98年10月上旬の労働関連の記事

10/10 日産ディーゼル、社員2500人削減(朝日、日経):日産ディーゼルは業績不振を受けて、グループ企業を含めた全社員の21%にあたる2500人の削減を柱とするリストラ策を発表。販社の統合、休職して転職先を探す「研修休職制度」の導入、選択定年制度の拡充、新規採用の抑制などのリストラ策を打ち出している。

10/9 仕事と家庭両立へ(日経):厚生省のまとめた出生動向基本調査で、出産と仕事との関係について未婚女性が抱く理想像が大きな変化を見せている。これまでトップだった「専業主婦」が激減する一方、子育て後の「再就職」が初めて一となり、仕事と育児の「両立」も急増した。

10/8 芝信金の昇格試験、差別的査定と認定(朝日):東京地裁は芝信用金庫が課長への昇格試験において差別的査定を行っていたと認定。不当労働行為にあたらないとの中労委の判断を覆した。この訴訟に置いては、芝信用金庫従業員組合と組合員が中労委の判断取り消しを求めて行われていた。

10/8 外国人研修生、不明確な賃金水準(朝日):研修生の名で外国人労働者を雇い入れられるようになって久しくなるが、労働者としての権利保護が行われていない状況を告発。

10/7 OLにもリストラの波(日経):『日経ウーマン』の読者調査によると、OLの4人に一人がリストラの対象(「暗に退職を勧められた」と答えた女性24.2%)になった経験があることがわかった。また、同誌のホームページで調べたリストラ体験の結果では、「不本意な部署への異動」(17.8%)、「仕事を与えられない」(16.9%)、「一方的な解雇通告」(13.7%)などの順であった。

10/7 産んで休めば昇給格差(朝日):夫と同期入社で、産休・育休をとるまでは全く同じ賃金だったのが、その後大きな昇給格差が生じた事例を通じて、産休・育休による不利益を感じる女性たちが結婚・出産を遅らせざるを得ない状況をルポ。

10/6 派遣法改正案、今日国会に(朝日、日経):労働省は、派遣労働の対象を原則的自由にする労働者派遣法改正案を国会に提出する。今国会の会期は7日までしかないため、審議は次の臨時国会にずれ込む見込み。

10/5 人材派遣業、伸び急低下(日経夕刊):日本人材派遣協会がまとめた首都圏23社の1〜6月の合計派遣者数は、前年同期比7.2%の45万6250人。伸び率は前年同期の30%増から大幅に低下した。労働受給が一段と緩んでいるのと、正社員のリストラが限界に来ていることが主な理由。

10/5 冬のボーナス、4年ぶりの減少(日経):既に始まっている年末一時金の妥結水準が4年ぶりにマイナスになっていることが労務行政研究所の調査でわかった。対象企業の平均は、前年同期に比べ1.5%マイナスの73万5906円。

10/5 富士通、ボーナス交渉不要に(日経):富士通の労使は99年から、前年度の単独決算の営業利益に連動して年額総額が決まるボーナスの新方式を導入することで大筋合意に達した。新しい決定方式は、「基準内賃金の4.0ヶ月+前年度の単独決算で賞与支払い前の営業利益の一定比率」。一定比率については9%強とする方向で詰めている。

10/5 セイコーグループ、時計職人の技術伝承(日経):セイコーグループは手作業で行う時計製造技術の継承に乗り出した。セイコーインスツルメンツが機械式時計の製造部門を主力の盛岡工場に移管した他、セイコーエプソンは腕同型の製造子会社を吸収合併する。職人的な技術を持つ製造技術者が高齢化しているため、生産体制の見直しで技術継承を促す。

10/5 米企業、リストラ加速(日経):アジア経済危機を受けて、米大企業のリストラが加速している。ヒューレット・パッカードは2500人の希望退職者を募集し、グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバーも7〜9月で800人の人員削減を行った。

10/4 求人広告、26%減(日経):全国求人情報誌協会によると、8月の求人広告数は前年同月比で26.5%減の13万8千336件であった。アルバイト求人の減少の他、正社員の求人も前年比で2割減で、職種を問わず企業の雇用過剰感が高まっていることを裏付けた。

10/3 米失業率、0.1ポイント上昇(日経):米労働省が発表した9月の米雇用統計によると、失業率は前月比0.1ポイント上昇の4.6%となった。

10/3 全海連、解散(朝日):全日本海運労働組合連合会(全海連)は、組合員の減少を理由に3日の定期大会で解散する。ピーク時には7900人いた組合員が、業界の合理化の中で3700人まで減っていた。

10/3 総合電機、遅れた人事改革制度(日経):日立、東芝、三菱の総合電機3社が人員削減案を打ち出しているが、それらが直面している問題を解決するには至らないのではないかという記事。人材流動化を含めた施策への取り組みが必要であると論じている。

10/3 労組との団交、朝日にも責任(朝日):朝日新聞社の専属広告代理店「東陽社」が94年に解散したことに関して、労組との十分な協議がないままに従業員を解雇したのは不当労働行為にあたると同社の労組が救済申し立てしている件に関して、東京地方労働委員会は不当労働行為を認定。また、東陽社の事業や従業員を引き継いだ新会社は朝日新聞社と一体であるとして、同社の労組側の団交要求に朝日は応じる必要があるとした。いわゆる偽装倒産を朝日新聞社が行っていた!?

10/3 「社会参加」にも不況波(朝日):今春の東京都立盲・ろう・養護学校の卒業生の就労率が、23.5%と過去最低になっていることが、都障害児学校教職員組合のまとめでわかった。就労率は8年連続で低下しているという。

10/3 新卒も専門職時代(朝日):新卒の採用が一括採用から職種別の採用へと動く企業の動向をルポ。組織がキャリアを意識し、うまく仕事を与えたり、育てたりできるかが課題だが、他方で、求人倍率が落ち込む中で学生の側には職種を選ぶ余裕などないとの声も出ているという。

10/2 女性と労基法改正<下>(日経夕刊):女性の残業・深夜業の規制がなくなった労基法で、今後の家庭との両立が危うくなる状況をルポ。「激変緩和措置」においても、明確な指針が出ていない状況を批判している。

10/2 派遣社員、一寸先は(朝日夕刊):正社員を派遣社員で代替させる企業が増えている中で、彼ら彼女らが抱えている問題をルポしている。

10/2 求人開拓員、100人増強(日経夕刊):労働省は最悪を記録した8月の失業率を受けて、全国の公共職業安定所に配置している「求人開拓推進員」を100人増強し、600人体制にすることを決めた。

10/2 8月の失業率、最悪の4.3%(朝日夕刊、日経夕刊):総務庁が発表した労働力調査によると、8月の完全失業者は297万人、完全失業率は4.3%、男性4.4%、女性4.3%で最悪を記録。6月と同じ数値となっているが、小数点第二位までとると、4.34%で実質最悪記録を更新した。

10/2 合化労連と全国化学、組織統合(日経):化学関連の産業別労組である合化労連と全国化学は、組織を統合し「化学リーグ21」を結成した。統合により組合員数は約10万人になる。

10/2 松下電器、採用内定者にネットで通知(日経):松下電器産業は、来春入社の大卒採用予定者にインターネットで内定通知をした。インターネット上で行った理由として、「時間や場所に関係なく内定式に参加でき、学業の妨げにならない」ためと同社では説明している。

10/2 JASの賃金削減交渉(日経):日本エアシステムが労組に提案していた10月からの賃金一律3%削減を、地上職やスチュワーデスで組織する労組は受け入れる一方で、乗員組合は拒否。このため、会社側は乗員組合との賃金協定解約を通告した。

10/2 コスモ証券、リストラ加速(日経):コスモ証券は、営業成績の基準を設け、基準に満たない社員に退職を促していることが明らかになった。9月末までに従業員の約4分の1にあたる250人の早期退職を募集し、対象者には「営業職で給与(年収)の3倍以上の総合手数料を計上できないもの」としている。

10/1 女性と労基法改正<上>(日経夕刊):改正労基法は女性労働者にどのような課題を突きつけているのか。本人の知らない間に、裁量労働制の対象になっていた女性などの事例を通して、今回の労働基準法で労使の自主交渉の余地が広げられた問題を、労使関係の中で女性の占める位置の低さから考察。お奨め記事です。

10/1 期待と不安、雨の内定式(日経夕刊):来春卒業予定者の採用内定式が、多くの企業で行われた。倍率40倍の難関を突破したイトーヨーカ堂、経営危機にある長銀、防衛庁疑惑で揺れるNECなどの内定式の状況を伝えている。

10/1 あきらめるな、自主再建だ(朝日夕刊):埼玉のカメラ安売り店「カメラのニシダ」が7月に倒産。残った従業員たちが労働組合に結集し、自主再建に向けて戦っているルポ。お奨め記事です。