99年7月上旬の労働関連の記事

7/10 EEOC、トヨタ米子会社を提訴(日経夕刊):トヨタ自動車の米子会 社、トヨタ・ロジスティック・サービシズで黒人や女性に対する雇用差別があったとして米雇用機会均等委員会は米連邦地裁に提訴した。

7/10 凸版印刷労組、本部書記長が着服(日経夕刊):凸版印刷労働組合の本部書記長が組合費を2億円あまり着服していたとして、書記長を解任され、会社から懲戒解雇されていたことが明らかになった。

7/10 日石三菱、希望退職募集(朝日、日経):日石三菱は500人の希望退職者を募集し、今後の3年間で全社員の約2割にあたる1100人を削減すると発表。

7/10 兼松、希望退職募集(朝日、日経):兼松は同社の労働組合に、30歳以上の社員を対象とした500人の希望退職の条件を明示し、協議を申し入れた。

7/10 障害理由の解雇、正当(朝日):脳内出血で障害を負ったことを理由に高校を解雇された元体育教諭が解雇は不当と訴えている訴訟で、札幌高裁は解雇を無効とした一審判決を取り消し、「業務にたえられないと認めざるをえない」として正当な解雇であるとの判決を下した。

7/10 豊田工機、4日間の一時帰休(日経):豊田工機は工作機械とメカトロニクスなど自動車部品を除く全部門で7〜9月の間に計4日の一時休業と、2日の教育訓練を実施すると発表。

7/9 大卒女性、働き続けるカギは4S(日経夕刊):東京女性財団から委託を受けて行われた森ます美、遠藤公嗣、木下武男氏による「大卒女性のキャリアパターンと就業環境」の発表内容の紹介。就業継続には4つのS(就業意識、昇進、習得、戦略)の有無が分岐点になるとしている。

7/9 ニュース複眼・少子化対策費実効性に疑問(日経夕刊):補正予算のうち約2000億円が少子化対策費が占め、具体的には働く女性の子育てを支える保育所の増設だが、保育所不足に悩む一部の地域だけでなく全市町村に配られるなど様々な問題を抱えていると指摘。

7/9 飛べぬ訓練生、200人以上(朝日夕刊):経営の厳しい航空各社がパイロット採用の抑制などをしているために、各社に雇われた乗員訓練生はパイロットの資格を持ちながらも、操縦士に昇格できず実際の操縦ができないでいる。飛べる日を待つ彼らの不安をルポしている。

7/9 電機連合の隔年年春闘、組合員の求心力維持狙う(日経):電機連合が昨日隔年春闘の方針を発表したことに対する解説記事。隔年春闘は改革の一歩に過ぎず、今後は「闘争組織」ではなく、「互助組織的な活動」に重点を移すことが検討されているという。

7/9 雇用審が新雇用計画原案(日経):労相の諮問機関である雇用審議会は2010年頃までの新しい雇用対策基本計画の原案をまとめ、労働政策の軸足を雇用維持から人材移動の円滑化に移す必要性を指摘している。

7/8 電機連合、隔年春闘を提起(朝日夕刊、日経夕刊):電機メーカーの労組でつくる電機連合は、定期大会を開き、隔年春闘への移行を柱とする春闘改革方針案を提案した。

7/8 DATAアイ・スーパーでの労働範囲拡大(日経夕刊):日本チェーンストア協会によると98年の従業員1人あたり(パートも含む)の店舗面積は37.1平米で、90年に比べて17.0%増。店舗面積の拡大にもかかわらず、総従業員の伸びが少ないのが原因。

7/8 雇用保険手当、初めての減額(朝日、日経):労働省は雇用保険の基本手当を8月から1%程度減額すると発表した。減額は同制度ができた1947年以降で初めて。

7/8 2000年問題対応に奔走、過労で自殺(朝日):大阪市の鉄鋼販売会社に勤めていた男性が自殺したのは、コンピュータの2000年問題対応に追われて精神的・肉体的ストレスを受けたのが原因だとして、遺族が近く大阪西労働基準監督局に労災申請する。

7/8 「東京勤務に戻りたい」で解雇は不当(朝日):東京のインテリア会社に勤めていた女性が、大分県の系列の美術館に転勤を命じられたことに対して周囲に愚痴をこぼしたとして懲戒解雇されたのは不当解雇であるとして東京地裁に訴えていた事件で、同地裁は「親しい人たちに勤務地の希望を話すことは懲戒理由にあたらない」として解雇は無効であるとの判決を下した。

7/8 働くもののための「派遣法」とは(朝日):改正労働者派遣法について全国一般労組委員長松井保彦氏が問題点を取り上げ、今後の行うべきことについて主張している。

7/8 みんなのQ&A・ワークシェアリング(朝日):短時間労働で多くの人が働けるようにするワークシェアリングについての平易な解説。

7/8 さくら銀行、賃金を実績重視型に(日経):さくら銀行は年齢や入社年次に応じた賃金規定を撤廃し、全行員を対象とした実績重視型の賃金を導入する。

7/7 トヨタ、年齢給廃止(朝日、日経夕刊):トヨタ自動車は係長級以下の事務・技術職について、年齢給を廃止し、年功色を薄くした賃金制度に改める方針を明らかにした。8月中に組合と合意し、10月から移行する計画。

7/7 短大生は総合職志向(日経):毎日コミュニケーションズがまとめた調査によると、短大生のなかでは一般職の希望者が減少し、勤務地限定の総合職の人気が上昇していることがわかった。

7/6 雇用の行方を聞く・5(朝日):「エリート、横並び脱却、選別に力」と題してオリックスの宮内社長へのインタビュー。エリートの流動化や選別を説いている。

7/6 雇用、年功序列の時代ではない(朝日):小渕首相は失業者らが職業訓練を受けている障害職業能力開発センターを訪れ、挨拶した。その後の記者会見で「これからは必ずしも年功序列中心の雇用じゃない」とリストラが必要だという持論を展開。失業問題で苦しんでいる人がいる中で、無策・無能首相の余計な一言。

7/6 眠れる社員、イントラネットで発掘(朝日):日立製作所は、各部署の求人情報を社内のイントラネットで流し、社員が自由に応募できる社内公募制を来年度から始めることを明らかにした。

7/6 倒産・リストラ組、タクシー業界が受け皿(朝日):倒産やリストラで職を失った人たちがタクシー会社に再就職している。雇用の受け皿となっているタクシー業界をルポ。

7/6 リストラいや、なんとしても販売促進(朝日):三井化学の大阪支店の課長がトルエンを元暴力団員らに違法に販売していたとして書類送検されたこの課長は、「リストラで自分の課の人員を削減されないよう、少しでも売り上げを伸ばしたかった」と供述しているという。

7/5 ビデオ、「捨てられた人形」が完成(日経夕刊):アジア女子労働者委員会が作成したアジアの女性たちの労働運動を取り上げたドキュメントビデオの日本語版「捨てられた人形」が完成。このビデオに関する問い合わせはアジア女性労働者交流センター(Tel03-3202-4993)まで。

7/5 女性の社外交流術(日経夕刊):働く女性たちの社外ネットワークをルポし、彼女たちの交流模様を描いている。

7/5 金属労協、緩やかな統合見送り(日経):金属関連の産業別労組で構成する協議機関、金属労協(IMF・JC)は「緩やかな加盟産別労組の統合」構想の見送りを決めた。今後はこれまで通り、協議機関として存続する。

7/5 米、人手不足深刻に(日経):好景気が続くアメリカで、農業、建設業、衣料、ハイテクの4分野で労働者不足が深刻化してきた。看護婦不足で病院が事業縮小するなどの悪影響も出てきている。

7/4 仕事と育児の両立に悩む(朝日、日経):総理府が発表した少子化に関する世論調査」では若い世代の女性が出産に消極的ことが少子化の一因になっていることがあきらかになり、総理府では「女性が仕事と家庭を両立できるような環境づくりこそ求められている」としている。

7/4 大学生の3割、すぐに就職しなくても(朝日):リクルートリサーチが行った調査によると、大学生の35%が「卒業したからといってすぐには就職しなくてよい」と考え、逆に「就職するのが当然だ」と答えたのは46%であった。

7/3 あなたの再就職、手伝います(朝日夕刊):リストラで退職する中高年の再就職を支援するアウトプレースメント・ビジネスが外資系の参入などで急成長しているが、具体的にどういうことを行っているかを事例を使ってわかりやすく説明している。

7/3 セクハラ被害、将来補償含め会社を提訴(朝日夕刊):性的暴力を繰り返し上け、不当に解雇されたとして呉服販売会社に勤めていた女性が、慰謝料や今後10年間の遺失利益などを総額約5400万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。セクシャル・ハラスメントをめぐる訴訟で将来にわたる損害補償を求めた例はまれ。

7/3 雇用の行方を聞く・4(朝日):宮城大学学長、野田一夫氏へのインタビュー。企業が求める人材を出していないがゆえに新卒者の求人倍率が低いとし、実学を中心とした大学や実務出身の教授が増えていくべきであると主張している。

7/3 社説・雇用と転換のはざまで(朝日):昨日発表された労働白書では雇用流動化への軸足の変化が見て取れるとしたうえで、日本的雇用慣行の維持と構造改革のバランスをいかにしてとっていくかが問題であるとしている。

7/3 OA使う在宅勤務の相談センター開設(日経):労働省はOA危機を利用した在宅勤務を希望する企業や従業員の相談に応じる「テレワーク相談体験センター」を日本サテライトオフィス協会に委託して開設すると発表した。

7/3 兼松、人員削減前倒し(日経):経営再建中の兼松は、中期3カ年計画で定めた人員削減計画や組織の見直しを今期中に前倒しし、来月にも希望退職者を募る方針を表明した。

7/3 東洋紡、2工場を閉鎖(日経):東洋紡は綿紡績部門の大幅な設備削減を発表した。これによると綿関連8工場のうち、2工場を閉鎖、3工場で設備を一部休止・廃棄し、該当工場の従業員に関しては配置転換で対応する予定だが、これに応じることのできない従業員には退職金の割り増し支給も検討する。

7/3 都道府県・政令指定都市、来春の採用10%減(日経):日経産業消費研究所が実施した99年度の上級職採用し嫌悪採用予定者数は都道府県合計で9.0%減の3055人、政令指定都市は14.3%減の14.3%減であることがわかった。

7/2 労働白書、長期慣行の欠点指摘(朝日夕刊、日経夕刊):労働大臣が閣議に労働白書を報告。日本の長期雇用慣行の利点を認めながらも、高齢化が進むと賃金コストが増えるなどのデメリットもあると指摘し、雇用の流動化を促す転職支援を強化して雇用を安定させるべきであるとしている。

7/2 女性駅員がんばる(日経夕刊):女性の深夜労働が解禁されてJRや地下鉄などで女性の深夜勤務が相次いで始まっている様子をルポしている。

7/2 雇用の行方を聞く・3(朝日):日本総合研究所の山田久氏へのインタビュー。団塊の世代が高齢化を迎えるなかで、暗黙の契約を破棄してでも年功型の人事制度を変えるべきという主張で、説得力無し。

7/2 経済・生活苦の自殺7割(日経):昨年1年間の自殺者は最悪3万2863人を記録し、「経済・生活問題」や「勤務問題」での自殺がそれぞれ7割増、5割増と大幅に増加した。

7/1 労組、工場譲渡をめぐり仮申請(朝日夕刊):東証二部上場の通信機器メーカー、高見沢電機製作所が信州工場を子会社へ業務移管し、従業員の転社と希望退職を募ったことに対して、同社の労働組合は会社を相手取り従業員としての地位保全と工場の譲渡禁止を求めて長野地裁佐久支部に仮処分を申請した。

7/1 失業対策でNPOが脚光(日経夕刊):多くのNPOは政府が失業対策でNPOを取り上げたことを評価しているが、他方でボランティアやNPOを安価な労働力とみなすなどの問題も多いとしている。

7/1 勧角証券、事務部門を子会社移管(日経夕刊):勧角証券は本社と支店の事務業務を子会社に移管し、全体の約2割に相当する社員約400人が子会社に移籍を決めた。

7/1 雇用の行方を聞く・2(朝日):連合事務局長笹森清氏へのインタビュー。最近賃下げを言及した本意はワークシェアリングであるとしている。

7/1 解説・労働者派遣法改正成立(朝日):昨日改正が成立した労働者派遣法は、直接雇用の原則としてきたこれまでの労働秩序を大きく揺るがすものであると把握し、「正規雇用の縮小と不安定雇用の増大」をもたらすとしている。