全自の賃金原則(1952年)

第一原則 自動車産業に従事する労働者はたとえ技能が低くても、どんな企業でどんな仕事をしていても職場で働いている限り、人間らしい生活をして、家族を養い労働を続けうるだけの賃金を、実働七時間の中で確保する。(最低生活保障の原則)

第二原則 賃金は労働の質と量に応じて正しく支払われることを要求する。したがって
(イ)職場において、質の高い、量の優れた労働に従事している労働者は、この労働に応じた賃金を支払わねばならない。この際、年齢が低く家族が少ないからという理由で、賃金を低く抑えてはならない。
(ロ)男女の別、国籍、その他の理由で、賃金の差別をつけてはならない。例えば、男子100に対し女子80の労働である場合、女子なるが故に60とすることは不可である。
(ハ)労働の質・量は一般的に労働の強度(重労働、軽労働、環境)仕事の難度(高級、低級、複雑、難易)労働に対する技能、熟練度の高低で決められる。
この際労働者個人を、現に遂行されている労働から切離して判定するのではなく、労働が客観的に評価されねばならない。資本家は職制の支配系列や、企業への忠誠を基準にして、管理のために個人個人を主観的に判断して賃金を決めているが、これには強く反対する。高級労働者が、低質、低量の労働しか遂行し得ない職場におかれている時は、低賃金が強制されるが、この際は配置転換を問題にすべきである。(同一労働、同一賃金の原則)

第三原則 以上の二原則は賃金一本の中に貫かるべきものである。また自動車産業共通の原則として、企業のワクをこえて貫かるべきものである。(統一の原則)

出所:全日本自動車産業労働組合『全自動車:臨時大会議案特集』号外 1952年9月10日 5頁