99年7月下旬の労働関連の記事

7/31 過労自殺、広く労災認定(朝日、日経):労働省の「精神障害等の労災認定に係わる専門検討会」は、精神障害で自殺を思いとどまる抑制力を著しく失っていた場合も労災に認めるなど、心の疾病も広く労災認定する方向で新基準をまとめ、労働基準局長に提出した。

7/31 雇用調整、今年度中に集中(日経):失業率が最悪を更新したことの関連記事。日本経済新聞社の調べによると、各社の雇用調整は99年度中に集中しており、今後も雇用情勢が大きく改善する可能性は低いとしている。

7/31 パート労働者、欧米で増加(日経):労働省がまとめた海外労働情勢(海外労働白書)によると、欧米では就労形態の多様化が進み、パートタイマーが増加。この背景には産業構造の転換や国際競争の激化があるとしている。

7/31 リストラ推進、間違っていない(日経):ブリヂストンの海崎社長は、 決算記者会見で元社員が社長室で自殺した事件に触れ、「不幸なことであるが、これまでやってきたことは間違っていたとは考えていない」と語った。海崎社長が公式の場で事件について言及するのは初めて。

7/31 失業列島、地域差じわり(朝日):30日に発表された労働力調査の解説記事。近畿が完全失業率が6.1%と最悪を記録するなど、各地方の状況を見ている。

7/31 就職活動で差別やめて(朝日):就職活動で男女差別をなくしてほしいと「就職難易泣き寝入りしない女子学生の会」のメンバー40人ががデモ行進をした。

7/31 就職戦線、留学生も逆風(朝日):都内で開かれた海外留学経験者を集めた就職セミナーの模様をルポ。かつては引く手あまただった日本人留学生にも今は逆風が吹いている状況を紹介している。

7/30 6月の失業率、最悪の4.9%(朝日夕刊、日経夕刊):総務庁が発表した6月の労働力調査によると、完全失業率は4.9%で前月に比べ0.3ポイント悪化し、調査を始めた1953年以来最悪を記録した。日経は再就職先が見つからない中高年の様子をルポした関連記事。

7/30 現金給与総額4.4%減(日経夕刊):労働省が発表した6月の毎月勤労統計調査速報によると、従業員5人以上で事業所での現金給与総額は47万5904円となり、前年同月と比べ4.4%減となり、比較可能な90年以降で最大の減少幅となった。ボーナスなどの特別に支払われた給与が9.3%減と大幅に減ったのがその原因。

7/30 産業再生法案、国がリストラあおるな(朝日):現在、国会で審議中の産業活力再生特別措置法案は事業再構築がやりやすい環境を整備しようとする意図だが、「社員に犠牲を強いるリストラは政府が駆り立てるものではない」と批判している。

7/29 日航機長29人、賃下げ分返せ(朝日夕刊):日本航空の機長組合に所属する機長29人が、「一方的な就業規則の変更で賃金を引き下げられた」として、会社を相手取り、昨年度の引き下げ分計約3500万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。

7/29 システムエンジニアの急死、二審も過労死認定(朝日、日経):システムエンジニアが脳出血で急死したのは過重な労働が原因だったとして遺族が会社を相手に損害賠償を求めていた訴訟で、二審の東京地裁は会社側の安全配慮義務違反を認め、賠償額の支払いを命じる判決を言い渡した。

7/29 三菱信託、一般職も総合職のお仕事(朝日):三菱信託銀行は、一般職の仕事の見直しを始め、これまで総合職が就いていたポストの一部に一般職を登用する新制度を設け、職域を広げる。

7/29 雇用調整金制、大幅見直しへ(朝日):労働省は雇用調整助成金制度の大幅な見直しを図る方針を決め、長期的不況業種や特定不況業種の対象除外などを行い、一時的な雇用調整策の性格を明らかにする方針。

7/28 塩野義製薬、女性理由に賃金差別と認定(朝日夕刊、日経夕刊):塩野義製薬の元女性社員が、同社に対して「男性と同等の仕事をしたのに、女性という理由で賃金差別を受けた」と差額賃金などの損害賠償を求めていた訴訟で、大阪地裁は「会社側は、女性であることだけで設けた格差を是正する義務があり、これを果たさなかったのは不合理な男女差別」として、労働基準法の「同一労働同一賃金」原則に違反する不法行為と認定し、2988万円の支払いを命じた。

7/28 春闘改革、産別の主体性重視を(日経夕刊):NTT労組の津田委員長は、同組合の定期大会で春闘の主体は連合から産別労組に移すべきであるとの考えを共著した。

7/28 流通・サービス、労組3団体が合同(日経夕刊):流通・サービス業界の労働組合の産別組織が合同に向けて走り出したが、それを引っ張るリーダーたちを紹介している。

7/28 転職で賃金減少目立つ(朝日、日経):労働省がまとめた転職者総合実態調査によると、リストラや倒産など会社都合で退社した人は自己都合退職した人に比べて転職後に給料が減少した人が目立つことが、わかった。しかし転職を経験した社員のうち6割がほぼ「満足」と感じており、労働省では「賃金よりも自己実現のために働く」という人が多いと分析している。

7/28 全労連、春闘改革案を修正(朝日、日経):全労連は定期大会を開いているが、これまでの平均賃上げ方式をやめ、「賃金の底上げ・最低保障を重視する賃金闘争」に切り替えるとする執行部案は時期尚早であるとの意見が相次ぎ、折衷案に修正された。

7/28 奨学生の遺族と読売新聞が和解(朝日、日経):新聞販売所で仕事中に死亡した読売新聞社の新聞奨学生の両親が息子の死因は過労死であると、同社などを相手取り6900万円の損害賠償を求めていた訴訟で、販売店側が和解金を支払うことと新聞社側が奨学制度の改善をするなどの条件で和解した。

7/28 進む経営革新・雇用戦略・下(日経);転換期を迎えた退職金制度として退職金前払い制度などを紹介している。

7/27 女性かわらばん・「夫が人質」のリストラ(日経夕刊):社内結婚をして、その後も働いている妻への肩たたきの際に、夫の出世などがだしに使われていることが多いとしている。

7/27 コンピュータ使う仕事はつらい(朝日、日経):労働省がまとめた「技術革新と労働に関する調査結果」によると、仕事でパソコンやワープロなどの機械を使う人の77.6%が身体的疲労を感じ、36.3%が精神的疲労やストレスを感じていることが明らかになった。

7/27 最賃、0.9%上げを答申(朝日、日経):中央最低賃金審議会は99年度の地域別最低賃金について、0.9%を目安に引き上げるよう答申した。

7/27 東電、62歳までの再雇用制度(朝日):厚生年金の支給開始年齢が高くなるのに対応して、東京電力は60歳の定年退職者を62歳まで再雇用する制度を新たに設ける方針を固め、労働組合に提示した。

7/27 東洋信託、支店長を社内公募(朝日):東洋信託銀行は9月から支店長の社内公募制度を導入する。対象となるのは、課長級か課長一歩手前の36歳以上の職員で、長期計画等を提出し、選抜されることになる。

7/27 進む経営革新・雇用戦略・上(日経):連結決算をにらんで、事業売却によるリストラが行われているが、その際、雇用されていた従業員はどうなるのかという問題が出てきていることを指摘している。

7/26 働く女性、下り坂の時代?(日経夕刊):東京で開かれた国際フォーラム「女性と労働」での議論を紹介。雇用機会の男女平等が進んでるはずなのに、女性は非正規労働者化が進み、実質的不平等が拡大しているのに対して、日米の専門家は非正規労働者の組織化を主張する点で一致した。

7/26 経済論壇から・雇用安定へ格闘続く(日経):今年の経済白書をリストラ白書としておさえたうえで、過剰雇用問題へのアプローチの仕方をレビュー。また橘木氏による不平等化論への反応もレビューしている。

7/25 自由時間拡大へ、企業向け指標を(日経):通産省の外郭団体、余暇開発センターは国民の自由時間を充実させるための提言をまとめ、企業の自由時間拡大の取り組みを客観的に表す指標を設けることなどを主張している。

7/23 ボーナス額、半数が不満(朝日):電通が出した6月の消費実感調査によると、今夏のボーナスの支給額を不満に思っている人は49.4%でここ3年間で最も多いという結果になった。

7/22 主婦たちの再就職戦線(日経夕刊):夫の賃金がもはや当てにはできないと、30〜40歳の主婦たちが長いブランクを経て再就職戦線に踏み出しているが、厳しい現実に直面する事情を描いている。

7/22 ミニット労組、組合員にボーナス無しは不当と申し立て(日経):靴修理・カギ複製店を展開するミニット・ジャパンの労働組合が「会社が組合員にのみ夏のボーナスを支給しないことや組合員に組合脱退を勧奨したことは不当労働行為にあたる」として神奈川県地方労働委員会に救済を申し立てた。

7/22 夏のボーナス、最大4.7%減(日経):日経連がまとめた主要企業261社の夏の一時金の妥結額は前年夏を4.78%下回る77万2150円となり、比較可能な81年以降最大のマイナス幅となった。

7/22 シルバー人材センターの元会員が提訴(神奈川):神奈川県綾瀬市のシルバー人材センターの元男性会員が、派遣先の工場で指4本を切断したのは同センターが安全確認を怠ったためであるとして同センターと工場を相手取り損害賠償請求を求める訴えをおこした。シルバー人材センターや高齢者事業団から派遣されて働いている人たちは労働基準法の「労働者」に該当せず、労災保険の適用外というとんでもない国策の元でおきた事件。

7/21 第一次補正予算案成立へ(朝日夕刊、日経夕刊):70万人を超える雇用創出を目指した緊急雇用対策や少子化対策案を盛り込んだ総事業規模5429億円の補正予算案が可決、成立。朝日夕刊の窓では、「月給11万円」と題して補正予算案が批判されている。

7/21  王様の耳・セクハラ(朝日):セクハラを受けた場合にはどのようなところに相談に行けばよいのかについてアドバイスしている。