現代社会では自己の思想・主張・情報を他者に伝えていく、その表現手段が多様になってきています。しかし不特定多数に対して自己の主張を行えるメディアは、普通の人々にはまだまだ限られていると言えるでしょう。本にしかり、テレビ・ラジオにしかりです。草の根の表現手段はまだまだガリ版刷りのビラというパラダイムを越える域に達していません。
おそらくインターネットもそうでしょう。しかし、インターネットにはこれを越える可能性が存在しています。それは検索可能性です。世に出たビラは検索不可能です。しかし、インターネットの世界では書き散らされた「ビラ」が、必要な時に集められるという可能性を有しています。まだまだ必要な情報の多くがインターネットに蓄積しているとは言えませんが、しかしその可能性は非常に大きいと思っています。
逆に言えば、自己の主張・情報・知識を必要とする人がこの世のどこかに存在しているとすれば、ホームページを作っていることによって、彼/女らに応えることが可能になるのです。私がゼミ生にホームページを作成してもらいたいのはこうした理由です。たとえ、今は世に対して訴えたいこと、あるいは与えたい情報を持っていないにしても、もしそれが必要となったとき、何らかの媒体を使いこなす能力を持っていること。これから始めましょう。
昨年、ゼミ生にホームページを作るよう申し渡し、現3年生からは必修という形にしてきました。まだまだ自己紹介の域を越えないホームページが多いですが、大学生活を積んでいくにつれ、世に対して何らかしらの主張あるいはコントリビューションができるようになるのではないかと考えています。ですから、このページの来訪者の方々も成長の途上にある彼らのホームページを、なにとぞ暖かい目で受け入れていただければと思います。
とりあえずは、HTMLのテクニックに走る、デザインのセンスを磨く、趣味の話題で盛り上がる、自分の生活を延々と語る等々、自由にホームページを作ってくれれば思っています。しかる後に、自己の得た情報を広く、世に伝え、ボランタリーなインターネットという社会になんらかしらのお返しができるようになる、そういう展開を期待しています。
(98/6/26記す) |