98年7月下旬の労働関連の記事

7/31 失業率4.3%、最悪更新(朝日夕刊、日経夕刊):総務庁が発表した労働力調査の結果によると、6月の完全失業率は4.3%(男子4.3%、女子4.2%)で最悪になった。朝日に、関連記事として緊急雇用安定地域の指定を受けている都市の現状、派遣社員の契約更新拒否など。

7/31 失業手当受給、100万人突破(朝日夕刊):失業手当の受給者が6月に104万5千人に達した。100万人突破はオイルショックの影響を受けた76年3月以来、約22年ぶり。

7/31 賃金、3ヶ月連続減少(日経夕刊):労働省が発表した毎月勤労統計によると、従業員5人以上の事業所一人あたりの現金給与額は前年同月比1.0%減の50万5925円で、3ヶ月続けて減少した。定期給与は28万9513円で前年同月比0.5%減。

7/31 米ノースウエスト、労使の和解交渉決裂(日経夕刊):賃上げ問題で対立する米ノースウエスト航空と乗員組合で、和解交渉を進めていた連邦仲裁人は「協議は行き詰まった」と宣言、乗員組合によるストライキのおそれが出てきた。

7/31 NKK、9月からリストラ強化(日経):NKKは人員合理化を進めるため、早期退職制度で定める退職金上積み額を9月からバブル経済崩壊後のリストラ期とほぼ同水準に引き上げる。

7/30 敬遠される勤務地限定(日経夕刊):中高年向けに設けた勤務地限定制度の評判がよくない。その理由を「体のよいリストラ」と労働者が感じているためだとしている。

7/30 GM、31日から生産再開(日経夕刊):UAWは28日に暫定合意した米ゼネラル・モーターズとのスト中止に関する和解案を組合員投票にかけ、承認を得た。これを受けて、GMは31日から完成車組立工場を再開する。

7/30 キリンビール、工場従業員を半減へ(日経):キリンビールは生産体制の合理化を加速し、2005年までに現在3600人の工場従業員を半減し、工場従業員1人あたりの年間生産能力を欧米有力メーカー波の2000klに引き上げる方針。

7/30 NTT、13万社員に実績給(朝日、日経):NTTは今年10月から仕事の実績を重視する新賃金制度を導入すると発表。約13万人いる一般社員については目標達成度により給与や賞与に差のつく実績給を導入。管理職では定期昇給などの年功型賃金を全廃。

7/30 潜在失業率は10%になる(朝日):第一生命経済研究所は、企業の雇用過剰感などから推計した日本の潜在的失業率は10%に達するとしたリポートを発表した。

7/30 野村証券が地域営業職(朝日):野村証券は退職金、ボーナスを一切支給しない代わりに、実績に応じて最大限の給料を支払う営業職を新設する。ファイナンシャル・アドバイザーと呼ばれる営業職で、異動は一定の地域に限られ、初年度に約100人を採用する。

7/29 GMスト中止、暫定合意(朝日夕刊、日経夕刊):GMは車体加工部品工場への設備投資を行い、2つの部品工場の売却を行わないことで暫定合意。UAWはデイストン部品工場では2000年までストを行わないとしたが、他の工場ではスト権を維持。

7/29 全労連、新規雇用900万人要求(日経):全労連は定期大会を開き、「緊急雇用対策」を提案。この中でサービス残業をなくすことで450万人、1800時間を実現することで272万人、社会保障等の充実で140万人など計900万人の雇用創出を要求している。

7/29 日鋼室蘭、300人削減などを労組に提案(日経):日本製鋼所は室蘭製作所と室蘭にある関連会社の従業員数を約300人削減することを柱とする構造改革案を労働組合に提示した。

7/29 コスモ石油、早期退職に231人応募(日経):コスモ石油は1日より始めた早期退職の応募者が231人に達し、予定の150人を上回ったため応募をうち切った。

7/29 日本の製造業、東南アジアで人員削減(日経):東南アジアに進出している日本の製造業の雇用調整が相次いでいる。シンガポールでは日立製作所が363人を解雇、ソニーも296人の解雇、インドネシアでは三菱電機が約220に、タイではマツダ550人解雇など。

7/29 結婚だけで手当は差別(朝日):ユナイテッド航空の日本支社で働く独身女性社員が「十分な審査をしないで、結婚しているというだけで一律に家族手当を出すことを定めた就業規則は独身者に対する差別」であるとして、会社を相手に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

7/28 市場開放、新たな収奪に(朝日):冷戦後のグローバリズムが、多国籍企業を主役として新たな収奪(=劣悪な労働条件)をもたらしている状況を、マクドナルドなどを用いて描いたルポ。 

7/27 つらいよ、旅行の添乗員(日経夕刊):W杯騒動で客の矢面に立たされた添乗員。多くが派遣労働者で、低賃金を強いられ、5年で8割が離職するという状況をルポ。

7/27 女性かわらばん・若い女性、以外に保守的(日経夕刊):「男は外で働き、女は家庭を守るべきだ」とする考えに、女性では22〜24歳の層が賛成した割合が最も高いという「男女共同参画白書」の結果をどう考えるか。

7/27 オピニオン解説・どうする失業率悪化(日経):高失業率が言われている中で、実は人手不足の分野が多いとして、介護要員、弁護士、税務署職員などを上げている。論点としてはおもしろいが、この編集委員は雇用のミスマッチという言葉を知らないらしい。

7/27 GM部品工場スト、8週目に突入(日経):GMでの部品工場のストが8週目に突入したが、GMの対応は昨年までとは違って頑なに組合側に抵抗している。長期戦に持ち込みUAWの音を上げさせ、労組を弱体化させ生産性の劇的改善をねらっているのではという見方も出ている。

7/27 米企業削減人員、1〜6月46%増(日経):米人材斡旋会社の調べによると、98年1〜6月の人員削減数は27万443人で、前年同期より46%増加。M&Aによる合理化とアジア経済危機の影響と分析。

7/27 運転手は女性だけ、続々(日経):運転手に女性ばかりそろえ、高齢者や障害者に配慮した「ソフトな接客」を売り物にするバスやタクシー会社が登場してきた。「労働基準法の改正が後押し」と大きく見出しにはあるが、記事を読む限りあまり関係なさそう。

7/27 新しい会社・理念捨てないリーバイス(日経):「人は手と頭だけで働くのではない。心でも働く」と考え、従業員を大切にするリーバイスのハース会長、「従業員はファミリーだ」とするキングストン・テクノロジーのジョン・トゥー社長などの事例。

7/26 福島の180社、保険料違法切り替え(朝日):労使折半である厚生年金の保険料が不況で支払えなくなったとして、「休業した」などと偽り、従業員を個人負担の国民年金に違法に切り替えさせていた事業所が、福島県内で約180社あることがわかった。

7/26 簡単にリストラされるな(朝日):社会部の藪塚謙一記者のコラム。「首を切られてまで会社によい顔をする必要はない」として、退職勧奨や解雇に立ち向かっていくべきだと主張。

7/25 増える過労死自殺(日経夕刊):過労死弁護団の川人博氏が増加する過労死自殺の特徴と現状について執筆。氏は岩波新書から『過労死自殺』という本も出していますが、そのよいサマリーとなっています。

7/25 国労、ILOに提訴(日経夕刊):JRの組合員不採用問題で敗訴した国労は、東京地裁の判決は団結権の保護を定めたILO条約に違反するとして、今秋にもILOに提訴する方針を固めた。

7/25 99年度末の失業率5.3%の予想(日経):三和総合研究所は、雇用調整がこのまま進めば99年度末の完全失業率は5.3%に達するとする調査レポートをまとめた。

7/25 最低賃金1.8%上げ答申(朝日、日経):中央最低賃金審議会は、98年度の最低賃金を前年度比1.8%増を目安に引き上げるよう労相に答申。

7/25 建設労働110番(朝日):全国建設労働組合総連合は、26日に建設労働110番を実施し、賃金不払いや労災隠しの実態を明らかにし、解決を図る。Tel03-3200-6221。

7/24 川鉄、社員人事を一本化(日経):川崎製鉄は「技能系」「事務・技術系」といった社員区分を廃止し、社員全員に共通の人事制度を導入する。技能系社員に求められる技術水準が高まっているために職種の境界が曖昧になったことへの対応。大卒者を含めた技能系社員の採用活動も積極化していく方針。

7/24 就職活動さらに早まる(朝日、日経):就職問題懇談会の行ったアンケートによると大学・短大・高専の就職指導担当者の8割は就職活動が昨年よりも早まったと受け止めている。

7/24 韓国の失業率最悪(朝日):韓国の統計庁が発表した6月の失業率は7.7%で5月の記録を更新した。

7/23 GMスト仲裁の調停作業が始動(日経):GMの工場でUAWがストを続けている件で、米連邦地裁から命令のあった独立仲裁人を介した調停作業がデトロイトで始まった。焦点はUAWによるストが労働協約に違反しているかどうかの判断。

7/23 韓国民主労組スト見合わせ(朝日夕刊、日経夕刊):民主労働組合総連盟は、23日からの大規模ストライキを予定していたが、交渉の余地が残っているとして、いったんストを見合わせると発表。

7/23 専門高校生も就業体験(朝日夕刊、日経夕刊):専門高校の新しい教育内容を話し合ってきた「理科教育及び産業教育審議会」は、在学中の就業体験(インターンシップ)を多くの専門高校生が経験することを求めた答申をまとめた。

7/23 賃金格差、業種間は縮小(日経):金融・サービス行と、製造業などとの賃金格差が縮まっていることが日本労働研究機構の調査でわかった。調査産業の平均賃金を100としたばあい、金融・保険業と製造業の差は85年の27から97年は21に縮小した。

7/23 再就職面接会に中高年の長い列(日経):中高年の管理職経験者を対象としたホワイトカラー就職面接会が都内のホテルで開かれたが、131人の求人に400人以上が詰めかけた。そのルポ。

7/23 ヤオハンに退職金全額支払え(朝日):会社更生法の適用を受けて再建に取り組んでいるヤオハン・ジャパンの元社員ら594人が同社を相手取り、退職金のうち支払いが認められていない部分の支払いを求める訴訟を起こした。ダイエー系のスーパーに転社することを条件に退職した人たちで、自己都合退職として管財人に扱われている。

7/23 朝日放送に団交に応ぜよ(朝日):朝日放送が下請け社員の労働条件についての団体交渉を拒否したとして同社労組が労働委員会に救済を求めた事件で、中央労働委員会は同社に対して「勤務時間の割り振り、作業環境などについては団交を拒否してはならない」と命令した。

7/22 GMスト、仲裁命令(日経夕刊):米連邦地裁はGMとUAWに対して独立仲裁人を介した仲裁を22日から開始するとともに、仲裁人の決定に従うよう命令した。約7週間続いているストは解決に向けて動き出した。

7/22 新日鐵労連、労組運営も連結重視(日経):新日本製鐵の労働組合、新本製鉄労働組合連合会は加盟対象を新日鐵のグループ企業に拡大し、製鉄以外の業種にも対応できる組織に再編する方針。2002年3月期までに新たな連結会計基準が全面的に導入されるのを受けての措置。

7/22 韓国、自動車メーカーでスト激化(朝日、日経):現代自動車に続いて、大宇自動車でも整理解雇の方針が出され、これに反発した民主総連は23日にも第二弾の大規模ストライキに入る予定。

7/21 GMスト、サターン波及も(日経夕刊):米ゼネラル・モーターズの子会社サターンの従業員は、会社側の経営方針に反発し、労働組合指導部にストを実施する権限を与えた。