98年6月上旬の労働関連の記事

6/10 個別労使紛争、労働委員会取り扱いを(日経):連合は中央委員会を開き、処遇の個人化が進む中で、従業員個人と会社の個別労使紛争も労働委員会が取り扱えるようにすべきだと提言した。

6/10 新しい会社・納得できる評価を(日経):一橋大学の伊丹敬之教授へのインタビュー。かつて『人本主義』として日本企業を定義した氏は現在の状況をどのように見ているのかを中心に聞いている。

6/10 ドイツ、雇用情勢改善(日経):ドイツ連邦雇用庁が発表した5月のドイツの失業率は10.9%(前月より0.5ポイント低下)で、1年ぶりに10%代に戻した。失業者数も3月以降、毎月約20万ずつ減っている。ただし、この減少は失業者の定義変更(毎週18時間未満から毎週15時間未満へ)と、補助金を使った失業者の再教育のためであるとする声も出ている。

6/9 女子学生の就職、差別で電話相談(日経夕刊):働く女性のための弁護団は今月14〜27日に女子学生からの就職差別の相談に応じる「女子学生就職ホットライン」を開設する。電話、03-3479-0511。

6/9 企業採用2、3週間早まる(日経):大学・短大などの学長や就職担当者でつくる就職問題懇談会の初会合が開かれ、学生の就職活動が昨年よりも2、3週間早まっていることなどが報告された。7月には企業側との協議の場を設け、夏休みを利用した採用活動、男女の平等な取り扱いなどの改善を求める。

6/9 大企業の34%が派遣社員採用(日経):リクルートリサーチの97年度採用実績調査によると、70%以上の企業が中途採用を実施、大企業では34.9%が派遣社員を受け入れており、雇用の多様化が進んでいる。

6/9 雇用不安、若年層にも拡大(日経):日本経済新聞社が行った世論調査によると雇用環境について44.6%が「すでに不安を感じている」、35.4%が「将来は不安だ」と答えている。後者の割合は20代が52.0%と最高、前者は50代が53.0%と高い。

6/8 組合不採用判決、国労が控訴の方針(日経):国労は、東京地裁での敗訴を受けて、国労弁護団と対応を協議。中労委が控訴しない場合でも、独自に控訴する方針を決めた。

6/8 JR総連、国労不採用に対して話し合い応じる(日経):JR総連は熱海市で定期大会を開き、柴田委員長は国労組合員のJR不採用判決に触れ、国労が控訴しないのであれば話し合いに応じる旨を述べた。

6/7 ひと・李知英さん(朝日): 韓国の労働運動を撮った映画「解雇者」の監督李知英さんの紹介。

6/6 能力・業績給でパートに活力(日経夕刊):スーパー各社で、パート社員に能力給や業績給を導入する動きが広まっている。ダイエーは仕事の難易度によって段階的に時給が高くなる「仕事別賃金制度」を今年度中に全店に導入。マルエツは同一時間働いても店の業績によって賞与の支給額に最大約2ヶ月分の差がつく成果配分制度を取り入れる。

6/6 外資系の人気独歩高(朝日夕刊):リクルートリサーチ社の来春の卒業予定の大学生に対して行った調査では、就職希望先の5社に外資系企業を1社以上入れた学生の割合は平均16.2%(昨年、12.9%)。特に東大・一橋など外資系企業への関心の低かった大学で、軒並み10%以上の伸びをみた。

6/6 米失業率、5月に4.3%(日経):米労働省が発表した5月の雇用者数は29万6千人増加し、失業率は4月と同じ4.3%にとどまった。

6/6 建設業、縮む雇用(朝日):系悪化が進む総合建設会社(ゼネコン)ではリストラを進め、大手から下請けまで人減らしを進め、その標的は中高年となっている。これまで雇用の受け皿を担ってきた建設業の動きを探っている。

6/5 定年後働きたい67%(日経):定年後も働きたいとする労働者が多い一方で、企業側では定年後の継続雇用制度を希望者全員を対象としている企業は13.0%にすぎず、選別が働いていることが、東京都のまとめた「企業及び勤労者の継続雇用に関する調査」で明らかになった。

6/5 新しい会社・インタビューどうなる雇用(日経):松下労組委員長古賀伸明氏へのインタビュー。組合側としても能力給制度には賛成とした上で、成果が分かる仕事と明確でない仕事に一律に導入することに条件をつけている。

6/5 全日空、スト延期(朝日):全日空乗員組合は、会社側の提案が組合の要求を一部答えたことを受けて、9日から予定していたストライキを「16日まではストの通告をしない」ことを決め、会社側に伝えた。

6/4 派遣110番(日経夕刊):派遣労働ネットワークは5日から3日間「派遣・人材紹介トラブルホットライン」を開設する。電話03-3770-3471。

6/4 国労不採用問題関連(朝日):国鉄分割・民営化に伴う国労組合員の不採用問題で、自民党の山崎政調会長が和解を目指した提案をおこなったことに対する労使の対応。JR東日本は拒否、国労は内部で検討するとの対応。他方、国労闘争団は強く反発している。

6/4 新しい会社・インタビューどうなる雇用(日経):平井克彦東レ社長へのインタビュー。管理職以上に成果主義賃金を導入し、教育研修にも力を入れている繊維産業の動向を紹介。

6/4 労働力の過剰感急上昇(朝日・日経):労働省が発表した5月の景気動向調査によると、常用雇用者が「不足している」企業の割合から「過剰」の企業の割合を差し引いた「過不足指数」はマイナス10となり、2月と比べて15ポイント減少した。

6/2 溶ける雇用・官、情報・政策手詰まり(日経):雇用調整助成金は「痛み止め」にすぎず、また労働省も失業率を下げるのに十分な情報と政策手段をもっていない点を取りあげている。

6/3 新しい会社・インタビューどうなる雇用(日経):ドイツ・テレコム社長へのインタビュー。株主価値を優先することと、雇用を守ることは矛盾しないとしているが、その中身は・・・。

6/3 通産省の雇用対策(日経):通産省は雇用対策の一環として、政府系金融機関による中小企業向け低利融資制度を創設した。事業拡大で新規雇用する中小企業を対象に、年2.0%で資金を貸し出す。

6/3 溶ける雇用・解かれた「責任」(日経):経営側の雇用の責任に対する変化を考える。主要36社に対して行ったアンケートでは「今後も雇用責任を負う」とした企業は19社に過ぎず、2/3の経営者が「株主利益のためには雇用をある程度犠牲にせざるを得ない」としている。

6/3 日銀前支店長、セクハラで訴えられる(朝日、日経):日本銀行京都支店の前幹部からセクシャルハラスメントを受けたとして、同支店の女性社員が日本銀行を相手取り慰謝料と謝罪文の掲示を求める訴えを京都地裁におこした。

6/3 エールフランスでスト(朝日):エールフランスはパイロットの組合がストライキに入った。ストは賃金の切り下げに反対するもの。

6/2 溶ける雇用・求人・求職にミスマッチ(日経):高失業率の背景に、給与や待遇、年齢など求人と求職の条件が合わないことによるミスマッチ失業や、若者の間での転職を是とする人達の増加があるとしている。労働力の流動性は必要だが、「労働者の側の意識変革がないと、それは失業率を押し上げるだけに終る」としている。

6/2 リストラ、うつ病広がる(朝日):完全失業率が4%を記録する中で、会社員たちの間でストレス性の軽傷うつ病や神経症が目だってきた。また、カウンセリング機関への相談件数も増加の兆しをみせ、企業の側でも社員のメンタルケアを充実させる所も出てきた。セイコーエプソンの相談室、アイシン精機のリスナー制度など。

6/1 過労死労災・公務災害、全国で112件係争中(日経):労働団体などでつくる「働くもののいのちと健康を守る全国センター準備会」が医療機関や過労死弁護団などの協力を得て実施した調査によると、過労死の認定を求めて係争中であるケースが全国で112件あることがわかった。

業種別

件数

年齢別

件数

交通運輸関係

19件

40歳代

23件

教員

19件

50歳代

12件

マスコミ関係

11件

30歳代

7件

建設関係

8件

20歳代

5件

6/1 天声人語・ポーランドのいすゞ工場(朝日):ポーランドにもうすぐいすゞ自動車の工場ができるが、北海道工場に研修に来たポーランドの技術者たちと日本の労働者達の交流を描いている。「相互理解には一緒に働くのが一番である」としている。