99年12月上旬の労働関連の記事

12/10 規制改革委、解雇ルール法制化(日経夕刊):規制改革委員会がまとめた「雇用・労働分野」の見解案によると、企業の「解雇規制のあり方について立法化の可能性を含め検討が必要」とした。解雇に関する明確な基準がないことで、企業が過剰人員を恐れ、新規雇用の意欲を失っている面もあると分析したもので、ガラス張りのルールを設けることで労働市場の流動化を促進するのが狙い。

12/10 国民生活白書、転職しやすい社会を(朝日夕刊、日経夕刊):今年度の国民生活白書は「選職社会の実現」という副題で、個人が生き生きと働いていくためには、好きな職場を選ぶ必要性を強調し、雇用の流動化をすすめる施策を主張している。

12/10 富士電機、65歳定年で労使合意(朝日、日経夕刊):富士電機は、公的年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、最終的に定年を65歳まで延長することで労使が大筋で合意した。定年そのものの延長に踏み切るのは、大手メーカーではきわめて異例。

12/10 松下グループ、ボーナスを業績連動に(日経):松下電器産業の労使は来年度から、会社の業績に連動してボーナス(一時金)の支給額を決める新方式を導入することで基本合意。新方式では、基準内賃金の4カ月分を「生活安定部分」としたうえで、営業利益の一定割合を業績連動分として加算する。

12/10 自動車総連、春闘統一要求取りやめ(日経):自動車総連を来春闘で主要労組が要求額をそろえる統一要求方式を取りやめる。自動車業界では業績格差を背景に妥結額では既に差がついており、労組側も現状を追認する形となる。

12/10 派遣は雇用の調整弁か?(朝日):労働者派遣法の改正の中で、雇用の調整弁としての意味が強まったことに対して異議を唱えたコラム。

12/10 こだわり捨て、労使国協調(朝日):電機大手が65歳までの雇用延長で合意する見通しとなったことに対する解説記事。

12/9 電気大手、65歳に雇用延長(日経、朝日夕刊):電機連合は日立製作所や東芝など10社以上の大手電機メーカーの労使が公的年金の支給年齢引き上げに伴って、社員の雇用を段階的に65歳まで延長することで合意する見通しになったことを明らかにした。

12/9 裁量労働制、指針案を答申(朝日、日経):中央労働基準審議会は、裁量労働制についての労働省令要綱と運営指針案を諮問通り答申した。新たに対象となるのは、本社や支社などで経営企画、人事・労務、財務・経理、広報などに従事している労働者で、大卒の場合、入社してから3〜5年以上の経験が必要とされ、ホワイトカラーに幅広く適用されることになる。

12/9 雇用保険見直し、最終原案(朝日、日経):中央職業安定審議会の雇用保険部会は、原稿の保険料率を1.1%に戻すとともに、離職理由によって給付額に差をつける仕組みを導入することを骨子とする最終報告案の原案を示した。

12/9 自動車部品、海外の雇用者数が国内逆転(朝日):日本自動車工業会がおこなった調査によると1998年度の会員部品メーカの国内雇用者数が33万4千人で、海外での雇用者数(35万6千人)を初めて下回ったことが明らかになった。

12/8 セクハラ、二次被害深刻に(日経夕刊):清泉女子大でのセクハラの事例を引きながら、セクシャル・ハラスメントを訴えた女性たちが受ける二次被害に深刻であるとして、二次被害を最小限に抑えるための社会的対応が必要であると主張。

12/8 日経連、賃下げ姿勢強める(朝日、日経):来春闘に対する経営側の指針となる日経連の「労働問題研究委員会報告」の原案が明らかになった。それによると賃金抑制の姿勢を一段と強め、雇用の維持拡大を行うためにワークシェアリングなどを行う必要性を強調している。

12/8 連合、来春闘のヤマ場3月第3週に(日経):連合は拡大戦術委員会を開き、来春闘のヤマ場を3月第3週をメドに設定することを決めた。

12/8 鉄鋼大手の一時金、初の分裂交渉(日経):鉄鋼労連は来春闘で一時金の要求について、高炉大手5社が要求水準をそろえる従来の方式をやめ、収益状況の合わせた各社別の要求に改めることになった。

12/8 トヨタ、幹部育成世界規模で(日経):トヨタ自動車は世界規模で経営幹部を育成する体制を整えた。国籍にかかわらず優秀な社員を幹部として登用することで国際化を進めていく狙いがある。

12/8 花王、賃金体系職種別に(日経):花王は来年4月から中堅・若手の賃金体系を職種別に分け、職務給部分に市場連動の考え方を入れた人事制度を導入することを明らかにした。

12/8 東洋紡、部課長職を廃止(日経):東洋紡は来年7月から部長職と課長職を廃止し、新たに「マネージャー職」を設けた新人事制度を導入する。

12/8 豊かさ探し(4)・働く高齢者(朝日):高齢者を雇用する英国のスーパーマーケット事例や、利島村役場の事例を取り上げながら、高齢者の知識や経験を生かしせば社会に新たな活力が生まれると主張。

12/7 ガラスの天井最新情報・下(日経夕刊):白人女性のガラスの天井にはひびが入り始めたが、マイノリティーの女性たちにはコンクリート・シーリングが存在している点を取り上げている。

12/7 取材メモから・パート賃金差別訴訟で和解(日経):丸子警報器の賃金差別事件での和解は、判例としての拘束力はないが、当事者同士が納得して解決した点で、今後の労使問題の解決のモデルになるのではという視点を提示している。

12/7 ダブルスクール派4人に1人(日経):日本私立大学連盟の学生生活実態調査によると、大学生の悩みのトップは就職で、資格試験や技術習得のために26.0%の学生が課外講座や専門学校に通っていることがわかった。

12/7 公務員セクハラ相談、30件(朝日):人事院が、国家公務員の職場を対象に実施した「セクシャルハラスメント110番」の結果によると、相談は30件で女性から28件、男性から2件であった。

12/7 金属労協、来春闘への方針決定(朝日):金属関連産業の労組でつくる金属労協は協議委員会で、来春闘の方針を決定し、高卒35歳・勤続17年・技能職の賃金をベアで2〜3千円引き上げ、30万8千円以上の水準への到達を目指すとした。

12/6 ガラスの天井最新情報・上(日経夕刊):女性の昇進を阻む見えない天井、グラス・シーリングという言葉が使われ初めて15年。しかし、最近では大企業のトップとして活躍する女性も出てきていると、彼女たちのキャリアや活躍ぶりを紹介している。

12/6 AFL・CIO議長、WTO会議決裂を評価(日経夕刊):WTO閣僚会議が決裂したことを受けて、AFL・CIOのスウィーニー議長は「悪い合意をするよりも何も決まらないほうがましだ」、WTOが「労働者の権利をもっと重視しなければならない」と主張して、今回の決裂を評価する姿勢を示した。

12/6 労働省、個別紛争解決へ強制力(日経):企業と従業員個人との個別労使紛争が急増していることを受け、労働省は相談・指導にとどまらない、強制力を持った紛争解決制度を検討することを決めた。

12/6 多田人権省決まる(朝日):少数派の労働運動や女性の権利の拡大に努めたきた故多田謠子弁護士の遺産を中心に設立された「多田謠子反権力人権基金」の今年度の人権賞で、労働運動では倒産解雇に直面しながらも会社再建に取り組む「カメラのニシダ再建委員会」が選ばれた。

12/6 高橋庄太郎の目(朝日):学校名不問の採用試験や実力主義の人事管理など雇用システムが変化し、学歴主義は崩壊したが、その実態が伝わっていないため進学熱・進学競争が相変わらず続いているとし、それを社会にどう伝えるかが問題としている。

12/5 倒産・リストラ110番、相談727件(日経):日本労働弁護団が行った「倒産・リストラ110番」では727件の相談が寄せられ、うち347件が不況を理由とする相談であった。年齢別には45歳以上からが多いものの、25歳以上の若者にも広がっているとのことである。

12/5 資本主義に定型はない(朝日):ノーベル経済学賞受賞者のアマーティア・セン教授のインタビューなどに加えて、脱フォード主義を掲げて労働の人間化をめざしたボルボのウッデバラ工場とその理念を引き継いだオートノバ社を紹介している。

12/5 NPOなどの非営利部門、雇用などで経済に貢献(朝日):民間の非営利組織や非政府組織が注目されているが、米ジョンズ・ホプキンス大学が発表した報告書『グローバル・シビル・ソサエティー:非営利部門の重要度』によると、雇用などを通じて経済的な担い手としても役割を果たしていることがわかったとしている。

12/4 米失業率、横ばい4.1%(日経、朝日夕刊):米労働省が発表した11月の雇用統計によると失業率は前月と同じ4.1%で、低水準の失業率が続いている。

12/4 外国人労働者、伸び最低に(日経):労働省の「外国人雇用状況報告」によると、外国人労働者を雇っている事業所数は1万9483カ所、労働者数は19万1472人であることがわかった。昨年調査に比べ、伸び率はそれぞれ1.5%、0.9%の微増にとどまった。

12/4 求人広告の回復続く(日経):全国求人情報誌協会がまとめた10月の全国の求人広告件数は前年同月比4.9%増の19万589件となり、3カ月連続で前年を上回り、企業の求人意欲が上向いてきたことを示している。

12/4 「不況期は公務員」、崩壊の理由(日経):不況になる度に就職先として人気が高くなる公務員だが、現在、不況にもかかわらず公務員試験の受験者が減少している。若者の労働観が安定を求めないものに変わったという説や、「無業意識」が強まっているためという説を紹介している。

12/4 WTO、労働者基準で米中火花(朝日):WTOで労働基準に関する条項を入れようとするアメリカに対して、中国が反発し、途上国が態度を硬化させている。記事では米国の態度を、途上国の労働者の権利を守るものではなく、保護主義だとしている。ところで、中国って労働者国家じゃなかったけ?

12/4 重電、リストラ加速(朝日):電力業界の自由化をにらんで、三菱重工、日立、東芝といった重電各社は人員削減などのリストラを行ってきたが、東海村での臨界事故による原子力事業の遅れがさらにリストラを加速させることになるいとしている。

12/4 障害者雇用、水準達せず(朝日):政府が閣議で了承した今年度版の「障害者白書」によると、昨年の障害者雇用率は前年に比べて0.01ポイント上がって、1.48%となったが、まだ法定雇用率の1.6%(現在、1.8%)を超えていない。

12/3 あす、リストラ110番(日経):日本労働弁護団は、東京や大阪など全国21都市で「倒産・リストラ110番」を実施する。問い合わせは電話03-3251-5363へ。

12/3 鉄鋼労連、60歳以降に「ハーフ勤務」要求(日経):鉄鋼労連は来春闘で、60歳以降の雇用では隔週や週3日の「ハーフ勤務」というワークシェアリングを基本に制度改革を要求する方針を固めた。

12/3 セクハラ対策、予防・解決事業広がる(日経):事業主にセクシャル・ハラスメント防止の配慮義務を課した改正男女雇用機会均等法が施行されて半年が経ち、セクハラを予防・解決するためのサービス事業が本格的になってきている状況を紹介。

12/3 味の素、全管理職に成果主義(日経):味の素は来春、全館離職を対象に成果主義にもとづく新人事制度を導入する。昇給・減給率は前年の働きに応じて個人別に決まり、実績に応じて部長格から課長格への転換なども実施する。2001年には全社員に適用し、2002年度以降グループ企業48社がこれをモデルとして人制度を刷新するとしている。

12/3 85歳まで一線の営業マン(日経):千葉の不動産会社、ベイフロンティアは年内に中高年を35人採用するが、85歳まで採用しますとしている。

12/3 国家的リストラ、歯止めを(朝日):リストラ促進法とも言われる産業再生法が、労働者の権利や雇用、労働条件の維持・確保といった視点を欠いていることを指摘し、連合が主張している「企業組織変更に伴う労働者保護法」のような法律が必要であると主張したコラム。

12/3 2割の企業がリストラ(朝日):労働省が発表した11月の労働経済動向調査によると、過去1年に雇用の縮小を伴う事業の見直しを実施した企業の割合は20%で、今後1年の間にリストラを検討している企業は15%であった。

12/2 WTO関連(日経夕刊):米労組AFL・CIOのスウィニー会長はWTOが人権や労働者の権利などの社会的価値を高める組織に衣替えすべきだと発言。他方、途上国は閣僚会議で争点の一つになっている労働基準問題について、相次いでWTOでの議論に反対を表明している。

12/2 私鉄総連、来春の賃上げ要求3.7%に(朝日、日経):私鉄総連は中央委員会で来春闘では、高卒30歳・勤続12年の標準労働者で定昇込みで7700円、組合員平均では1万1千円(3.7%)の賃上げ要求とすることを確認した。

12/2 雲助発言の裁判官の罷免要求(朝日):判決文でタクシー運転手には「雲助まがい」が多いなどとした裁判官に対して、京都旅客自動車協会は同裁判官の罷免を求めて国会の裁判官訴追委員会に訴追請求書を提出した。

12/2 紹介・派遣の垣根消滅(日経):職安法と労働者派遣法の改正で、人材紹介業と人材派遣業との垣根が事実上、取り払われた。派遣企業の大手が人材紹介業への参入し、競争が激しくなるなか、中堅の人材紹介業者が連携して人材情報のデータベース構築を行うことになったことを紹介。

12/1 学生の就職支援センター、開所(日経夕刊):大学生の就職難のなか、学生らの適職探しの拠点となる「学生職業総合支援センター」が東京六本木にオープンした。

12/1 エクソンとモービル、3年で9000人削減(日経夕刊):合併が認められたエクソンとモービルは、近く新会社「エクソン・モービル」を発足させ、3年間で9000人を削減する。

12/1 失業率横ばい、リストラと景気綱引き(朝日):このところ失業率の横ばいが続き、有効求人倍率も回復してきたことどう見るのか?リストラにより正社員が減らされている一方で、生産の回復をパートや期間工が担っていると分析している。

12/1 自民、労組費天引き見直しを主張(日経):自民党は、労使協定に基づいて労働組合費をサラリーマンの給与から天引きできるようにしている「チェックオフ制度」を見直すことを決めた。年金改革をめぐって連合の動きを牽制するのが狙い。

12/1 改正派遣法、今日施行(日経):大幅な自由化が行われた改正労働者派遣法が今日から施行されることを踏まえて、労働省は全国の公共職業安定所で派遣労働に関する相談を労使双方から受け付ける体制を強化し、制度の円滑な定着をめざす。

12/1 仏失業者、11%に低下(日経):フランスの雇用省が発表した10月の失業率は前月より0.1ポイント低下し11.0%となった。

12/1 新日本証券、希望退職者募集(日経):来年4月和光証券と合併する新日本証券は、全社員の4%にあたる150人以上の希望退職者を募集すると発表。