22 労相、派遣法今回では提出せず(朝日夕刊):伊吹労相は人材派遣の対象業務を原則自由化するという労働者派遣事業法の改正案について、社民党が反対していることを理由に提出しないという認識を示した。

5/22 ニッポン現場紀行・ハローワーク(朝日):かつて職安通いの経験のある作家の車谷長吉氏と記者がハローワークを訪れ、最悪の失業率の中でのその光景を描く。

5/22 全日空労組、スト再開も(朝日):全日本空輸の乗員組合は、現在中止している国際線でのストについて、賃金制度の会社側の見直しが行われなければ再開すると会社側に通告した。

5/22 無償家事労働、年304万円(朝日、日経):経済企画庁は「無償労働の貨幣価格」報告を発表。1996年の年間で、専業主婦の場合平均約304万円、GDPの2割以上に達するという結論を出した。

5/21 KDDが来月分社(日経):国際電信電話はネットワークの保守運用部門を分社化し、本体社員を約800人削減する。この結果、本体人員は現在の約3000人から1800人程度まで減少する。

5/21 失業1年以上、51万人(日経):総務庁の労働力特別調査によると、今年2月時点の完全失業者246万人のうち1年以上失業していた人は51万人で、統計上比較可能な83年以降で最高となった。

5/21 社説・労働者派遣法改正の問題(日経):労働者派遣法の改正案における規制事項に対する批判を展開。「かつて正規・非正規従業員の間に身分的な違いもあったが、現在は働く人の意識も変わって働き方の違いになりつつある」として派遣事業に対する規制は必要ないとしている。社説は自由化しないと「雇用のミスマッチ」を生じる可能性があるとしているが、企業の側が業務上、人材を必要とするならば「派遣」ではなく直接雇用すればいいのである。ワースト社説。