99年1月中旬の労働関連の記事

1/20 公務員の残業、年間360時間以内に(日経夕刊):人事院は国家公務員を対象とした超過勤務の上限基準に関する通達を出し、上限基準を民間並の年間360時間以内に抑えるよう求めている。

1/20 日航、契約スチュワーデスの入社延期募集(日経夕刊):日本航空は今春の採用が内定している契約スチュワーデスを対象に、入社延期の希望を募っていることを明らかにした。

1/20 小樽商大、留学生にインターン制度(日経夕刊):小樽商科大学は10月から、留学生の授業に実際に企業で働き仕事を体験するインターンシップを取り入れる。

1/20 少子化対策、有識者が提言(朝日):昨年末、国がまとめた「少子化への対応を考える有識者会議」の提言の中でユニークなものを取り上げている。例えば、働き方に関する事項では、女性が専業主婦にとどまらなくてもよい税金や年金制度、男性への育児休業の義務づけなどをあげている。

1/20 石油連盟、雇用調整助成金申請(朝日):過当競争によるガソリン価格の低迷に苦しむ石油業界の業界団体である石油連盟は、雇用調整助成金の給付業種に石油精製業を指定するよう労働省に申請した。

1/19 米企業M&Aで人員削減最高に(日経夕刊):米人材サービス会社の発表によると98年に公表された企業の合併・買収による人員削減は7万3903人と前年に比べるとほぼ倍増した。

1/19 日興証券、選択定年制応募者膨らむ(日経):日興証券は募集を始めた選択定年制の応募者が600人に達し、想定していた250人を大きく上回ったことを明らかにした。

1/18 労働ビッグバンと女性(日経夕刊):今年4月から改正雇用機会均等法が施行され、また派遣労働法の改正も国会で審議される。こうした法律の改正は女性の雇用や働き方にどのような影響を与えると考えられるか。中窪裕也千葉大教授へのインタビュー。

1/18 雇用調整、企業の26%で(日経):連合の行った「緊急雇用実態調査」によると過去1年間で雇用調整を実施した企業は26.7%と4社に1社の割合に達していることがわかった。企業規模が大きいほど実施した率が高いが、企業規模が小さい企業では直接雇用に結びつく解雇、希望退職が多く、大きい企業では早期退職優遇や出向・転籍が目立った。

1/18 労災死者、2000人割る(日経):1998年の労働災害による死亡者数は速報値で過去最低の1779人となり、統計を取り始めた48年以来はじめて2000人を下回るのが確実となった。

1/17 転職容易な雇用制度に(朝日):完全失業率が日米で逆転したことを踏まえ、大竹文雄大阪大学助教授へのインタビュー。「企業が中高年をリストラしにくいために、就職できない若者が激増している」としているとしてあたかも中高年の犠牲の上に若者の就職先確保を唱えている。しかし、若年労働者と中高年労働者の転職及び職業訓練の社会的コストはどちらが安いのだろうか。

1/15 派遣労働者最多に(朝日、日経):労働省の発表によると、97年度に人材派遣会社に登録したり、実際に働いた人の数は前年度比18%増の85万5330人となり、過去最高となった。派遣先の事業所数も25%増の27万9281件で最多を記録した。

1/15 さくら銀行、実績連動の「役割給」(日経):さくら銀行は資格給制度を廃止し、原則としてポストごとに賃金を決め、実績に応じて増額・減額を行う「役割給」を全行員に導入することを骨子とした新しい賃金体系を労働組合に提示した。

1/15 伊藤忠、新人全員を海外研修(日経):伊藤忠商事は99年度から総合職の新入社員全員を半年程度海外に派遣する新しい研修制度を導入する。日本語や日本語の通じない環境で、商社マンに必要な国際感覚を身につけることが狙い。

1/15 アジア各国、失業率急上昇(日経):ILOや各国政府の推計によると、アジア各国の失業率が経済危機の長期化を受けて高まっている。インドネシアで20%に達したのをはじめ、多くの国で前年の2倍以上の失業率を記録している。

1/15 パソナ、初任給も実力主義(朝日):人材派遣会社のパソナは来年春の新規採用者から一律初任給をやめ、能力に応じた給料にすることを明らかにした。コンピュータ、財務・税務、法律などの知識、英会話力などを独自の分析手法を使って評価し、給与額を決める。

1/14 厳寒就職、大卒内定80%(朝日、日経):昨年12月1日時点での大卒予定者の就職内定率は80.3%で調査を開始した94年以降で最低となったことが労働省、文部省の調べでわかった。落ち込みが目立つのは女子学生で大学生は73.5%、短大生では56.3%の内定率。4年制女子大に限ると59.4%に達していない。

1/14 21世紀の老人力・定年なんて(朝日):65〜69歳の人たちの引退希望年齢は71.4歳という中で、高齢者の積極雇用を行い成長している「マイスター60」などをルポ。通産省もシルバーベンチャー研究会を発足させ、定年後の起業を支援する動きも。

1/14 持ち株会、愛社薄れ加入頭打ち(朝日):かつては小さな元手から資産形成につながるために、福利厚生や社員定着の手段として用いられてきた持ち株制度も、右肩上がりの成長が見込めない現在では加入率も低迷。ストックオプション制度がこれに代われるのか。

1/14 自動車総連、9000円以上を要求へ(日経):自動車総連は中央委員会を開き、定期昇給部分を含めて平均で9000円以上の今春闘の要求方針を提案した。個別賃金方式では3500円のベースアップ要求(高卒・35歳・勤続17年・技能職)。

1/13 米バンカメ、1万8000人削減(日経夕刊):米大手銀行バンカメリカは今後3〜4年で人員を世界全体で1万8千人削減する計画を明らかにした。どう銀行はネーションズバンクとの合併で8千人規模の削減を行うとしてきたが、それに1万人の上乗せをする。

1/13 オムロン、特許報奨金最高1億円(朝日夕刊、日経夕刊):オムロンは最高金額が1億円の特許報奨制度を4月から実施すると発表。高額の報奨金で成果主義を明確にし、社員のやる気を引き出すとともに、優秀な人材の確保にもつなげる狙い。

1/13 春闘、スタート(朝日、日経):日経連が総会で、経営側指針である日経連労働問題研究委員会報告を承認したことより、春闘がスタート。日経連は7年連続となるベアゼロ、連合は定昇込みで3%の賃上げを求めている。朝日は今春闘の課題を雇用問題であるとした記事を、日経は企業間の業績格差が拡大し、能力給への移行が進んだことにより、横並び交渉は崩壊したとする記事を載せている。

1/12 根付いたか育児休業・代替要因なしが半数(日経):育児休業取得者が出た場合に、その穴をどう埋めるのか。52.8%の企業が代替要因なしで乗り切っている。このため同僚らに負担がかかり職場の理解が得られなかったり、復職後の処遇の問題を引き起こしているとしている。

1/12 地方企業、リストラ加速(日経):日本経済新聞社が行った「地方有力企業雇用調査」によると4割近い企業が99年に人員を減らすと答えた。雇用の過剰感は北関東、中国など東京からの進出企業への依存度の高い地域で強く、北海道では薄らいできている。リストラの手法としてはアウトソーシングやパート・派遣社員の活用などが高い注目を集めている。

1/12 メリルリンチ、営業人員を200人増(日経):メリルリンチ日本証券は99年末までに現在千人の営業人員を2割増やして1200名とする。日本の個人市場は有望な市場であるとの判断から増員を決めた。

1/11 根付いたか育児休業・中小企業利用進まず(日経夕刊):日本経済新聞社が行った「育児休業に関する企業調査」結果から見る育児休業法施行7年後の現状。大手企業では徐々に定着しつつあるものの、中小企業では利用者0人が6割を超える。また男性社員の取得についてはほぼ皆無の状態。「少子化が叫ばれるわりには制度浸透のスピードは遅い」としている。

1/11 大学受験のプレッシャーはどう変わったか(朝日夕刊):苅谷剛彦東大助教授の寄稿。氏らの調査に基づき、学習時間の変化から受験競争プレッシャーはどう変わってきたのかを読みとる。全体的には受験プレッシャーは弱まっている(=学習時間が減少)しているが、親が高学歴あるいは専門・管理職である子供は学習時間が相対的に長く、かつ18年間にわたって変化が少ないという結果が出ている。これを氏は社会階層間での教育の2極分化の傾向と解釈し、教育における階層差の拡大が社会的不平等の拡大につながる危険性に警鐘(?)を鳴らしている。

1/11 年俸制導入、2割超(日経):中央労働委員会がまとめた98年の「賃金事情等調査」によると年俸制を導入した主要企業の割合は全体の21%。将来導入を検討中の企業を加えると3割に達する。また残業時間を抑えて賃金を絞り込む傾向が強まっていることもわかった。

1/11 マイホーム破綻(日経):マイホームを手に入れたものの、リストラ解雇されたことを契機に、自己破産しわずか3年で家を手放さなければならなくなったサラリーマンを描いたルポ。

1/11 プラント各社、アジア拠点を縮小(日経):千代田化工建設では現地社員総数を25%減、東洋エンジニアリングはタイ現地法人の社員数を半分に削減など、プラント・造船重機各社はアジア拠点の縮小や撤退に動き、経営資源を欧米などに振り向けている。